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8.【MSI主要コンセプト8-2-3】筋の相対的硬さ
このブログは、MSI(Movement System Impairment)について解説することを目的としています。
MSIについては、こちらをご覧ください。
MSIでは、身体の動きがきっかけで生じた痛みの原因を解明し、改善するプロセスを学ぶことができます。
はじめに
今回は、「相対的硬さ」についてご紹介します。
筋肉をストレッチしているときに、狙っている筋肉の伸び感が得られない経験をしたことがある人は多いと思います。
これは「相対的硬さ」が原因で、狙った筋肉が十分伸びなかったことが一つの原因です。
「相対的硬さ」とは、筋肉や軟部組織の相対的な関係性を意味します。
「相対的硬さ」を考えることは何故必要なのか?普段の臨床にどう生きるか?解説していきたいと思います。
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相対的硬さとは?
「相対的硬さ」とは、筋肉や軟部組織の相対的な関係性を意味します。
以前解説した「相対的柔軟性」は関節間や関節内の関係性を意味します。
筋肉や軟部組織の相対的関係性を考えることがなぜ重要になるのでしょうか?
身体には約640個の筋肉があると言われています。
筋肉は筋膜などを介してそれぞれつながっています。
筋膜を介して連続する筋肉は、それぞれ硬さが異なります。
硬さが異なる連続した筋肉は、柔らかい筋肉から伸びやすい特徴があります。
これは、硬さの異なるゴムバンドをつなげて引っ張るとイメージがつきやすいです。
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上の写真のように、硬さの異なるゴムバンドを両側から引っ張ると、
硬いゴムは伸びづらく、柔らかいゴムは伸ばされやすいです。
ヒトの身体の中でも、同じことが起こっています。
柔らかい筋肉は硬い筋肉に比べて、伸びやすい特徴を持っています。
なぜ相対的硬さが生じるのか?
なぜ筋肉の硬さにアンバランスが生じるのでしょうか?
それは日常生活の中で行う習慣的な動きや姿勢によって、組織の適応という現象が起こるからです。
椅子に座る姿勢を例に説明します。
骨盤後傾して、長時間座る姿勢を繰り返していたとします。
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この場合、体の後面で連続する腰椎伸展筋群とハムストリングスの長さはどのようになっているでしょうか?
腰椎伸展筋群は過剰に伸ばされて、ハムストリングスは短くなっています。
この姿勢を長時間続けていると、
腰椎伸展筋群は過剰に伸ばされて延長し、
ハムストリングスは短い位置で固定され短縮します。
これが組織の適応という現象になります。
この結果、ハムストリングスは腰椎伸展筋群より硬い「相対的硬さ」の問題が生じます。
この方がハムストリングスのストレッチをしようとしても、腰椎伸展筋群が伸びやすくなってしまっているため優先的に伸びるのはそちらの筋肉になってしまいます。
このように連続する筋肉は、
日常生活の中で行う習慣的な動きや姿勢によって組織の適応が生じ、「相対的硬さ」さが生じます。
臨床で活かすには?
「相対的硬さ」の考え方は、明日の臨床にどのように活かせるでしょうか?
大きく2点あります。
相対的硬さの原因となっている、動きや姿勢を考えることができる
伸ばすべき筋肉、硬くすべき筋肉がわかる
順番に説明していきます。
1.相対的硬さの原因となっている、動きや姿勢を考えることができる
相対的硬さは習慣的な動きや姿勢によって組織の適応が生じます。
習慣的な動きや姿勢を考えることで、相対的硬さの原因を解決することができます。
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2. 伸ばすべき筋肉、硬くすべき筋肉がわかる
伸ばさなければいけない筋肉はストレッチによって硬さを改善することが有効になります。
逆に、硬くすべき筋肉にストレッチやマッサージをしてしまうと逆効果になってしまいます。
硬くすべき筋肉は安定するためのエクササイズが効果的になります。
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まとめ
今回は「相対的硬さ」について説明しました。
「相対的硬さ」は習慣的な動きや姿勢によって組織の適応で生じます。
「相対的硬さ」の考え方を理解して、
適切な姿勢の修正やストレッチ・エクササイズを処方することで、症状の改善につながります。
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