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🦴 MtFと骨粗鬆症 🦴

「MtFは骨粗鬆症に気を付けないとね~」
👆👆
これ聞いた事ありませんか❓

まず結論を言ってしまいますが…
”MtFだからといって”
骨粗鬆症のリスクが高い…
というデータは見つかりませんでした。

ただし…!!

これには条件があります。

男性・女性ホルモンといった性ホルモンは、骨の形成に大きく関与しているんです。この関連性についてお話しする前に、すこし骨の仕組みについて勉強してみましたので皆さんに共有したいと思います。

骨の生産・入れ替わりの仕組み

実は、骨もお肌と同じように新陳代謝(古いのを壊しては生成…壊しては生成…を繰り返すことで健常に保つこと)により常に入れ替えが行われており、この周期は約2~3年程度と言われています。

よく血液検査をすると「カルシウム」とか「リン」という値を目にしませんか👀❓

2~3年前に作られた骨が壊され、こうした成分となって血液中に溶け出ていくのです。そして壊された分と同じ分だけ、また製造される事で新たな骨に入れ替わるのです。

つまり、ちゃんと壊されないと入れ替わらないよ!ということです。(言い換えると、血液検査でカルシウムやリンが低い=2~3年前に作られた骨が適切に壊されていない(入れ替わっていない)という事になるのです)

https://www.nisshin.com/welnavi/magazine/lifestyle/detail_033.html より

さて、ここまで理解できましたら
性ホルモンの関与について考えていきます。

まず一般に女性に多いとされる骨粗鬆症ですが、これは女性の方が骨が小さいのと、エストロゲンという女性ホルモンが関係しています。

https://www.kohjin.ne.jp/liaison/liaison_02/contents_0201.html より

ざっくりですが…
男性ホルモン:骨の生産を助長する働き
女性ホルモン:骨の破壊を抑制する働き

となっています。つまり、GIDでホルモン治療をしている人たちにとっては骨代謝バランス(破壊と生産のバランス)がぐるっと逆転して入れ替わるような格好になる為、良くも悪くも影響を及ぼす可能性があるわけです。

女性が閉経すると骨密度が一気にダウンする為、男性よりも30歳までの骨密度貯金が大事と言われています。閉経後はエストロゲンが不足する為、これにより骨密度に影響を及ぼします。

この事は私たちMTFも無視できません。
MTF=閉経女性と同じ!というくらいの意識が大切なのです。

つまり…

適正なホルモン療法を継続する事が大前提となってくるのです。

骨粗鬆症にならないために


<まずは骨密度検査!!>

実は骨密度のピークは30代。それ以降は増加させる事はできず、消耗する一方になっていきます。

つまり健康な骨を維持するには…

★30代までにしっかり骨密度をあげておくこと!!
★それ以降は消耗が遅くなるよう努力!!

が肝心になってくるのです。

タイのトランスジェンダー治療ガイドブックに「25~30歳までに骨密度測定」が推奨されているのもこれが理由です。すでに30代を超えている方についても諦めるのではなく、まずは骨密度を測定し、今の自分の状態を知ることがとても大切です。

62ページより

https://ihri.org/the-thai-handbook-of-transgender-healthcare-services-available-now/


<糖質を控え、カルシウムやたんぱく質を取る>

糖分はいろいろなものにくっ付いて、糖化(とうか)といって老化させる作用があります。この作用は、骨のコラーゲンという物質で起こります。

コラーゲンにくっ付いて糖化させてしまうため、
結果として骨を劣化させてしまいます。

https://dmagazine.docomo.ne.jp/campaign/article202111_01/ より

ですので甘いものは控えましょう!!
((コラーゲンはお肌にも欠かせません(笑)

ちなみに昔から牛乳が良い…とか言われていますが、名の如く牛さんの乳汁ですからエストロゲンが含まれていたり、特に最近の市販された牛乳は砂糖、乳糖などの糖質もたくさん入っていますので牛乳は逆効果です。

そもそも牛乳のカルシウム量でいうと少ない方で、いりこ(かたくちいわし)などのお魚のほうがカルシウム量はよっぽど豊富で健康的です(ビタミン類もついでに取れるし…)。他にも貝・海藻など日本に古来からある食べ物を大切にしましょう!!

