【朗読劇】メダルをちょうだい
メダルをちょうだい
ねえ、お願いがあるんだけどさ。
( ん? )
私のために、絵を描いてくれない?
簡単なイラストでもいいんだけど、さ
( どうしたの急に?
似顔絵でも描いて欲しくなった? )
いや、そんなに良い顔してないからさ、
似顔絵じゃなくて、
なんか賞状みたいなのが欲しいなって思って。
( 賞状ってあの…表彰状とか? )
うん、メダルの絵がいいな。
メダルの絵が欲しい!!
( ふうん….金メダルとか? )
そうそう!金メダル!
ねえ、メダルを描いてよ。
( うーん。 )
なんかさ、ただ、今まで生きて来て偉いでしょう!とか
とりあえず、今までなんとかやってこれて
良かったねっていう感じ、かな
よく分かんないけどさ、なんか褒めてほしいんだよ。
これからも生きてていいんだよって、
君からそう言って欲しいだけなのかも。
( そんなこと、いつでも言ってあげるのに
君は俺にとって特別な人で、
かけがえのない存在だって。 )
ありがと。
その….言葉も嬉しいけどさ、、でもやっぱり絵が欲しいなぁー。
毎日見えるところに飾っておきたいし。
ピカピカじゃなくていいし、金色に光ってなくてもいいからさ。
青でも赤でも、今持ってるペンの色でいいから。
おねがい。
( 分かったよ。
デザインはどうする? )
…デザイン?
デザインかぁ。
私、センスないからなぁー。
なんか鳥か飛んでるヤツとか?
おかしいかな?
ありそうじゃない?
( ありそうだね。
鳳凰とか孔雀とかね )
あ。怪獣の絵とか、嬉しいかも。
( かい、じゅう? )
うん。怪獣。
ひとつ目巨人のポリュペーモスとか。
醜くて乱暴者で、誰からも嫌われてて。
でも、そんな野蛮な怪物なのに、美しい海の精霊のことを好きになっちゃうんだ。
でもその美しい海の精霊、ガラテアには、他に好きな男の人がいて。
ある時にね、ガラテアと男の子が楽しそうに遊んでる姿をみて、醜い巨人のポリュペーモスは、嫉妬のあまり大きな石を投げつけちゃんうだ。
ひどいよね。
絶対やっちゃダメだよね。
でも、、
それくらい一途だったんだなって
我を忘れるくらい本気だったんだなって。
褒められた行動じゃないけどさ
後先を考えられなくなるくらい好きなものがあるって、なんか、素敵じゃない?
( だね。 )
だからさ、
私にメダルをちょうだいよ。
私が一途な巨人になって、君のこと、守るから。
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