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腸腰筋を完璧に理解したい男 Vol.1
今回は腸腰筋について書いていきたいと思います。
皆さんの腸腰筋のイメージはどんな感じですか?
なんか色々とややこしい筋肉?
足をあげるために重要な筋肉?
ウサインボルトの腸腰筋はやばい?
横隔膜と繋がっている?
まぁーややこしい筋ですね笑
なぜ人間にはこんなややこしい筋があるのでしょうか?
今回はこの少しややこしい腸腰筋を少しずつ紐解いていきたいと思います。
(多くなりそうなので、とりあえず第一弾です)
基本的な解剖(大腰筋・小腰筋・腸骨筋)
大腰筋・小腰筋・腸骨筋それぞれの筋の解剖を考える前に、
なぜこれらの筋が総称されているのかをみていきましょう。
まず大腰筋・小腰筋と腸骨筋を総称したものをiliopsoas musculotendinous unit (IPMU)と呼びます。
このUnitが一般的にはiliopsoas muscle(腸腰筋)と呼ばれます。1)
ただ、小腰筋は機能的にも弱く、存在しない場合も多いので、一般的には大腰筋・腸骨筋を腸腰筋と言います。ただし、この小腰筋も大腰筋の安定化(主に骨盤前方縁)に寄与しているのではないかと考えられています。3)
また、
大腰筋と腸骨筋は通常同時に活動することが多いと言われています。
しかし、特定の動作や姿勢ではこれらの筋活動は変わってきます。
歩行では、毎秒2m以上の歩行動作ではそれ以下での速度と比較して、大腰筋と腸骨筋の筋活動が急激に増加したとされています。
また、腸骨筋と大腰筋の骨盤前方縁の上を乗り越えたあと、約35-45°後方に向きを変えます。
では、ここからそれぞれの筋の解剖を見ていきましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1653644313968-ONdyyCsVSK.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1653644331100-5H6ogtfqsN.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1653691245675-RMUSJDgOXf.png?width=1200)
今回は色々文献を見比べながら、私なりにまとめてみました。
文献によって起始停止が少し違ったり、機能が違ったりしていたのですが、一応まとめて見ました。
こんな感じで見てみると実際に解剖学実習に行くべきだなと思いますね。
アメリカ時代に下肢の解剖実習には参加しましたが、体幹部もしといたらよかった...
腸腰筋の機能低下がもたらす悪影響
では、これらの筋はなぜ大切なのでしょうか?
また、これらの筋が機能低下してしまうとどのような問題が起きてしまうのでしょうか?
まずは大腰筋から見ていきましょう。
大腰筋で考えられることとして、
筋の過緊張・筋力弱化・過疲労・萎縮などでしょうか?
一般的に
大腰筋の機能低下によるElongationが起こってしまうと骨盤の後傾と腰椎の後弯が起こってしまうと考えられ、
逆に過緊張でShorteningが起こると骨盤前傾。腰椎前弯姿勢が起こってしまうと考えられています。
もちろん、
大腰筋が過緊張・機能低下→骨盤・腰椎の変位
OR
骨盤・腰椎の変位→大腰筋の過緊張・機能低下
のどちらかはわかりませんが、
骨盤・腰椎が"ニュートラルポジション"にある状態で尚且つ大腰筋が正常に機能できることが一番大切なのではないでしょうか?
