付録(37/100)
お疲れ様です。
九月に入り、一気に空が高くなりました。
娘が小学生の時に「小学○年生」を買ってあげませんでした。毎月の付録が欲しかったようです。
3年生の時でしたか。めずらしく買ってやりました。娘は力ずくでナイロンの荷物ヒモを無理やりに外し付録に興じているようです。妻にハサミやらノリやらを探させて夢中です。「やまおり」「たにおり」にどっちが山で谷なのか途中で分からなくなっているようです。出来た迷路ゲームはお世辞にも良い出来とはいえませんでした。
しばらくしたある日、寿司を食べに行きました。いつも通りの並にぎりを注文すると娘がいつも最後の楽しみにとっておくイクラがとっておかれたままです。どうしたのかと尋ねると涙を浮かべて「鮭は卵を産んだら白くなって死んじゃうの」と言う。確かにそうだがいきなりどうしたものかと不思議に思っていましたら、「小学3年生」に書いてあったと告白しました。
家に帰って見てみると巻頭カラーで「鮭の一生」が特集されていました。なるほど死んでいく鮭の顔は怖い。この調子で「ウニの一生」とか「トロの一生」を紹介してくれれば娘はかっぱ巻きだけでいいと言うかもしれません。ま、「かっぱの一生」がない限りは。
今では「食育」という言葉もありますが、街で生まれ育つと生産者とは遠いものです。最初からスーパーで売られている姿だと感じる子供が育ってもちっとも不思議ではありません。鶏の唐揚げに毛が1本生えてただけで大騒ぎです。
その事件後、娘に「小学3年生」を勧めても断られるようになりました。今ではそんな優しい心はどこへやら、はじめからイクラを頬張る子に育ちました。
お好みを 回転寿司で 頼めない
私の横で 「エンガワ、ひとつ~」
失礼しました。
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