アメリカが中国製品へ高関税を課す政策は実情を知れば無理もない話なんです。中国の過剰生産が世界経済を圧迫し始めています。簡単な経済学で理解できるお話です!
こんにちは、DJムッチーです。
アメリカが中国製EV(電気自動車)に100%の関税をかけると報道されていますが、秘密情報漏洩などの疑いが影響しているのかと思ったら、さにあらず・・・・・
中国の過剰生産によって、アメリカ国内のモノとカネのバランスが崩壊する危機が差し迫っているかららしいのです。
中国は共産主義なので、簡単に言うと生産資本は国が提供します。国が生産を煽っている状況と言ってよいでしょう。中国国内が好景気のうちは生産されたモノは国内消費に回るので、モノとカネのバランスは何とか保たれていました。ところが昨年来の不動産バブルの崩壊で景気は一気に後退してしまいましたが、モノの生産は止まっていません。というのも生産者の生活を守らなければならないからです。マンションに使うはずの鋼材や、EVや、太陽光パネルなどをどんどん作って、国内で売れないので輸出します。
これでは、世界各国にモノが余って価格維持が困難になりますよね。
民間が自由に経済活動を行う資本主義なら、このようなアンバランスはおこりません。ここが資本主義の数少ない良いところと言ってよいでしょうね。
EVの墓場があるのです
中国の2023年の自動車輸出台数は、日本を抜いて世界一になりました。輸出する自動車のほとんどがEVです。
中国がEVの開発に熱心に取り組んだのは1990年頃からで、開発には30年以上の歴史を持っています。故に中国製品にありがちな粗悪品というイメージはありません。EVに取り組んだ理由は、日本が作る高機能エンジンは作れないし、作れたとしても勝てないという判断からでした。
EVは家電製品といわれるように、スマホのモデルチェンジ同様にどんどん新型が出てきます。それを国民に消費させるために中国政府は最高で1台200万円の補助を出してEV産業を保護したのでした。
中国国内は、大気汚染が激しくてガソリンエンジンの車を買ってもナンバープレートをもらえませんが、排ガスを出さないEVなら簡単にナンバープレートをもらえたのも、購入促進と普及を早めたようです。
しかし、不動産バブルの崩壊で景気が傾くと車どころではない状況が国内に蔓延してEVが売れなくなって余り始めています。
2024年1月の前月比の販売台数の落ち込みは、車全体で14%下落、EVのみでは47%の下落になっています。
売れ残ったEVを広大な敷地に並べているEVの墓場と言われる場所が、自動車産業の盛んな地域にはあるそうです。
アメリカもヨーロッパも環境対策で、中国産EVを輸入しましたが、余ったEVを差し向けるので供給過剰に陥って国内産業を圧迫しかねない状況です。
それで、アメリカは中国製品に関税100%という政策をとったのでした。
EVだけではありません
先に触れたように、中国国内のマンション建設がことごとく中止になったため、鉄鋼が余ってしまい海外へと輸出を始めています。日本製鉄は市況悪化で今年度の事業利益が900億円押し下げられる見通しと嘆いておられます。
太陽光パネルも生産過剰で、世界の太陽光パネルの80%は中国製という状況です。供給過剰で値段は下がり、ヨーロッパでは住宅のフェンスに太陽光パネルを使っているという国も出始めているとフィナンシャルタイムスが報道していました。
国際エネルギー機関(IEA)は、2024年の段階で世界の太陽光パネルの需要の3倍の太陽光パネルが既に存在するそうです。今後ダンピングがおこって大幅に値下がりがおこり、とどのつまりは中国が大損することになります。
リチウムイオン電池は、今世紀半ばまでの温室効果ガス排出をゼロにすすることができる量の2倍の量が既に中国によって供給されているのです。
これ以外にも、セメント、アルミ、繊維製品、など半端ない数の供給過剰が伺えます。
日本に影響が出てくるのはこれからでしょう。その時は経済の原則にのっとって中国製品に対しては保護貿易策をとるしかないですね。
TPPに中国が入ってないことに安堵を感じてしまいます。
中国が発展途上国外交を進めるのは、ダンピング状態の製品を一般価格で買ってもらうためなのかもしれません・・・
EVの普及率が約2%と出だしでけつまづいた日本国内は、中国製EVの攻勢を受ける欧州のような状況にはないことが、車が基幹産業の国として奇しくも胸をなでおろしているところです。中国本土で頑張ってるトヨタさんはEVを中心とする供給過多により中国国内の新車の「価格競争が日に日にきつくなっている」と感想を漏らしておられます。
多分、トヨタさんはこうなるのを解ってたから、日本から輸出するのではなく中国国内でEV生産をおこなったのでしょうね・・さすが!
さて、中国の御乱行で世界経済はこれからどうなって行くのでしょうか?
中国は超少子高齢化社会を前に軍事費を使ってる場合じゃないですよね。
それでは、今日はこの辺で失礼します。
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