特に体が糖化している人は要注意です。

糖新生(糖化)から抜け出すために
私がやっている対策法については、
こちらの記事で紹介しています❣

👇

<日ごろから歯のケアを怠らない>

これは上述した甘いものとも関係してきますが、骨粗鬆症と大きく関係してくるのが歯周病 / 虫歯なんです。これは顎骨(あごの骨)との兼ね合いがあります。

先ほど骨は2~3年周期で入れ替わりますよ~…と述べましたが、厳密には場所によって代謝周期が違っていて、中でも顎骨は食事の際や、食いしばりの時など日常生活でも圧が掛かりやすい部分で、代謝周期が短くなっています。これは言い換えると骨密度の変化が最も現れやすい場所なんですね。

一方で歯の根元にも
歯槽骨(しそうこつ)という骨があります。

https://shidami-dc.com/2019/02/25/vo-1%E3%80%8C%E6%AD%AF%E3%82%92%E7%9F%A5%E3%82%8D%E3%81%86%EF%BD%9E%E6%A7%8B%E9%80%A0%E7%B7%A8%EF%BD%9E%E3%80%8D/ より

こうした歯の周囲にある骨が加齢により骨密度が低下し始めますと、骨のバリア機能が低下した状態に陥ってしまうため、非常に細菌感染しやすい状態になってしまいます。つまり歯周病菌・虫歯菌が骨に侵入し、浸食してしまうおそれがあるのです。

これが進行しますと最悪の場合、顎骨壊死(がっこつえし)…なんていってあごの骨がガクン…!!と突然落ちてしまう現象にまで発展してしまいかねません。とても恐ろしいです。

「歯を大事にしなさい」
「歯の病気は万病のもと」
…なんて言われたりしますが、これはそういう事なのです。。

歯磨きだけでなく、デンタルフロスもしっかりして歯の健康を維持していきましょう!!また、定期的に歯医者に通って状態を診てもらう事も大切です。

※使う順番はデンタルフロス ⇒ 歯ブラシ!!


<歩くこと!!(運動)>

骨には、適切な負荷をかけることで丈夫になる性質があります。ここでいう歩くとは、ウォーキング…なんてきっちりしたものじゃなく、通勤・買い物など普通に日常で取り入れられるレベルのもので十分です。目標歩数は1日に少なくとも8000歩、ベストは10,000歩以上です。

上手に取り入れるコツは…
★車移動の場合はスーパー等ではできるだけ遠い駐車場を選ぶ
★買い物で商品を見るついでに歩く
★できるだけ階段を使う  

などなど…。

このように意識して気を付けていれば、普段の通勤や買い物だけでも簡単に8,000歩程度までは意外とすんなり到達します。特にオフィス勤務など肉体労働の仕事でない方は意識しましょう!!


<適切なホルモン療法>

そもそも日本では、まだまだ注射でのホルモン療法をしている方が大半の印象ですが、タイを含む諸外国では注射はエストラジオールの乱高下が激しい観点から懸念されており、どうしてもの事情がある場合のみ(最終手段)、もしくは禁止されている国もあるほどです。そういった意味で日本は割と珍しい国です。

タイでは100~200pg/mlを目標値とするのが一般的で、骨のことを考えますとエストロゲン濃度は濃い方がいいですから100後半から200程度は維持できるといいでしょう。(個人差がありますので担当医の先生としっかり話し合いましょう)

注射は濃度管理(キープ)が難しいです。たとえば、2週間に1度のホルモン注射をしている人の場合ですと、注射してから2週間後に採血することになりますので血液検査では問題なかったとしても、注射直後にどこまでエストラジオール濃度が跳ね上がってるのかは不明なわけです。

注射でないといけない人は仕方がありませんが、ぜひこれを機会により濃度が安定する経皮ホルモン剤に切り替えるなど、ホルモン療法を見直してみるのもいいかもしれません。

👇参考


以上、MtFの骨の健康についてでした❣

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