より豊かで、持続可能な霧島を 〜きりしまコンポストプロジェクト(続き)
1次処理に関しては☝️こちらの記事にまとめてあります。
7月4日。いよいよ2次処理スタート
鴨志田農園の鴨志田さんに鹿児島まで来ていただき、まずは座学。
これが最高に面白かった!どんな条件下で堆肥の温度がどのように変化するかを学んだ後に、外気温とコンポストの温度が日次でずらりと並んだ表を配られて、どの時点でコンポストに異常が発生し、どのように対処すれば良いかを見極めるという問題を解いたのですが、「あ、たぶん水分量が少なくなりすぎてるな」とか「カロリーが足りてないな」とか。知識がなければただの数字の羅列に見える表の”背景”が見えるのです!(感動)
午後は炎天下、滝のような汗をかきながら初めての二次処理。
その後、水分調整をしながら定期的に切り返しの作業をするのですが、回を重ねるごとに1次処理で全然消えなかった卵やエビのカラ、とうもろこしの芯などが土に還っていくのがわかります。
8月。かなり堆肥っぽくなってきた
8月。堆肥の色もどんどん濃い茶色に。原型をとどめているのは、鶏の手羽元の骨だけになりました。折ってみると中もだいぶ濃い色になってきています。鴨志田さん曰く「もう少ししたらホロっと崩れる」とのこと。
去年だったら「わぁ、、掃除が大変だ」と感じていたであろう大量の落ち葉も、今年は宝の山にしか見えません。次の床材を作るためにみんなで必死にかき集めました。
9月。完熟堆肥、完成間近
これまで「臭くはない」といった匂いだった堆肥が、今回は「土のいいにおい」に変わっていました。微生物の力、すごいです。
今で40℃くらい。これがこのままゆっくりと外気温と同じ温度まで下がったらついに堆肥の完成!なのだそう。今年3月からの生ゴミ(日当山無垢食堂と、ひより保育園の厨房から出たもの)が全て土に還り、またおいしい野菜に姿を変えて私たちの食卓にのぼる日ももうすぐです。
あらためて日本の食を考えてみる。
先日、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による第6次評価報告書が公開され、人間の活動が温暖化を引き起こしていることは「疑う余地がない」と初めて明記されました。(涙)
私たちにできることはないのだろうか。そう考えた時に、あらためてドローダウンを見てみると、温暖化を逆転させる方法ベスト5のうち2つ、あるいは熱帯雨林の保護まで含めて3つも、私たちが食を見直すことで大きく変えられる可能性を秘めていますが、食の見直しを意識できている人はまだまだ少ない気がしています。
なお、ドローダウンに記載されている100の方法を、エネルギー・食・女性・建物と都市・土地利用・輸送・資材に分類すると、「食」ジャンルの改善による温室効果ガスの削減量の合計は300ギガトン以上にもなり、2位のエネルギー分野250ギガトン弱と比較しても大きなインパクトがあることがわかります。
地元の旬の食材を
日本の食料自給率はカロリーベースで40%弱。残りの約6割を海外から輸入して賄っています。自給率の低さも、フードマイレージ(食料の輸送量に輸送距離を掛け合わせた指標で、食料の輸入が地球環境に与える負荷の把握に役立ちます)の大きさも主要先進国で最低の水準。
各国フードマイレージの品目別比較 全国地球温暖化防止活動推進センター
地元の生産力を上げて(自分で生産する/地元の農家さんを買い支えるなど)、できる限り地元で採れた旬のものを食べることは、心にも体にも地球環境にも優しいのです。
耕作放棄地を田畑に戻す
稲作も農業由来の温室効果ガス排出の少なくとも10%を占め、世界全体のメタン排出量の9~19%を占めていると言われています。
不耕作地を田畑に戻す。1年目(今年)の秋。もうすぐ稲刈りです。
それでも耕作放棄地を田畑に戻すことには大きな意味があると私たちは思っています(ドローダウンによると「農地再生」によるCO2削減は14.02ギガトン。また、現在は様々な方法で稲作によるCO2やメタンの発生を低減させる方法が開発されています)。
食べることは生きること。自分たちが食べるものが、どこで誰が作ったものなのかを知っていること、あるいは出来る限り自分で食べ物を作ることはよく生きることそのものです。
「おいしいお米が実りますように」
ちなみに「堆肥化」は、100のドローダウンのうち第60位(2.28ギガトン)。2015年にアメリカでは食料廃棄物の38%、EUでは57%が堆肥化されています。
鹿児島県大崎町のように、自治体の全家庭から出る生ゴミを堆肥にすることも可能ですし、私たちのように小さな飲食店や保育園などの単位で実施することも難しいことではありません(むしろ楽しい)。
この輪がどんどん広がっていくといいなぁ、、、、。