交渉で無意識に粗探しする癖をやめた
こんにちは、財閥系企業でバイヤーをしているむんです。
最近、難易度の高い交渉事が多くなり改めて交渉学の本を複数読んで、勉強をしています。おおむね交渉テクニックや戦法が書かれているものと双方の利益を考えていく筋論の本に分かれますが、私は後者のほうが好きです。交渉のテクニックも大事とは思いますが、それで交渉を有利に終えた時に自分にとって、さらには相手にとって納得感があるのかという点が疑問に残るからです。
交渉テクニックで勝っても短期的には良いとは思いますが、どこか相手が損をしたという感覚がある場合、相手も機会をうかがってしっぺ返しをしてくるでしょうから、長期的に考えると損をします。
バイヤーとして働き始めた1-2年の頃の私は、価格交渉で相手の説明を聞いているときに論理破綻しているところなどをつい無意識的に探してしまってました。どこか自分の立場が絶対的に正しいという歪んだ認識をもって、粗探しをしていました。相手にどんどん価格の妥当性や内訳を説明してもらって破綻している部分を出させ、そこをつついて交渉するという何と書くと嫌らしいスタイルでした。これはその場では交渉に勝てるかもしれませんが、
・ 交渉相手にとっては、自分の説明(人によっては存在意義)を否定された解釈され、決してプラスの印象には働かない
・ 次回の交渉以降、詳細説明などを拒否され同じ手が使えない
というマイナス面があり、長期的な関係構築を考えるとマイナスにしかになりえません。やはり交渉は相手の利益をも考え、さらには創りだしていくものが理想形です。
粗探しをしてしまう思考の癖に気づいてから、私の交渉スタイルは、相手の話を徹底的に聞き、どこに関心があるのか、どういう点で困っているかをしっかり探すように変えました。例えば取引相手が価格は下げてもよいと考えているけれど、社内での決裁を取れないなどあれば、承認取得ためのストーリーを作ったりしています。通常交渉事は複数争点があるので、うまく譲り合ったり、利益を築きあげたりして、うまく両社が納得いくようにコーディネートできるように心がけています。
実践し始めてから、交渉相手からの信頼も厚くなり、その証拠か交渉の裏でこっそり相談なんてこともちらほらあります。これからもこの交渉スタイルを継続したいと考えています。