普通話(普通话)と簡体字(简体字)
中国は56の民族を有する多民族国家です。
また、その広大な国土は少数民族独自の言語(モンゴル語、ウイグル語、朝鮮語、チベット語など)や地域ごとの方言が多く存在する複雑な環境です。異なる言語環境の人々を一つの近代国家として結びつけるために共通語が必要でした。それが普通話(普通话)と呼ばれる言語です。いわゆるMandarinと呼ばれる言語はそれにあたります。
ウィキペディア参照
北京語音を標準音とし、北方話を基礎方言とし、典型的な現代白話文の著作を文法規範とする。現代の普通話は中国の公用語とされる。1950年代から1960年代にかけて共産党と人民政府により、普通話の名称と簡体字、ピンインの採用などその内容を法律として定められ、各民族も普通話を学ぶことが推奨されている。
日本人が中国語を学ぶとき、ふつうはこの普通話を学ぶことになります。私も中国語の独学を始めたとき、本屋で手に取った教科書は普通話に準拠したものでした。様々な地域出身の中国人と話すと「あなたは普通話の発音ですね」といわれることが多いです。私は意識的に普通話を選択したつもりはないんですけどね。この普通話を使えば中国本土にとどまらず、香港や台湾、シンガポールなどの国や地域のほか、世界各地にある中華街などでも自由に観光を楽しんだり交流することが可能となり、さらにはビジネスの武器として活用することもできます。
日本人が中国語を学ぶときに有利なのは、同じ”漢字”を使っているということです。文字を一見してその意味が分かることができるので筆談が可能となります。中国旅行へ行ったときに看板などの内容を理解することができ、これは日本以外の国の人にはないアドバンテージです。ただし、中国本土では従来使用されてきた画数の多い複雑な漢字”繁体字(繁体字)”を識字率向上のために”簡体字(简体字)”に変えた経緯があります。より学習しやすく、より覚えやすいように整理し簡略化したもので、今では広く普及しています。公教育、メディアで使用される正式な字体です。なお、台湾に行くとまだ繁体字(繁体字)が使われています。日本人の使っている漢字に近いように見えて、これもまた別物です。でも繁体字も日本人が見たら何となく意味が分かるんですよね。ある中国の友人は「簡体字にしたせいで古くからの中国の文化が廃れてしまった」と言います。大衆化するときに複雑性が邪魔になる。絵文字化と同じく、私たちは大衆化・簡略化の方向に向かっているようです。