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フリーランス新法で何が変わる?フリーランスのメリットデメリット|企業側に求められる対応は?

2024年11月1日からフリーランス新法がスタートします!

「フリーランス新法って、よくわからない」という方も多いのではないでしょうか?

この新法によって、フリーランスは法律の保護を受けられるようになります。

今回は、フリーランス新法について、わかりやすく説明します。

フリーランス新法とは

フリーランス新法(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化などに関する法律)とは、個人で働くフリーランスが安心して仕事に取り組めるように、労働環境を保護するための法律です。

フリーランスとして働く方が増える一方で、報酬の未払い契約内容の不明確さなど、さまざまなトラブルが問題視されています。

この法律は、そうした問題を解決し、フリーランスが安心して仕事に取り組める環境整備が目的です。

フリーランス新法は、3つの基本的なことを抑えれば大丈夫!

フリーランス新法の3つの基本
・取引条件を事前に明示する
・60日以内に報酬を支払う
・7つの禁止行為をしない

それぞれについて解説します。

取引条件を事前に明示する

フリーランス新法では、企業側(発注側)がフリーランスに仕事を依頼する際、取引の内容を明確に伝えること義務付けられます。

明示すべき内容
・事業者(発注者)の名称
・業務を委託した日
・お願いする業務内容
・いつまでに業務を終わらせるのか、納品をするのか
・どこで仕事をするのか、どこに納品するのか
・業務の成果物を確認してもらう期日
・報酬の金額と支払い日
・報酬の支払い方法

企業側(発注側)が取引条件を明示する方法
メール
チャットツール(ChatworkやSlackなど)
LINE
PDF

フリーランスが注意すべきこと

・証拠を残す:メッセージが削除されても困らないよう、スクリーンショット必須
・住所を確認しておく:トラブルがあったときに連絡先が必要になるため

60日以内に報酬を支払う

フリーランス新法では、企業側(発注側)は仕事の成果物を受け取ってから、原則60日以内に報酬を支払うことが義務になります。

出典:厚生労働省|フリーランス新法パンフレットより

支払いのタイミングは?

・できるだけ早く支払う:60日という期限は上限であり、可能な限り早い支払いが求められる
・具体的な支払日の指定:「〇月〇日支払い」のように、具体的な支払日を明確にする
・支払いの遅延:支払期日を定めていない場合、原則として、成果物を受け取った日から60日以内に支払う

具体的な支払日を指定する理由

・トラブル防止:具体的な支払日を定めると、支払いに関するトラブルを防げる
・計画的な仕事:フリーランスは、いつ報酬が入るのかを明確になると、収入計画を立てやすい

7つの禁止行為をしない

フリーランス新法では、発注者に7つの禁止行為が定められています。
これを破ると罰則が科される可能性があります。

出典:厚生労働省|フリーランス新法パンフレットより

⚠️企業側(発注側)がしてはいけない7つの禁止行為
・受領拒否:
納品された成果物を、理由なく拒否する
・報酬の減額:契約で決まった報酬を減らしたり、手数料を差し引いたりする
・返品:納品された成果物を理由なく返品する
・買いたたき:不当に安い報酬で発注する
・購入・利用強制:商品やサービスの購入を強要する
・不当な利益要求:本来の業務以外の作業を強要、不要な成果物を無償で要求
・契約内容の変更:一度決まった契約内容を一方的に変更したり、何度もやり直しを要求したりすること

⚠️7つの禁止行為を違反した場合の罰則
・行政処分:指導、命令、公表などの行政処分を受ける可能性がある
・罰金:最大50万円以下の罰金を科される可能性がある

参照:厚生労働省|フリーランス新法パンフレットより

フリーランスのメリット・デメリットは?

フリーランス新法が施行されると、フリーランスにどのようなメリットがあるのでしょうか?

フリーランス5つのメリット

フリーランスにとって、新法は大きな味方です。
具体的には以下のような5つのメリットがあります

  • 取引条件の明確化:口約束ではなく、書面で取引内容が明確化されるため、トラブルを未然に防げる

  • 報酬の遅延防止:報酬の支払いが遅れるリスクが減り、安定した収入が期待できる

  • 不当な扱い防止: 報酬の減額や、成果物の返品などを一方的に要求されるといった不当な扱いを受けるリスクが軽減される

  • 労働基準法の適用:一定の範囲で労働基準法が適用され、労働条件の改善が期待できる

  • 安心して仕事に取り組める環境:上記のメリットにより、フリーランスは安心して仕事に取り組める環境を得られる

これまで労働基準法の保護対象外だったフリーランスも、新法によって一定の保護を受けることができます。

フリーランス4つのデメリット

新法が施行されると、以下のような4つのデメリットが起こる可能性があります。

  • 自己申告が必要:被害が発生した場合、フリーランス自身が被害を申告しなければならない

  • 契約解除の恐れ:契約解除を恐れて、被害を申告しないケースが起こる可能性がある

  • 新法が活用されない可能性:被害申告がない場合、新法の目的であるフリーランスの保護が実現が難しくなる

  • 契約書がない場合の対応:SNSでの口約束など、契約書がない取引は、新法の適用が難しいケースがある

被害があった場合、フリーランス自身が申告しなければならないことが、今後の課題になるでしょう。

企業側(発注側)に求められる対応と準備すること

フリーランス新法の施行に伴い、企業側(発注側)は、新たな対応を求められています。

1. 書面の作成・見直し
発注内容を明確にするため、書面(契約書・発注書など)を作成・見直
特に、報酬額・支払時期・納期・作業内容などの具体的な記載が重要

2. 支払い方法の変更
報酬の支払いを遅延させないよう、支払い方法の見直しを行う

3. 正確な募集情報の掲載
フリーランスを募集する際は、報酬額や作業内容など、正確な情報を公開する
虚偽の情報を掲載することは、法的に問題となる可能性がある

4. 禁止事項の遵守
報酬の減額・納品物の返品・不当な要求など、法で禁止されている行為を行わない

5. 働きやすい環境整備
フリーランスが安心して仕事に取り組めるよう、働きやすい環境整備に努める
環境整備は努力義務ですが、企業の責任として求められる

フリーランス新法は企業にも新たな負担をもたらしますが、適切に対応することで、フリーランスとの健全な取引関係を築くことができます。

フリーランスが新法施行前に準備しておくこと

フリーランス自身も、新法施行に向けて準備をしましょう。
具体例を紹介します。

契約条件のテンプレート作成

  • 最低報酬額の設定:案件ごとに適正な報酬額を設定し、その金額以下の仕事は請けない旨を明記

  • 特急料金の明記:納期が短い案件に対して、追加料金を請求する際の基準を明確にする

  • 修正回数の上限設定:依頼主からの修正回数に上限を設定し、過度な修正要求を防ぐ

受注者側の取引条件をまとめる

  • 自分に有利な条件:報酬だけでなく、支払い条件、著作権など、自分にとって有利な条件をまとめた上で、契約交渉に臨む

  • 書面の作成:契約内容を明確にするため、必ず書面を作成

  • 契約条件の提案:契約時は、自分から積極的に取引条件を提案

まとめ

フリーランス新法は、フリーランスの労働環境改善を目指す法律です。
その効果を最大限に活かすためには、フリーランス自身が積極的に声を上げ、権利を行使することが重要でしょう。


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