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アダルトチルドレン②
私には一つ上の姉がいる。
中学3年生になれば、受験問題が当然出てくる。
恐らく何処の家庭でも、受験が『問題』になる事はないであろう。
例えば、偏差値や通学や滑り止め、費用は問題になるであろうが、此処で言う『問題』は、異質である。
父親は、公立一本と言う。私立だと金がかかって、自分が働かなければならなくなるし、酒を買う金が無くなるからであり、
何なら高校など行かせずに、このまま家業を手伝わせ、自分は働かずに遊んでいられるからだ。
極端な話、仕事をしなくても、遊んでいても、酒を飲まず、暴れず、大人しくしているなら、いくらでも我々が働いてやろう心づもりさえあった。
父親は市内で一番偏差値が高いH高校以外は認めなかった。
普段から父親が酔って暴れていて、勉強など出来る環境ではないし、第一我々は生活費を稼がねばならない。
そんな姉が高校に受かる訳がなく、しかも一番偏差値が高いとなると、最早受けることさえ無駄なのだが、見っともない酒乱のくせに、体裁だけは気にする小心者だと言うことを、我々は見抜いているのだ。
高校などに行かせず、働かせたい一心だが、外部からの物言いに備えているのだ。
『H高校を受けたが、合格しなかった』と。
馬鹿げた話である。
年を負うごとに父親は、ただの酒乱ではなく、変質的な行動が目立ってきた。
薄々は勘付いていたし、母から聞いた話も併せると、大凡の沿革は見えてくるものだ。
父親は子供の頃から変質者であった事実を知ることになる。
ある日、父親の妹が訪ねてきた。
父親は7人兄弟の三男、妹が二人、弟が一人、兄が二人、姉が一人。
この兄弟姉妹は、どいつもこいつも、ちょっと可怪しい、変な一族であった。兄弟仲は悪く、何時も刃物を振り回す凶暴性、その刃物で頭を切りつけたり、揉めていなければ、妙に仲良会話していて、互いの嫁を交換するなどを画策していたり、大凡普通の人達とは言えぬ血筋であった。
みんながみんな、セリフ調の喋り方、振る舞いがわざとらしく、自己の利益しか考えない奴らで、この異質な感じは一体何であろうか。気持ちが悪いのだ。
なので、妹が訪ねてきて、酒を酌み交わせば当然揉め事が勃発するのは目に見えている事である。
やがて口論になり、妹が捨て台詞を残し出てゆく。
『お前なんか、私が中学の時に便所で犯しただろ❗』
おいおい、お前達兄妹は………
子どもながらに、その異様さは感じていたし、話は予め聞いていたので、差して驚かなかった。
しかし、こんな奴らの血が、自分にも流れているのは事実で、この世から消えてなくなりたかった。
この鬼畜の奴隷としていきるのであれば、その辺で野垂れ死にするほうがよほどマシである。
そんな事もあったものだから、母は絶対に姉を一人で家に置くことはなかった。
そんなある日、父親の姉から電話があった。
姉が高校に行ってないなら、こっちで面倒見るし、仕事もたくさんあるから、お金送るから飛行機チケット買って、こちらに寄越しなさい。と。
母は、こんな環境にいて、ビクビクしながら生きているなら、他所へ行った方がいいし、何よりも間違いが起こらないとも限らない可能性があるなら、出た方が断然にいいと。
しかし、父親の姉は、保険代理店を営んでいて、当時は一人で何本保険に入ろうと大丈夫な時代で、保険に入れる為だけが狙いだったのである。
父親の姉の子供のは、私や姉にとっては従兄弟であるが、後で分かったことであるが、尋常じゃない程に虐められたと言う。
家に居ても、家から出ても、同じ地獄。ただ、家に居なければ、父親に手籠めにされたり、命を奪われる危険は無いわけであるから、残った母と私は、少し安心はしていたのである。
乱文誤字脱字御免。
つづく