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インディーゲーム制作におけるAI活用について考える①|無茶工房のゲーム制作日記#35

◆今回は私のように個人(or少人数チーム)でゲームを制作するにあたっての、AI活用の可能性とアイデアを探る回(その1)です

Perfect gift perfect friend』がPLiCyで1,000プレイを超えていました!
たくさん遊んで下さり、ありがとうございます✨

1.インディーゲームの定義とは

「インディーゲーム」という言葉の定義って、けっこう曖昧だなと前々から感じていまして、それこそ私が作っているような個人開発のフリーゲームから、過去に企業に所属していた有名クリエイターが独立して作るゲーム(例:小島秀夫監督の『DEATH STRANDING』)がそう呼ばれることもあり、また、企業内で社内インディーとして試験的に制作されたもの(例:日本一ソフトウェアの『夜廻』)も、広義ではここに含まれるとされるようです(▼参考にさせて頂いた記事)

今回は「業界経験のない個人or少人数チームが低予算かつ企業に所属しない(または企業の後ろ盾がない)状態で開発するゲーム」と定義して話を進めていこうと思います。

なお、この記事はあくまで「私が自分のゲーム制作にAIを活用するとしたら、どんなことができるかな?」という視点で書かれたものになります。その上、私はAIについても全く詳しくはなく、完全ド素人です。
タイトルで大風呂敷を広げた割には限定的な内容になる可能性があるので、その点はお含みおきください。

2.グラフィック制作への活用

これを執筆している時点で、いわゆる画像生成AIの得意分野は、比較的代替がきくような「あんまり細部にこだわらないから、こんな雰囲気の画像が欲しいんだけど」というふわっとした要望に素早く応えられることだと思っています。

■ゲーム内でワンポイントで使用する画像をつくってもらう【ChatGPT

ChatGPTに生成してもらった画像(※宝飾品の画像のみ)
『アナナス探偵手帖 ~太陽の行方~体験版」より

デザインや構図にすごくこだわりのあるものでなければ、クオリティの高い画像を一瞬で生成できるので、活用方法としてはアリかなと思います。

こんな感じで生成してもらいました
(この画像を少し加工して使用しています)

また「アナナス探偵手帖」シリーズは探偵モノADVの性質上、アイテム数が多いのですが、そのすべてに画像を付けられたら楽しいだろうな~と思っていました。人力でやると恐ろしくコストのかかる作業なので、そこをAIに肩代わりしてもらえたら非常にありがたいです。

これもChatGPTで生成した画像に文字などを加えて作成しました

また、構想中のホラーゲーム「ポップコーンとスクリーン」では、不思議な映画館の中でさまよう主人公が、色々なホラー映画の世界に迷い込むというストーリーを予定しています。

ゲーム内で、複数のホラー映画のポスター画像が必要になるため、そちらはAI生成を活用し、必要に応じて画像加工や加筆修正を行いながら作成しています。

和製B級ホラー作品「KOTATSU~暗闇に潜むモンスター~」
※架空の映画ポスターです

ただし、AIにも描くのが苦手なモチーフがあるようです。
上記の画像は日本の「コタツ」を題材にしたホラー映画作品(という設定で作成した)ポスターですが――

「コタツ」というものを理解できてないっぽい画像が出来上がる
二回目。これはこれで怖いけど、やっぱりコタツじゃない。
三回目。寒がりのゴジラかな?

この後も何度かトライしましたが、プロンプトが悪いのか、どう頑張ってもコタツを生成してくれなかったChatGPTさん(米国製だからコタツを知らないのか!?
仕方なく、それっぽい画像を切り貼りして、上記のポスター画像を作成しました。

突拍子もないような生成結果を返してくる頻度はそこまで高くないものの、たまに「どうした!?」って感じの画像を生成してくることもあります。
プロンプト(=命令文)の使い方などでコツを掴んでくれば、精度が上がってくるのかなと思います。

イエローダイヤのブローチ画像を作る過程でできた画像。
「ブローチ」を何か別の意味でとらえたのか、ダイヤも見当たらないし……哲学。

ちなみに、私は無課金勢なのでChatGPTでの画像生成枚数は1日あたり2枚。最初のうちは少しもどかしさもありましたが、毎日コツコツ生成していくことに慣れれば、そこまでストレスは無いです。

画像生成AIは、他にも様々なものが公開されていますので、今後はChatGPT以外にも手を伸ばしてみたいです(Midjourneyとか)

ここではゲーム内に使用するアイテムやスチルとしての利用方法を紹介しましたが、キャラクラーグラフィックにAIイラストを利用することもできると思います。
ただ、個人的には「自分のキャラは自分で描きたい!」と思う人間なのと、オリジナリティを保つために人力で賄う部分と、AIに任せる部分を分けておいたほうがプレイヤーの印象に残りやすいんじゃないかなと考えて、キャラのイラストやスチルは手描きしてます。

特にキャラクターのイラストなどは、必ずしも”クオリティが高い=プレイヤーを引き付ける”というわけではないと思います。作り手の熱量や想い――端的に言えば「癖」――が感じられるものの方が、特にインディー界では魅力的に映ることもあるのではないかと思います。

制作中の「アナナス探偵手帖~太陽の行方~」の新キャラたち(※手描き)
キャラ数が多い!

