『無題』



生きるということは
僕には辛く苦しいことの連続に感じた。

感動すること、
ときめき
愛すること、
感謝をすること
とびきりに尊く儚いものたちが
僕の心に生まれて幸せを感じるたびに

不安や
嫌悪
周りの人の嫉妬や
怒りを
強く感じてしまって飲み込まれる

僕は幸せでいてはいけない

僕が笑うと
僕が幸せでいると
その他の人の心を乱してしまうから
他の人の心の平和のために
苦しくないといけない

そんなふうに考えていたようにも思える。

素敵な作品にであうたび、
僕の中の感情に向き合うたび、
心は確かに『穏やかに生きたい』
そう僕に教えてくれるのに
僕はそんな心を見てみぬふりした

いつしか僕は
『だれにも何にも気づかれずに
 そっと消える方法』

だけ探して

僕の夢を、悪にして

他の人の夢を、光にして

その光をなぞって、辿って、思いを馳せて

生きる糧にしていたような



僕はつまらない人間だ
そんなふうには思えなくて、
音にも、光にも、色にも、表情にも敏感で
常に揺れ動く僕を
僕の心を
なかったことにしたくなくて

本当は、僕の愛する僕を
そばにいてくれる人たちにも
おすそ分けしたくて仕方なくて

だから僕は今、
僕の道を歩き出したんだね、
僕の足で、
不確かだけど、
うまく行かないかもしれないし、
諦めることになるかもしれないけれど、
もう一度。

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