医療最前線で闘うカレへ送ったletter
プロローグ
昨年、苦渋の距離を置いたカレ。私からは連絡をしないという約束のまま離れた。いつか笑って会える日がくると心の片隅に希望を持ちながら、自分らしく魅力的な年の重ね方をしようと、一歩踏み出し始めていた。しかし、このコロナ禍の中、医療の最前線で闘っているカレを案じてならない。放置しておくのが一番だとは思うが、今回ばかりは、返事を求めない・期待しないといい聞かせ、できるだけ中庸をこころがけ、メールで一方通行のletterを書いた。私の中に決壊寸前まで溜まっていた感情が放出され、少し浄化された感もある。孤独に闘うカレのためだったのか、自我の満足のためだったのか、今の私にはわからない。でも、このletterを書かなければ、一生、後悔したのは間違いない。また友人としてでも、同士としてでも会える日が来るのかわからないが、祈りや思いは、カレを守ってくれるはずだ。
シンクロニシティ
noteを書きながら、シンクロニシティで、とあるエピソードを思い出した。幼少の頃、祖母が戦時中のことを話してくれた。エリートゆえに近衛兵に抜擢され硫黄島に赴いた祖父の身を案じて、何度かletterを書いたが返事はもちろんなかった。祖父の写真に、コインを糸でつるして生存を問うたところ、糸が円を描いて写真の上を回った。祖母は「生きている」と確信したという。事の真偽はわからないが、ただの偶然や思い込みかもしれないが、祖父は、激戦地硫黄島での数少ない生還者だ。
私も祖母と同じことをしていると思った。カレが自分らしく生きていれば、それでいい。祈りや思いは届くはずだ。
最前線で闘うあなたへ
ご無沙汰しております。
すいません、今回については、メールさせていただきました。
新型コロナ等への対応等、さぞかし大変なことだろうと案じております。また、週末大雨ということで、海沿いの家や車の移動などもご無事でありますようにと、陰ながら祈っております。
こちらもクラスターが発生し、危うい状況になっています。学校などは休校等になっていますが、私は通常通り出勤です。
私は、あなたが見つけてくれたこのアパートに、守られて暮らしています。心から感謝しています。コロナ騒動になってからは、ほぼ家の中におりますが、広いこともあり、閉塞感を味わずに過ごしています。電車の通る音も癒しになっています。
昨年の夏、あなたがこちらに来たときに、引っ越しが完成した後のアパートにお招きして、あなたのお気に入りの大福でも食べながらお茶でもしたかったな、などと思う時があります。
この地で生涯を過ごしたあなたのおばあさんのことが、時々脳裏をよぎります。理由はわかりませんが、私がこの地に引き寄せられたのは、ご縁があるのかななどと思ったりします。
何かお辛いことや、気分を変えたい時があったら、こちらには、おばあさんとあなたを案じる友がいることを思い出してください。
あなたが守られますよう、勝手ながらお祈りしています。
人生初の似顔絵を描いてもらいました。美化されていますが、近況報告がてら添付します。
私も、こちらで、がんばってます。
エピローグ
このような思いを抱えながら、誰かを案じながら、コロナ禍を過ごしている人もいるだろう。いや、コロナ禍だからこそ、大切な人、大切だった人との過ごした時間が、いかに美しい世界だったのか、気がついたのかもしれない。自浄の記事ではあるが、誰かの誰かを想う気持ちに、少しでも寄り添えることができたらというのが、ささやかな願いである。