死にたいと思った私のことについて
希死念慮。
きしねんりょ、と読むこの言葉を最近初めて知った。
自殺願望と何が違うのか?とググってみると、
漠然とした死を願う状態だそうだ。
今年経験した私の気持ちを医師に伝えたところ出た言葉。
初耳なのになんとなく意味はわかった。
あのときは、仕事を辞めるか死ぬかしか選択がなくて、
いや、仕事を辞めたいけどもう後がないから辞められなくて
毎日がつらいことしかなく、
仕事に行くことが文字どおり死ぬほどつらかった。
だから、もう死ぬしかないと思っていて、
現状もつらいけど死ぬこともつらいし、
死にたいのに死ねないこともつらくて
わけのわからないところをぐるぐる回っているかんじで
なったことのない状態だし、恥ずかしくて誰にも言えないし、
ギリギリの状態だった。
死に方を考えて、部屋のドアノブで首を吊るのが一番簡単そうで
痛くなさそうだと思っていたのだけど、それを実行するまでに
うっかりどこかで飛び降りたり、電車に飛び込みそうになるので、
急いで遺書を書いて玄関をあけてすぐある靴箱の扉に張っておいた。
私が死ぬのは会社の人のせいだと、すごくつらいと書きなぐった。
これは雨宮まみさんのエッセイを思い出したからだ。
このメモがあることで思いとどまると書いていたような気がする。
私はこのメモを貼ったことで少し気が楽になって、
これでいつ死んでもあいつらがのうのうと何も知らずに生きていることは
ない、周りの人にもちゃんと知ってもらえると安心できた。
高いところが苦手なのに、会社の化粧室で歯を磨いているとき、
大きな窓を覗いているとそこから落ちたらどうなるだろうと考えていて
自分でも少し驚いた。
それでも、仕事をしに毎日出勤していた。
仕事中も死ぬことばかり考えていたので、いつもに増してミスが増え、
書面をやり取りしている親会社の人に怒られるより心配されたりした。
あまりにも辛すぎて、心療内科にも行けなくなり、
なぜかカウンセリングを初めて予約した。
福利厚生で規定回数だけ無料で受けられることを知ったからだ。
カウンセリングについてよくわからないのになんで予約したのか
今でもよくわからない。
でも、行って、誰にも話せないことを少しずつ話して、
泣いて、話して泣いて、自分が求めていたことはこれなんだと思った。
ただ話を聞いて、それを肯定してもらって、つらかったねと言ってほしい。
それだけじゃないけど、
それがまず一番に求めていたことなんだとわかった。
そんなことができない自分が可哀そうで哀れでみじめだとも思った。
本当は周りにそんなことが話せる人が、普通はいるんじゃないかと。
初回の時、カウンセラーの人が
「死ななくて本当によかった」と言ってくれたのだけど、
その時は(今も少し)なぜ死ななくてよかったのかわからなかった。
それから少し回復したので、思い切って上司に辞めると言った。
言えたことが大きな一歩で嬉しかったのを覚えている。
しかしながらというか当然説得され、
私も金銭面の不安もあるしなとひとまず保留とし、また働いた。
けれど耳鳴りとめまいがするし、気力もなく、仕事を初めて休んだりした。
そして、ある日会社でしんどいことがあって、
ぶわっと一気にこの何カ月かのことが思い出されてパニックになった。
その日は帰って薬を飲んで寝て、朝起きても体調がすぐれなかったけど
また薬を飲んで支度をして家を出た。
電車がすいている日で、誰にもぶつからずに立って乗っていたのだが
呼吸がつらくなり、胸が苦しくて涙が出てきた。
立っていられずしゃがみこみ荒い息をしながら泣いていた。
目の前の席の人が大丈夫ですか?と席を譲ろうとしてくれたけど、
病気でもないのに申し訳ないから断って、そのまま泣いていた。
その人もいたたまれなくなり席を立って無理やり私に座らせてくれて、
本当に申し訳なかったな。
乗り換えの駅について、降りて、朝の駅のホームでわんわん泣いた。
泣き叫んだ。アラフォーの女が朝のホームで。
止められないのに、頭の片隅で「私マジでヤバイやつだって思われてるな」と考えていて不思議だった。
その日は会社を遅刻し、後日仕事を休み、休職になった。
どうしてこうなっちゃったんだろう。
何がいけなかったんだろう。
やばいやつになってしまったという後ろめたさと、
会社に行かなくていいんだ、あいつらと話さなくていいんだという安堵。
これからどうしようという不安。
薬を飲んで、お腹もすいてないのに食べに食べて、
休職の手続きをとり、断斜離をし始めた。
使ってない食器、もう着れないのにとっておいた服、昔の書類、
引き出しにとりあえず入れたこまごまとしたものをどんどん捨てる。
古くなったシャワーカーテンを捨てて新しいものを買う。
もらったけど使ってないもの、古いタオル、使ってない洗剤。
捨てて、新しい仕切り箱などを100均で買って必要なものだけ整頓する。
夜中に急に雑誌を選別したりもした。
こんなにいらないものがあったんだと思うくらいすっきりした。
まだ捨てれそうだけど、ひとまずこれくらい。
掃除もきちんとするようになり、きちんと起きて寝て、
一度会社に行ったときは思ったより動悸がしてつらくて怖かったけど、
それ以外は外出して買い物をしたり観たい映画を見に行ったりして
元気になっていったように思っていた。
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