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SNSでモノを買う心理を考える 第二回

こんにちわ、MULTiPLEのディレクター/プランナーのナオと申します。

前回の第一回記事では、UGCからスマートフォンの利用時間が近年ますます増加していること、SNSでの購買のきっかけとなるのはインフルエンサーよりも友人や直接の知り合いの投稿が購入のきっかけになる割合が高いことなどがわかりました。

今回はさらにUGCと言われるユーザー生成コンテンツとは実際にはどんなものなのか、考えていきたいと思います。

 食事の写真をSNSにあげる僕ら

突然ですが、みなさん外食やご自宅で食事をする際に写真をとったことのある経験のある人は多いのでは?と思います。逆に盛り付けが綺麗な食事が運ばれてきて、すぐに箸をつけてしまい友人に怒られた経験のある人も多いのではないでしょうか。僕も何回かやってしまったことがあります。だから最近は誰かと食事をする際には、食事が運ばれてきて一瞬、間を置くようにしています。もはや現代のエチケットになっているのかもしれません。

この良し悪しはスマートフォンの普及と共に2010年くらいからいまだに議論がされてはいますが、最終的にはその先にあるSNSに投稿をして、周囲にアピールをしたいという心理が大きいのではと思います。2017年の記事ですが、精神科医の星野概念さんが同様の質問に対して「ご飯を撮っている時間は自分の欲求を優先している時です。」と答えていた記事が面白かったです。

SNS投稿用に撮影する場合。SNSというのは面白い写真や記事をアップすれば「いいね」の数という分かりやすい形でその成果が確認できます。つまり、「いいね」が報酬化しているということだと思います。生き物は、報酬に向かって行動する時、程度の差はありますが、ほとんどの場合において盲目的になります。

引用元:文春オンライン 星野概念さんに聞いてみた。

投稿により、自分が素晴らしいモノを食べたことを知らせる、自己承認の手段としての写真。僕はこの行動の背景にはもう一点、言わずもがなですが「再現のしやすさ」が絡んでいると思います。お店が定休日でないかぎり、その場所に行って同じものを食べれば同じ投稿ができます。

HipHopもTikTokでのUGCからヒットを生む時代

TikTokもこの再現のしやすさが多くのユーザーに受入られている一因と考えます。動画編集をスマホ1台で簡単にでき、さらに自分の好きな楽曲をつけることができる。日本でも人気ですがアメリカもTikTokのユーザー数が4540万人、日本が公表されている2018年12月時点で950万人、約5倍のユーザーがいることになりTikTokでの楽曲ヒットがスターになる手段の1つとして最近注目されています。

Tierra Whackのアルバム「Whack World」に収録されている楽曲Hungry Hippoはリリース自体は2018年ですが、リリースから2年後にTiktokで流行し、現時点で100万件以上の動画に使用されるヒットを叩き出しました。

動画を見ると、みんな同じ楽曲のフレーズに、思い思いのポージングで動画をとっている。さらに面白いのがこの楽曲が使用されているTierra Whackのアルバム「Whack World」収録されている全ての15曲がちょうど1分の長さしかない。彼女はこの理由について以下のように語っている。

「私はその時狂っていたのよ。そうしたら、私の一緒に働いてるエンジニアがこんな感じで言ってきたの。‘私たちは解決法を見つける必要がある。なぜなら、あなたはとても気まぐれだし、10秒経ったらもう違うことをしてるか、気持ちが変わってるかだ’ってね。だから私たちはInstagramを見てみたのよ。Instagramって投稿できる動画の長さが最長60秒なのよ。それで私たちは‘60秒の曲ばっか作れば良いじゃん、それで思う存分楽しもう。’って感じになって、私は60秒の曲をレコーディングし始めたの」

彼女の気が狂っていたのかはさておき、この1分の長さという制限の中でキャッチーなメロディーを生み出したことが、SNSとの相乗効果が生まれ、ヒットにつながった一因であることは間違いないのかもしれない。

UGCに必要なことはすぐにできること、または思えること

考えてみるとインスタ映えのために何かを買うのも「お店で買うだけで」実現できる。なにか特別な努力はいらない。またはコンテンツに必要なことはその情報を見ることで自分も真似することができる。言い方がすごく悪いけど自己承認の手段として「努力はしたくないけど、誰かに認められたい」というなんとも都合のいい心理を実現できるのだ。少し前に流行ったタルゴナコーヒーというコーヒーのレシピも肝心のコーヒーはインスタントでいいというお手軽さが流行ったきっかけの1つではないかと思う。これがもしコーヒー豆から抽出しなければならないとなれば、その手間ゆえにおそらく流行らなかったと思う。

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いいねをする理由には以下の2つがあると思う。もっと細分化はできると思いますが、ここは僕の持論として。

 1,共感タイプ
投稿された意見や内容に共感できるとするいいね。
賛成としなかったのは、賛成するには内容を理解しないといけない。早く流れていく、SNSのタイムラインの情報をすぐに読み取っていくのは「たしかにそういうのわかるよ、いいよね。」くらいが限界だと思う。

2,ライフスタイル実現タイプ
紹介されたものに対する「自分もやってみたい。できる。購入することでイメージ写真のような生活ができる」という意識でいいねすることを自分の理想のライフスタイル実現タイプと呼びたい。

ユーザーにUGCを生み出してもらうコンテンツとして、このライフスタイル実現タイプが重要だと思う。

実例に見るライフスタイル実現タイプ

イスラエル発のコスメブランド「SABON」が運営するinstagramはフォロワーが24.5万人と非常に多くのフォロワーを持ちinstagramでの集客に成功している事例だ。実際の投稿を拝見すると。

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洋風のタイル張りのおしゃれなシンクに生える、洗練されたデザインのボトル。想像を掻き立てる製品特徴と使用感の説明。自分の部屋がユニットバスのオンボロアパートでも、この商品があることで近しい空間を実現できるかもと思ってしまう。

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続いてハンドジェルの商品紹介。こちらもバッグの必需品として紹介し、製品を使うことでのメリットを詳しく記載されている。

これらの投稿に共通するのはターゲットを想定し、そのターゲットが理想とする世界観の作り方が秀逸であるということだ。年齢層としては20台後半は30台の女性、収入もキャリアを形成する中で上がり、これまでコストをかけてこなかった基礎化粧品や洗顔料などのお肌のケアにも投資していきたいと考えている。とここは勝手な想像ですが、、なんにせよターゲットに対して実現してみたい思わせるライフスタイルの世界観をつくりあげている。

そしてそれは購入によって簡単に実現ができる。
UGCを生み出す1つの手法として「ユーザーになりたい姿を想像させ」「簡単に再現できる」というのが大切なのではないかと思う。

次回はこのターゲットの設定の仕方とペルソナの設計について考えていきたいと思います。

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