#9 JクラブのPLの営業外損益、特別損益の内容を調べてみた(クラウドファンディング・契約解除金)
前回はJリーグの各クラブの決算書のうちPLの勘定科目の営業費用の内容ついて説明をしましたが、今回はPLの勘定科目の営業外収益、営業外費用、特別利益、特別損失等の内容をみていきたいと思います。
お時間のない方は、目次から3.まとめをご覧ください。
1.PLの勘定科目(営業外収益、営業外費用、特別利益、特別損失)について
勘定科目は、2020年度の【Jクラブ個別経営情報開示資料】に沿って、開示されている範囲で説明いたします。
下記表がPLに計上される勘定科目及びその内容となります。表のベースはJリーグのHPで開示している【Jリーグ クラブ経営ガイド】を参考に、注の☆については北海道コンサドーレ札幌のHPの決算情報の【令和3年度1月期決算公告】を参考に作成しています。
2.勘定科目の内容の補足
ここからは、私が個人的に気になった勘定科目について深堀をしていきたいと思います。なお、深堀した箇所の※と上記表の注はリンクしています。
営業外収益・特別利益
※1:CAMPFIREやREADYFORといったクラウドファンディングを利用した資金調達を実施するクラブが増えてきており、当該収益を営業外収益または特別利益に計上しているケースができて増えてきています。
例えば、湘南はHPの【2020年度決算概要】において特別利益で計上している旨を明記している一方で、浦和はHPの【浦和レッズ2020年度経営情報の開示について】において1億円を上回る支援があった旨を記載している一方で特別利益は0百万円であり、営業外収益に計上しているものと思われます。
クラウドファンディングを利用した資金調達の追加実施を想定していない場合は特別利益での計上で問題ないかと思います。一方で、サポーターに支えてもらう方策としてクラウドファンディングを今後も定期的に実施する場合は営業外収益で計上することも考えられます。
なお、以下のクラブが、CAMPFIREやREADYFORで2020年から2021年にかけてクラブ運営や強化費(アカデミー含む)支援を目的としたクラウドファンディングを実施おります。(2021年11月26日現在)
☆1:2022年シーズンよりJ3に参入するため、参考として記載。
☆2:北九州市にふるさと納税、寄付先が北九州。
☆3:豊田市にふるさと納税、寄付先が名古屋。
☆4:株式会社スポカレが実施、寄贈先が横浜FC。
☆5:株式会社スポカレが実施、寄贈先が水戸。
クラウドファンディング実施のリンク先
いわき、琉球、鹿島、北九州①、北九州②、C大阪、秋田①、秋田②、仙台①、仙台②、仙台③、広島、水戸①、水戸②、東京V、名古屋①、名古屋②、山口、湘南、浦和、磐田、横浜FC
※2:2020年度は新型コロナウィルスの影響もあり、年間パスを購入したサポーターの中でクラブに返金を求めず、寄付をした方の収益が、営業外収益または特別利益に計上しております。例えば、湘南はHPの【2020年度決算概要】において特別利益で計上している旨を明記している一方で、G大阪はHPの【年間パス払い戻しまたは払戻請求権放棄(寄付)申請フォーム】で寄付の選択肢があるなかで特別利益は0百万円であり、寄付が0百万円とは考えにくく、営業外収益に計上しているものと思われます。個人的には、新型コロナウィルスレベルの疫病の発生や災害等の発生に伴う年間パスの払戻請求棄却による寄付はなかなか発生しない出来事であり、臨時的な収益であることから、特別利益計上が望ましいと考えます。
※3:クラブ運営会社の筆頭株主または主要株主が経営が苦しいクラブに対して支援金を提供する場合に特別利益を計上することがあります。【神戸・徳山社長 収入大幅減の中で特別利益52億円「楽天グループから強力なご支援」― スポニチ Sponichi Annex サッカー】
特別損失
※4:成績不振により監督が契約期間中に契約解除することになり、契約解除金が発生する場合は特別損失で計上されることが、コンサドーレ札幌が過去に開示した【平成25年12月期有価証券報告書】から確認できます。通常、契約期間内に解除されることは想定されないことから、臨時的な費用として特別損失に計上していると窺えます。
3.まとめ
4.次回
次回は、BSの勘定科目の内容についてみていきたいと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!