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急成長企業の知られざる成功の本質!  権限移譲と規律の絶妙なバランス      相反する2つの要素を両立させた      ドンキホーテとドウシシャに学ぶ!

私はベンチャー企業役員、独立系コンサルとして、いろいろな企業の成長戦略に関わってきました。先日、消費財商社ドウシシャの急成長事例セミナーを受講した。その後、新刊の「進撃のドンキ」を読了し、急成長企業が持続的な成長を遂げるための本質的な経営要素について、新たな気づきを得た
私の所感をまとめてみました。

■「主権在現」による現場力の最大化
  両社に共通するのは、現場への大胆な権限委譲です。
  ドン・キホーテでは「主権在現」という考え方のもと、店舗運営の多く
  の判断を現場に委ねています。同様にドウシシャでも、会長は「部下に
  は仕事をまかせろ。そうすれば失敗し損もする。
  しかし、痛い目に会わないと商売の難しさも分からず、成長もしない」
  という考えで、大胆な権限移譲を実践していました。

■リスク管理と規律の確立
  しかし、権限移譲は無秩序な放任とは異なります。
  ドン・キホーテのPPIH(パン・パシフィック・インターナショナルホー
  ルディングス)は「ミリオンスター制度」を導入し、1人の支社長に3-6
  店舗の経営を任せる体制を構築。同時に明確な評価基準を設けること
  で、自由度と規律のバランスを取っています。

  ドウシシャでも「つぶれない会社をつくる」という至上命題のもと、
  厳格な管理体制と情報システムを構築。
  特に在庫管理については「売上や利益を増やすことも難しいが、
  在庫回転率を向上させてキャッシュフローと資産内容の悪化を防ぐこと 
  はその何倍も難しい」との認識から、強力な単品管理システムを
  導入しました。

■独自の企業文化の確立
  両社とも、単なる利益追求ではない、独自の企業文化を持っています。
  ドン・キホーテは「買い場」という顧客目線での概念を作り出し、
  従来の小売業の常識を覆しました。
  また「興味期限」という発想で、常に商品の鮮度を保つ
  「買い場の鮮度づくり」を確立しています。

  ドウシシャでは「きれいな商売をする会社」という評価を得て、
  それを誇りとしていました。「金には色も臭いもついている」という
  考えのもと、不正な商売を徹底的に排除する文化を築き上げたのです。

■人材育成の本質
  両社とも、人材育成において「労働から競争へ」という転換を重視して 
  います。
  ドン・キホーテでは、仕事を「ゲーム」として捉え直すことで、
  従業員のモチベーションを高めています。

  ドウシシャでは、ひとりの社員に約1億の仕入れ調達権限を持たせる
  一方、完売期限と売上目標額、粗利目標を設定させ権限を与えました。
  また「値決めと見切りができて、はじめて一人前の商売人だ」という 
  考えのもと、人材育成を進めました。
  特に「見切り」の判断力を重視し、計画通りにいかない時の撤退判断が 
  できる人材を育てることに注力しています。
  事業計画で売上予算は当然ですが、見切り予算まで作り人材育成の
  基盤を根付かせてきました。

■所感:持続的成長のために
  これらの事例から、急成長企業が持続的な成長を遂げるためには、
  以下の要素が重要だと考えます:

   1. 現場への権限移譲と、それを支える評価・管理システムの確立
   2. 独自企業文化と価値観(企業理念)を伝える人材育成の基盤づくり
   3. 明確なリスク管理体制を構築
   4. 人材の成長を促し、評価し、フィードバックする仕組みづくり

  特に印象的だったのは、両社とも「成長」と「規律」のバランスを巧み  
  にとっている点です。
  現場の自由度を高めつつ、それを支える管理体制をしっかりと構築して 
  いる。この絶妙なバランス感覚こそが、持続的な成長を可能にする
  鍵なのではないでしょうか。

  経営者として、この両社の事例から学ぶべきことは多いと感じていま 
  す。急成長期にありがちな「成長第一主義」に陥ることなく、
  持続可能な成長のための基盤づくりを怠らない。
  その姿勢こそが、真の企業価値を生み出すのだと、改めて実感した
  次第です。

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