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#11 Jクラブの財務分析に利用する指標を考えてみた。

公認会計士のゆうと申します。
数あるnoteの記事からご覧いただき、ありがとうございます。

前回はBSの勘定科目の内容についてみていきましたが、今回は本題であるJリーグの各クラブの財務分析に利用する指標についてみていきたいと思います。
お時間のない方は、目次から7.まとめをご覧ください。

1.そもそも財務分析ってなに?

前回までの記事で当たり前のように登場しておりましたが、財務分析は決算書の数値を用いて計算した指標を使ったクラブ間比較やクラブの対前年度比較等となります。

それでは、財務分析をすることでJクラブの何を把握することができるのでしょうか。私が公認会計士として監査法人で働いていた時に、①年間の監査手続のスタートするタイミング、②(上場会社の監査だと)各四半期末毎、③年間の監査手続を完了するタイミング等、節目で企業を同じ業界でのポジションや企業の経営状態を理解するうえで財務分析を利用していました。

すなわち、Jクラブが財務分析を行うことで、①他クラブとの比較によりJリーグにおける自クラブのポジションを把握でき、②自クラブの過年度の指標との比較により現在のクラブの経営状態を把握することができます。

2.財務分析で利用する分析について

私が実施するJクラブの財務分析では、一般的な分析手法である①収益性分析、②安全性分析、③成長性分析、及び④Jリーグ特有の非財務情報を用いた分析(以下、非財務情報分析)により比較を行いたいと考えております。

ここで、今回利用する分析手法の意味を簡単に説明いたします。これら複数の手法を利用・分析することで、現在のクラブ経営の状況を多角的に把握をすることができます。
収益性分析:クラブがどのくらい効率よく利益を上げているのかをから読み取る分析です。
安全性分析:クラブ経営の安定性または倒産リスクを決算書から読み取る分析です。
成長率分析:クラブがどれほど成長しているのかを当年度及び前年度の決算書から読み取る分析です。
非財務情報:決算書以外の情報で、間接的に現在又は将来の経営成績に結び付いている情報をいいます。財務分析には該当しませんが、当該情報を比較したり、決算書の数値と組み合わせた分析を行うことで、クラブの強みや課題がどこにあるのかを把握することができることから、非財務情報分析を対象に加えたいと思います。

3.収益性分析の指標について

下記表が今回利用する指標となります。一般的な指標もあれば、今回Jクラブの分析用に使えそうな指標を設けました。なお、営業収益は単なる決算書の金額の比較となりますが、売上高が大きいクラブはそれ自体が収益獲得のために有利なものなので対象としました。
また、JリーグのHPの2020年度の【Jクラブ個別経営情報開示資料】記載の勘定科目に沿って売上高(営業収益)を細分化しています。

表の注について
※1:総資本利益率の計算式は、当期純利益/総資本となりますが、分解すると売上高利益率と総資本回転率に分かれます。売上高利益率とは、クラブが生み出す収益の利益率であり、高ければ高いほどクラブが効率的に収益を生みだせる体力を持っていることを示しています。また、総資本回転率とは、クラブが保有している総資本(総資産)をつかって収益をどの位生み出すことができるのかという資産運用の効率性を示しています。分析の際は、総資本利益率で検証をしますが、必要に応じて売上高利益率と総資本回転率に分解して説明をしたいと思います。
※2:アカデミーの指標につき、クラブの運営法人とは別の法人が運営する以下のチームは分析の対象外とします。

各JクラブのHPの内容に基づいて作成

4.安全性分析の指標について

下記表が今回利用する指標となります。安全性分析に関しては、一般的な指標を用います。また、実施する意図は下記表記載の内容となります。

キャプチャ26

5.成長率分析の指標について

下記表が今回利用する指標となります。一般的な指標を今回Jクラブの分析用に置き換えた指標となります。

表の注について
※1:指標の成長率について、計算式の分母は絶対値で計算します。
※2:アカデミーの指標につき、クラブの運営法人とは別の法人が運営する以下のチームは分析の対象外とします。

各JクラブのHPの内容に基づいて作成

6.非財務情報分析の指標について

下記表が今回利用する指標となります。クラブの成長にかかわる定量的情報や財務数値と非財務情報を組み合わせた指標となります。

7.まとめ

8.次回

次回から、実際に収益性分析をしていきたいと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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