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この人生、大変なんだ。

「何度も失敗してオトナになるんだよね」

釜石のジャズバー「タウンホール」のマスターが、ぼそっと。
わたしはラムをロックでぐびぐび飲んでて酩酊してて、
何の話からこの言葉が出てきたのか忘れちゃったけど、
そうそう、その通りと感じて、
スマホのメモアプリにこの言葉が残したのは覚えている。

何度も失敗してオトナになる。
仕事においても、生活においても。
とくに、酒がからむと、というか、
お酒を飲んでの失敗は、そうとう経験する。

いわなきゃいいことをいったり、
やらなきゃいいことをやったり。
お店を壊したり、人間関係を壊したり。
仕事の資料をなくす、人としての信用をなくす。
二日酔いでグダグダの一日を過ごして、
その日の最後はまたお酒を飲みに行く。

人を傷つけ、自分も傷つける。

なんでそんなに失敗するのに酒を飲むのか、というと、
お酒を飲むと楽しくなるからであり、
お酒を飲む場で楽しいことが起こるからであり、
お酒を飲む場でいろんなことを学べるからであり、
酔って失敗しても失敗しなくても、
人生の礼儀作法を知るには、
人間の成長のためには、
「乾杯」が必要なのである。

諸君! この人生、大変なんだ。

みたいなことを、毎年成人の日のサントリーの新聞広告がつぶやいてきた。
1970年代から、まずは山口瞳が長く担当し、
次に倉本聰がショートリリーフ、そしていまは伊集院静が。

でも今年の成人の日の広告は、そうじゃなくなった。
「酒」ではなく、「水」にからめて書いてあった。

「水のようにまぶしい君になれ。」

成人が18歳になっちゃったもんなあ。
成人は成人なんだけど、法律でお酒飲めないし。
苦労したんだろうなあ。
書いた伊集院静本人も、サントリーの担当者も代理店のチームも。
この広告、大変なんだ! って。

でも、いいこと書いてある。

今日から大人だといわれてもピンとこないのは、
いつの世代もそうだった。
みんな懸命に生きてくうちに大人になった。
自分だけのことを考えるのはよくない。
その仕事は誰のために汗しているのか。
仲間とともに笑う日がきっとくる。
今までの大人のやり方ではダメなんだ。
新しい日本人になるために、
さあ立ち上がろう。ともにあるき出そう。
君たち新しい大人を私たちは応援し続ける。

要約するとこんな。

サントリーの広告は、4月1日、
入社式がたくさん行われる日にも読むことができる。

そこで書かれていることも、
「何度も失敗してオトナになっていく」
ってこと。