公認会計士のゆうと申します。数あるnoteの記事からご覧いただき、ありがとうございます。
前回は、Jリーグの各クラブの決算書のうちPLの勘定科目の営業収益の内容ついて説明をしましたが、今回はPLの勘定科目の営業費用の内容をみていきたいと思います。
お時間のない方は、目次から3.まとめをご覧ください。
1.PLの勘定科目(営業費用)について
勘定科目は、2020年度の【Jクラブ個別経営情報開示資料】に沿って、開示されている範囲で説明いたします。
下記表がPLに計上される勘定科目及びその内容となります。表のベースはJリーグのHPで開示している【Jリーグ クラブ経営ガイド】を参考に作成しています。
2.勘定科目の内容の補足
ここからは、私が個人的に気になった勘定科目について深堀をしていきたいと思います。なお、深堀した箇所の※と上記1.の表の注はリンクしています。
チーム人件費のうち、選手報酬
※1:
〈契約種類〉
選手報酬に係る契約の種類について、日本サッカー協会のHPの【プロサッカー選手の契約、登録および移籍に関する規則】に定めがあり、内容は以下の通りになります。
〈プロA契約選手の下限〉
【Jリーグ規約】第40条において、所属するディビジョンに応じてプロA契約選手数の下限が定められています。以下が記載の引用となります。
〈ホームグロウン制度・外国籍選手枠〉
JリーグHPのニュース(【2018年度 第9回Jリーグ理事会 定時会見録について】)に記載があり、2019年シーズンより適用されています。
ホームグロウン制度によりホームグロウン選手を登録していないクラブはプロA契約選手の枠が削られます。また、外国籍選手枠は登録数の制限はなく、試合出場は5人(J1)、4人(J2・J3)が可能となりました。
以下が記載の引用となります。
〈各クラブの選手報酬について〉
上記のように選手の登録内容や報酬内容に取り決めがあることから、各クラブの立場や戦略に応じた選手構成次第で総額に差がでてくることが窺えます。
➀契約選手数の配分:クラブの手持ち資金に応じて、プロA契約選手(外国籍選手含む)を最大限所属させるか、プロA契約選手(外国籍選手含む)を最小限にとどめて育成に舵をきるか。
②所属するディビジョン:相対的にディビジョン3よりもディビジョン1のクラブの方が選手層が厚いことから、選手1当たりの報酬金額が高いことが想定される。
③クラブとしての目標:所属するディビジョン内において優勝争いするために控え選手も含めてレギュラー並みの戦力で揃えるか、最低限残留することを目的にするために選手報酬をレギュラー選手の登録を優先するか。
試合関連経費
※2:【Jリーグ規約】第75条において、試合に要する費用について更に具体的な記載があります。なお、④~⑥は販売費及び一般管理費として計上しているものと思われます。以下が記載の引用となります。
トップチーム運営経費のうち、移動旅費、 その他トップチーム運営経費(消耗品費)
※3:【Jリーグ規約】第90条において、Jクラブの負担と定めています。なお、ユニフォーム一式およびトレーニングウェアは、1点あたり数万円程度だと思いますので、消耗品費として即時費用計上されていると窺えます。以下が記載の引用となります。
販管費及び一般管理費のうち、一般管理費(Jリーグ年会費、その他)※4:【Jリーグ規約】第22条において、入会金や年会費の額が所属ディビジョン毎に定められています。以下が記載の引用となります。
入会金は、【公益社団法人 日本プロサッカーリーグ 定款】の第11条において入会金は返還しない旨があることから、支払う年度に資産計上ではなく費用処理をしているものと思われます。
販管費及び一般管理費のうち、一般管理費(JFA給付金)
※5:【Jリーグ規約】第79条において、JFA給付金の納入金額の算定方法がに定めています。また、第79条の2において、2020年シーズンは免除する旨の定めがあります。
販管費及び一般管理費のうち、一般管理費(その他)
※6:【Jリーグ規約】第105条において、選手が移籍した際の移籍補償金の一部をJリーグに納付することが定められております。
3.まとめ
4.次回
次回は、PLの勘定科目のうち、営業外収益、営業外費用、特別利益、特別損失の内容についてみていきたいと思います。最後までご覧いただき、ありがとうございました!