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蓮見恭子『神戸北野メディコペンナ』

万年筆の小説というと、万年筆愛好歴30年の私は読まずにはいられない。
「あなたの人生が変わります 万年筆よろず相談」と謳った看板を掲げる万年筆のペン先調整と販売の専門店「メディコ・ペンナ」を舞台に、万年筆の調整や購入で訪れる客たちが万年筆はおろか、人生の悩みも解決させて行く五話からなる短編集。
主人公は、「メディコ・ペンナ」でバイトをすることになる女子大生だが、店主との出会い、客との出会いで人生が少しずつ動いて行くハートウォーミングな作品だ。
話の軸は客たちの悲喜こもごもであり、万年筆は主要なエッセンスに過ぎないものの、使い手あっての万年筆に彩られた生活がそこにあれば良い訳で、読み終えた時には自分の万年筆への愛着を省みてしまう。
作中に登場する万年筆や万年筆についてのことには万年筆好きならのめり込んでしまうし、作品のモデルにもなったらしい神戸のお店『Pen and Message』への取材、巻末の参考文献にもあるように丁寧な取材、舞台の街である神戸の景色もしっかりと描かれていて好感が持てる。

神戸北野メディコ・ペンナ 万年筆のお悩み承ります (ポプラ文庫 は 11-1)


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