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#10 JクラブのBSの勘定科目について調べてみた(スタジアム・移籍金)

公認会計士のゆうと申します。
数あるnoteの記事からご覧いただき、ありがとうございます。

前回までの3回にわたりJリーグの各クラブの決算書のうちPLの勘定科目について深堀してみていきましたが、今回はBSの勘定科目について深堀してみていきたいと思います。
お時間のない方は、目次から4.まとめをご覧ください。

1.BSの勘定科目について

勘定科目の内容については、2020年度の【Jクラブ個別経営情報開示資料】に沿って、開示されている範囲で説明いたします。
下記表がPLに計上される勘定科目及びその内容となります。BSはPLと比較してJリーグが開示している内容は少なく、表のベースは北海道コンサドーレ札幌のHPの決算情報の【令和3年度1月期決算公告】をもとに作成しています。
なお、北海道コンサドーレ札幌は、過去(平成19年12月期~平成25年12月期)において、有価証券報告書を開示していた名残りか他クラブよりも決算書の記載がしっかりとされております。

キャプチャ23
北海道コンサドーレ札幌の有価証券報告書を参考に作成

3.勘定科目の内容の補足

ここからは、私が個人的に気になった勘定科目について深堀をしていきたいと思います。なお、深堀した箇所の※と上記表の注はリンクしています。

固定資産等のうち、スタジアム
※1:スタジアムとして有形固定資産を計上している(=直接保有している)Jクラブは、2021年現在で柏レイソルのみとなっています。三協フロンテア柏スタジアムは、2011年に前身チームの母体企業である㈱日立製作所より現物出資という形で譲り受けてクラブ所有となりました。

なお、ジュビロ磐田のヤマハスタジアムは、ジュビロ磐田の前身チームの母体企業であるヤマハ発動機㈱の所有物であり、クラブ所有ではありません。

柏レイソル以外のクラブは、指定管理者制度という形でスタジアムの運営・管理を行っているクラブはあるものの、地方自治体が所有する競技場やスタジアムを利用しており、スタジアム本体の固定資産計上はありません。

固定資産等のうち、長期前払費用・流動資産のうち、前払費用
※2:他のクラブから獲得した選手が移籍元クラブの契約期間中での移籍の場合、移籍先クラブから移籍元クラブに移籍金は支払われます。この移籍金は、いったん長期前払費用として計上(契約期間が一年未満になった場合は前払費用に振替処理)され、定額法により契約期間にわたり、PLのチーム人件費(移籍金償却)として費用計上をしているものと窺えます。
なお、定額法で処理していることは、コンサドーレ札幌が過去に開示した【平成25年12月期有価証券報告書】内の注記事項の(重要な会計方針)より読み取れます。また、移籍金の資産計上について、元日本代表の宮本恒靖氏が日経新聞上で発言をされています。

3.BSの勘定科目の詳細が開示されていない理由

前回までのPLの勘定科目の説明に比べて、BSの勘定科目の説明があっさりなのは、BSの開示は各区分の合計だけであり、科目の内訳は北海道コンサドーレ札幌を除いて、Jリーグ及び各クラブで明らかにされていないことから、実態がわからないことが要因となります。

なお、各クラブが開示しない理由として、①〜③が考えられます。
①そもそもクラブは詳細まで開示する義務はない。
②クラブライセンス制度の財務基準の論点は債務超過であり、純資産の部がある程度開示されていれば問題はない。
③クラブ運営会社の投下資本の詳細を開示することで運営に支障をきたすおそれがあります。例えば、移籍金を支払い選手を獲得したクラブで当該1選手分しかBSに計上していないケースにおいて、対外的に公表がされていない獲得に要した移籍金の実績値がBSから簡単に読み取れてしまいます。

4.まとめ

3.次回

次回は、いよいよ財務分析で利用する指標についてみていきたいと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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