(ここでのニュートラルポジションとは、どちらにも動くことができる状態のことを指します。)
![](https://assets.st-note.com/img/1653644552224-S9petH837D.png?width=1200)
また、骨盤前傾+腰椎伸展姿勢は大腰筋と脊柱起立筋の短縮と腹筋群および大臀筋の筋力低下が伴うとされています。加えて、両側の大腰筋の機能低下は腰椎のKyphosisやSway-back姿勢になり、片側の機能低下は腰椎側湾に結びつくとされています。4)
ここでよくあるギックリ腰について考えていきましょう。
もちろん、ギックリ腰は様々な状態が考慮されると思いますが、ここでは仙腸関節の捻挫として考えましょう。
私の経験上で1番多いと考えられる受傷起点が
「長時間しゃがんだ後に、立ち上がると腰が痛くなった!!」
というのが多いのではないかと思います。
この受傷起点と大腰筋の関係性を考えていきましょう。
まずしゃがむという動作は骨盤後傾・腰椎屈曲の姿勢と考えられます。
つまり大腰筋は伸長された状態であると推測できると思います。
しかし、その状態から急激に立つことによって骨盤前傾・腰椎伸展方向へと移動することになると思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1653644636701-amFEROcbIF.png?width=1200)
伸長位から短縮位に筋が変化することで筋自体にストレスがかかることはもちろんですが、仙腸関節にも大きなストレスがかかると言われています。
腸骨筋の起始もちょうど仙腸関節にあるとされています。
また、
文献ではないのですが、
興味深い内容のHPがありましたので載せておきます。
https://learnmuscles.com/blog/2017/08/17/psoas-major-function-9-psoas-major-sacroiliac-joint/
ここで言われていることとしては、
大腰筋の起始停止と筋をbowstringing(弓)と考え、起始停止の位置が変わらずに筋の緊張が増えれば、そのストレスは弓の中心にきます。
そして、その弓の中心が仙腸関節にあたる大腰筋と仙腸関節の関係は大きいよね!!
ふむふむ!!という内容ですよね。
ちなみにこのリンク先のブログすごく面白いです。おすすめです笑
![](https://assets.st-note.com/img/1653644668013-4VIWPLDm3G.png?width=1200)
次に腸骨筋を見ていきましょう。
しかし、大腰筋と違って腸骨筋自体がそこまで悪影響があるというものは少ないのです。
というのも腸骨筋のみの機能低下という文献がないのです。(僕のリサーチ不足かもしれませんが...)
多くは大腰筋との共同筋として書かれていますし...
しかし、腸骨筋は大腿骨に対して骨盤を前傾にする機能があるので、
大腰筋と同様の注意が必要な筋ではありそうです。
よく聞くのがLower crossed syndromeでしょうか?
いずれにしても、大腰筋と同様に適切な評価をして、適切なアプローチをする必要がありそうですね。
![](https://assets.st-note.com/img/1653644734090-PPgpswpxIP.jpg)
私の愛書である、筋骨格筋系のキネシオロジーにすごくわかりやすい図がありました記しておきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1653644765083-1b92pJ6gI8.png?width=1200)
この続きは下記のブログに載ってます…
主には腸腰筋と姿勢制御(ヒップストラテジー)について書いています。
騙されたと思って少し見ていただければ幸いです笑
その他の記事も見てくだされば筆者はたくさん喜びます。
ちなみにこのおしゃれに見せかけているブログも自分で魂をこめて作成しております。
参考文献
1)
Anderson CN. Iliopsoas: Pathology, Diagnosis, and Treatment. Clin Sports Med. 2016 Jul;35(3):419-433. doi: 10.1016/j.csm.2016.02.009. Epub 2016 Mar 28. PMID: 27343394.
2)
Lifshitz L, Bar Sela S, Gal N, Martin R, Fleitman Klar M. Iliopsoas the Hidden Muscle: Anatomy, Diagnosis, and Treatment. Curr Sports Med Rep. 2020 Jun;19(6):235-243. doi: 10.1249/JSR.0000000000000723. PMID: 32516195.
3)
Andersson E, Oddsson L, Grundström H, Thorstensson A. The role of the psoas and iliacus muscles for stability and movement of the lumbar spine, pelvis and hip. Scand J Med Sci Sports. 1995 Feb;5(1):10-6. doi: 10.1111/j.1600-0838.1995.tb00004.x. PMID: 7882121.
4)
Cronin CG, Lohan DG, Meehan CP, Delappe E, McLoughlin R, O'Sullivan GJ, McCarthy P. Anatomy, pathology, imaging and intervention of the iliopsoas muscle revisited. Emerg Radiol. 2008 Sep;15(5):295-310. doi: 10.1007/s10140-008-0703-8. Epub 2008 Jun 12. PMID: 18548299.
平野和宏, 木下一雄, 千田真大, 河合良訓, 上久保毅, & 安保雅博. (2010). Magnetic Resonance Imaging (MRI) を用いた腸骨筋機能の検討―解剖学的観察を基に―. 理学療法学, 37(5), 356-363.