姉妹漫才トリオ「かしまし娘」の次女、正司照枝(しょうじ・てるえ)さんが、永眠されました。この機会に、舞台芸とテレビ芸について考えてみす!
こんにちは、子供の頃から演芸好きのDJムッチーです。
姉妹漫才トリオ「かしまし娘」の次女、正司照枝さんが今月8日に91歳で永眠されました。今年1月には長女の歌江さんが亡くなったばかりです。
栄華を誇った花の最後の花弁が落ちたようで、舞台演芸が終わりを感じさせられました。
SNSやブログの世界は、若い世代が多いので、「かしまし娘」の漫才をご存知の方は少ないでしょうね・・・
「かしまし娘」は、大阪の道頓堀にある角座の看板芸人で、土曜日のお昼に放送していた松竹系の寄席と新喜劇の番組「道頓堀アワー」の常連でした。土曜日のお昼は、吉本新喜劇を視て、道頓堀アワーを視るのがルーティーンだった当時の子供(今の初老)も多かったのではないでしょうか?
(道頓堀アワーを好まない子供も多かったですね・・・)
「かしまし娘」の芸名は、やかましいという意味の語「かしましい」をもじった芸名であることは、ご存知の方も多いと思います。ですが、「かしましい」を漢字にすると「姦しい」という、物騒な字であることはあまり知られていません。男勝りの女芸人の悲哀を感じさせる文字ですよね。
「かしまし娘」は、長女の歌江さんが三味線、照枝さんがリズムギター、花江さんもリズムギターという構成。歌江さんの三味線がリードをとっていたのが特徴的です。
「かしまし娘」の人気を追って、「フラワーショー」、「ジョーサンズ」「ちゃっきり娘」という女性3人グループが台頭してきました。どのグループも三味線奏者がいたのが時代を感じさせます。
(美人メンバーが一人含まれていました。)
「かしまし娘」はグルーヴの時代のスター
「かしまし娘」が女性漫才トリオで人気を博したのは、1960年代半ばからで活動停止は1981年。この間、市民権を得て行ったのはテレビ放送です。
東西を問わず笑いの大御所は、客と劇場の空気を共有し、一体感のなかで笑いを作り上げることができるプロフェッショナルでした。
大御所の芸というのは、客と演者が相対しないと伝わらないもので、脳科学で言うところのエンドルフィンの発動を促す芸であり、それにより生まれる笑いなのです。
特に大阪は落語の定席がなく、漫才も落語も奇術も同じ舞台で演じられていました。ゆえに他の芸に引きずられることのない大御所の芸は、さらに磨かれて行き、笑いの街「大阪」と呼ばれるようになったのです。
再生音楽では得られない、ライブのグルーヴ感に似ていると言えば、お分かりいただけるのではないでしょうか・・・
テレビは、一体感ではなく共感
テレビは1964年の東京オリンピックを境に、かなりの早さで日本中に広がって行きます。コンテンツ不足になるのは目に見えていて、NHKほか開局間もない民放も娯楽番組の制作に力を入れます。
そこで始まったのが寄席中継なのですが、シャボン玉ホリデーなどのテレビバラエティーに人気を奪われて、やがて廃れて行ってしまいます。
寄席芸をテレビで視ても、一体感からくる笑いは生まれなかったのです。
「焦点」があるじゃないか考えられる方もいらっしゃると思いますが、あれは寄席スタイルのバラエティー番組として作られています。
理由は、画面カットが7~10秒という、寄席芸では考えられない速さで展開しているからです。
大人気を得たバラエティー番組シャボン玉ホリデーの出演者は、クレイジーキャッツとザ・ピーナッツ、他バンドマンや歌手たちです。一体感で笑いをつくる人達ではない、いわば素人です。ではどうするのか・・・・・
緻密な台本と打ち合わせによって、笑わせるのではなく「クスグル」ことで人気を得て行ったのです。
「クスグル」とは、共感を得ることです・・・「ばかみたい!」とか「そうそう!」という言葉が出るのは、視聴者が自身に照らし合わせた共感によるものなのです。
バラエティー番組にコントが多いのは、話芸によって場面を客に想像させることができないし、引き込むこともできないというのが大きな理由です。
吉本新喜劇の人気の秘密
吉本新喜劇は、テレビで人気が出たと言ってもよいと思います。そもそも、吉本新喜劇は、花月という劇場で漫才や落語と一緒に演じられていました。
テレビが普及して、土曜日、日曜日にレギュラー放送されたギャグ中心のお笑い劇で一世を風靡して、実物を観ようと劇場も満杯になって行きます。
これに反して、喜劇の大御所「藤山寛美」率いる本格演劇の松竹新喜劇は、一体感の笑いの演劇ゆえにテレビでは放送されなくなり、劇場の客足も伸びなくなっていきます。
吉本新喜劇が受けたのは、笑わせたのではなく、素人がギャグでクスグったのです。出演の役者さんで演技派と言われる人がほとんどいないのは、その実証と言っていいでしょう。
舞台の大御所の芸が枯れて行ってしまいうのは、真に哀しいことです。
能や狂言のように後世に残る努力を考えないのは、カウンターカルチャーの特徴なのかもしれませんね。
劇場が閉館すると言えば、客様は一瞬でも集まってくれますが、芸が消えると言っても、だれも見向きもしないのは、悲しいこのですね。
奇特な方々が、youtubeに、かしまし娘師匠、フラワーショー師匠などの画像を残してくれています。
面白くないかもしれませんが、是非ご覧ください。
どれを視ればいいかわからない方は、僕にメッセージをください・・・
それでは、今日はこの辺で失礼します。
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第三回トークイベントは、土曜のお昼に開催しようかと
考えています・・・詳しい日程が決まりましたら発表しますね
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