私の小さな趣味のカメラ話
私の趣味のひとつにカメラがある
それが「写真」とは違うことに書いてから気がついた
この表紙は初めてのカメラで撮った思い出の写真
これはそんな個人的な思い出についての話です
私はどうやら写真を撮る以上に
カメラを使うことが好きな質らしい
長年所有してその事実に気が付いた頃
所有するレンズは6本に増えようとしている
その遍歴をここに記しておきたい
私と同じように失敗を繰り返しながらも
そのカメラの世界を楽しんでいる人がきっといるはず
私はそんな失敗を含めて趣味がカメラなのだと言いたい
どのカメラがかっこいいか?
どんなレンズで撮るのが最適か?
自分にとって最高の組み合わせはどれだ?
そんなことばかり考えては日が暮れる
未完成な実験道具のようにカメラを扱い
何を撮るかよりも、どう撮るかにこだわり尽くす
机上旅行を趣味にするかの如くレンズにはまり
その沼底を浅く這ってここまでたどり着いた
時はいまから10年前
平成の終盤で登場したミラーレスカメラが目に留まる
フィルムカメラを復刻したような見た目に一目惚れした私は
Olympus PENの購入を決意した
頭でっかちで凝り性な私はすぐに店へ行ったりはしない
購入を前にカメラについて調べ、調べ尽した
マイクロフォーサーズの特徴から単焦点の魅力まで
あらゆるミラーレス記事を読み漁る
その中でPENのスタイルが気に入った
軽量なボディにパンケーキレンズ
街歩きに持ち出して写真をきめる
これぞスナップシューター!
それまでスナップ写真など撮ったことがない自分の中で
撮る前からガチガチに出来上がった理想のスタイル
その実現のため、PENの購入を決意する
二度目の決意、ここまで半年かかった
初めてのカメラはキットレンズとセットで手に入れた
単焦点はまだない
あれほどパンケーキレンズにあこがれていたはずなのに
自分の優柔不断さが判断を鈍らせた
届いたカメラの設定をいじり倒す
あまり心躍らないのがズームレンズの方
初心者は好きな画角を見つけるためにキットズームを使うのもありだから
そんな言い訳を自分に言い聞かせていた
結局ろくに撮らないままパンケーキレンズ17mm/F2.8を購入
換算34mmのこの画角は、今思えば完全に失敗だった
とにかく絵作りが難しい
標準ズームともども持て余した私は、どうしたものかと途方に暮れた
それ以降、標準ズームはお蔵入りとなる
レンズの付け替えがめんどくさくて使わずに放置された挙句
ジュースをこぼして駆動しなくなったズーム機構
申し訳ないことをしたと謝罪したい
当時から私は腰が重かった
へたくそな自分の写真を見返し
どうしたものかと悩める日々
次第にカメラの充電すら面倒になってきた
思い描いてた理想の暮らしとは程遠い世界
カメラを押入れにしまっていては
シャッターチャンスに巡り合えない
現状打破のため、私はレンズの追加購入を決める
何が悪かったのか?レンズである
そう結論付けた私が目を着けたのは12mm/F2.0
至高のスナップシューター
そう銘打たれていた
レンズ選びは慎重な判断によるものだ
自然に写るかギリギリの広角24mm、明るいF値2.0
何でも撮れる上、見た目がかっこいい
良い選択ができそうだと納得する
レンズの画角を変えるためには
広角側か望遠側、どちらかに進むほか無い
34mmからスタートした私の思考は
またしても間違った方向へ向かい始めていた
届いたレンズは箱があっさりな点以外、満点だった
専用キャップまで買ってしまうほどの気に入りようで
私のコレクションの1つとなった
しかし今日、出番はほとんど訪れない
煽りを効かせたバチバチにかっこいいスナップ写真
相棒のスナップシューターを引っ提げ、それを求め歩いた
あるとき嫌なことに気が付く
スマホの写真と似てないか?
かなり広角なこのレンズは、画面のあらゆる情報を拾う
それが写真を作品から単なる記録へと押しやってしまう
使いこなすには技術と被写体が必要、そう気づいた私にある考えがよぎる
このレンズは違ったかもしれない
不出来な写真をレンズのせいにし
またしても浅く沼を這い出した私
見つけたのは45mm/F1.8
換算90mmの中望遠レンズだった
このレンズはOlympusの神レンズと称される逸品
軽くて写りが良く値段が安くてコスパ最高
買わない理由がないと言われるほどの名作
私が今日まで愛用しているレンズでもある
所有するレンズは広角よりの24mmと34mm
90mmを追加することは理にかなっているはず
中間レンズの標準域をすっかり飛ばし
間違えたレンズ選びの方向性を強引に修正した
この淡白な箱も見慣れたものだ
初めての被写体、部屋の片隅へ何気なくカメラを向ける
このレンズは素晴らしい
どう撮れば良いか、レンズが語り掛けてくる気さえするほどに
寄った視点が画面に新鮮さを与えてくれる
制限された視野が余計な情報を削ぎ落とし
何気ない一枚でさえ作品たらしめる魔法のレンズ
自分の腕が上がったと錯覚するほどの
このレンズの特徴が、あえてカメラを使う理由を教えてくれる
お気に入りフォルダに写真が増えだした
今はスマホとカメラの二刀流
私の小さな趣味はカメラに助けられ続けてこられた
もし10年前に戻れたとして
私はこの道を避けて進めただろうか?
気になる世界を見ずやり過ごすことに
私は到底、納得などできなかっただろう
心残りがあるとしたら、それはやはりレンズのことになる
寄れば広角、引けば標準、スナップ向きの40mm
Panasonicが誇る名作パンケーキレンズ 20mm/F1.7
寄り道のために手が出せず、諦めていた逸品レンズ
昔手にしなかったそのレンズを今、手に入れた
10年の歳月を感じさせないほどピカピカしているそれが
新たな写真の楽しさを教えてくれる
そんな予感に満ち溢れているレンズの世界
これが楽しくて仕方がないのは、私だけではないはずだ
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