あと単純に、私のゲーム(ADV)のようにキャラ数が多く、表情差分などが必要なものの場合、キャラ画像を生成させるのは、画風の統一の観点からもちょっと難易度が高そうな印象です(Loraを活用すればできないことはないのかもしれないですが)

■配色の組み合わせを考えてもらう【Color Magic

任意のキーワードから、カラーパレットを生成してくれます
(こちらは「ラズベリー」と入力して生成されたもの)

UIやキャラデザインを考えるうえで、配色の組み合わせは重要な要素になります。ColorMagicではイメージする単語(複数可)を入力すると、それに合った配色をAIが出力してくれるので、それを参考にしながらデザインしていくことができます。

キャラ立ち絵の着彩を行う際、このパレットを参考に配色しました
(※キャラの線画やデザインは人力です)

出力されたパレットはPNG画像などでDLできるほか、サイト上で色調調整も行える点、登録不要で利用できる点、日本語対応している点などで、非常に使い勝手の良いツールだなと感じます。
出力された配色から、逆算でキャラデザやイラストを考えるのも楽しそうです!

3.シナリオ制作への活用

■ストーリーそのものの生成【AIのべりすと

私が、物語の生成AIで一番最初に思いつくのは、「AIのべりすと」です。
文章の書き始めを入力すると、AIが物語の続きを書いてくれるというものですね。調べたらStaさんという日本のクリエイターさんが個人で開発したもののようです。個人開発!?凄すぎる。
個人的に、国産AIってまだあまり有名どころが出てきていない印象なので、これからもっと発展していって欲しいなと思っています。

黒字が私が書いた文章(※適当です)
7行目以降の色の違う部分がAIです

とても素晴らしいツールなのですが、出始めの頃に触った感想としては、
・徐々に描きたい主題から逸れていってしまう
・なぜか下ネタに寄って行ってしまう(なんで?)

という2点において、実用性を求めるよりは「自分があれこれいじって楽しむためのツール」という印象でした。最近はあまり触っていなかったので、改善されているのかもしれません。

ゲームシナリオにおける活用法としては、部分的に物語を補完したり、スピンオフ作品を書かせたりしたら楽しめるかもしれませんね!
一応、小説形式でなく、ト書き形式で入力しても続きを書いてくれますので、作中のキャラクター同士の会話を書いてもらうこともできそうです。

■シナリオ中のアクセントとなるアイデア出し(ChatGPT)

私自身シナリオを書いていて
「このシーン、有名な文学作品の一節を引用したらオシャレだよね~」
「有名な映画のセリフにひっかけて、なんか謎解き作れないかな~」

と思うことがよくあるんですよね。
だけど自分の中にあるリソースには限りがあるので、「こういうシーンで使いたいんだけど、良い題材ない?」みたいなアイデアをChatGPTに出してもらうことがあります。

こんな感じで複数のアイデアを出してもらえます

あとは、劇中劇のシナリオ制作を手伝ってもらったりもしています。
こだわりたいポイントを伝えておくと、それに沿ったシナリオを書いてくれますので、それを骨組みにしながら自分なりにアレンジを加えて使ったりします。

個人的に、ゲーム本編のシナリオを丸々書いてもらうというよりは、アクセントや穴埋めで利用していくのが良いだろうなと考えています。(「オールAI製」とかを売りにするなら全部書いてもらうのもアリかもですが)
あとは、校閲なんかもやってくれると思いますので、自分の描いた文章を入力してチェックしてもらうのも有効そうですね。

4.今回のまとめ

今回は主にグラフィック制作とシナリオ制作におけるAI活用法について考えてみました。

AI活用について考えていて思ったのが「自分のゲームの強み・売りはなんなのか」を理解しておくことが大切だなということです。その強みや売りの部分をAIに代替させてしまったら、きっと作品の魅力が下がってしまうんじゃないかと思います。

AIは短時間でクオリティの高いアンサーをくれるので、特に個人や少人数で制作している人にとっては強い味方です。
だからこそ「自分でやったほうが良いこと」をしっかり見極めながら、活用していきたいなと思います。

ゾンビパニックホラーの画像を制作してもらったときの会話
場面にあった絵文字がつかえるChatGPTさん、可愛い

次回はサウンド制作への活用などを中心に、考えていきたいと思います!
お付き合いいただき、ありがとうございました!


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