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21.【肩の痛みはここがポイント】肩甲骨の症候群

このブログは、MSI(Movement System Impairment)について解説することを目的としています。

MSIについては、こちらをご覧ください。

MSIでは、身体の動きがきっかけで生じた痛みの原因を解明し、改善するプロセスを学ぶことができます。


はじめに

今回のテーマは、肩甲骨の症候群についてです。

肩関節の痛みは、臨床で関わることが多い症状の一つです。
肩関節周囲炎やインピンジメント症候群、腱板損傷など病態は多岐に渡ります。
それら肩関節の病態の根本に関わるのが、肩甲骨の動きになります。

筋力や硬さだけでなく、肩甲骨の動きを意識することでより効果的に痛みを改善することにつながります。

今回のnoteでは、以下の2点がわかる内容になっています。
・なぜ肩甲骨の動きは大切なのか?
・肩甲骨の症候群はどのようなものがある?

是非最後までお読みください。

肩甲骨の動きと痛みの関係

肩関節の痛みを訴える方は、外傷など明確なきっかけがない方が多いです。

明確なきっかけがない痛みは、身体の動きが原因となっていることが多いです。
これをMSIでは、運動病理学的モデルというモデルで解釈しています。
運動病理学的モデルについては、こちらの記事も参考にしてください。

肩甲骨が適切に動くことで、肩甲上腕関節が適合の良い状態を保つことができます。

しかし、肩甲骨のアライメント不良や動きの悪さが生じると、肩甲上腕関節の適合が悪い状態が続いてしまいます。

それを繰り返すと過剰に動きすぎる部分とそうでない部分が生じてしまいます。

つまり、特定方向への過剰可動性が生じた状態になります。

特定方向への過剰可動性については、こちらの記事を参照してください。

腱板疎部にストレスがかかり続ければ、腱板損傷につながります。

これが、はっきりとした誘因がなくても、病理学的な疾患につながるメカニズムになります。

肩甲骨の症候群

それでは、肩甲骨の症候群にはどのようなものがあるのでしょうか?

肩甲骨の症候群は現在9つに分類されておりいます。

  • 肩甲骨内旋症候群

  •  前傾を伴う肩甲骨内旋症候群

  •  上方回旋不足を伴う肩甲骨内旋症候群

  •  外転を伴う肩甲骨内旋症候群

  • 肩甲骨下制症候群

  •  上方回旋不足を伴う肩甲骨下制症候群

  • 肩甲骨外旋内転症候群

  • 肩甲骨浮き上がり症候群

  • 肩甲骨挙上症候群

4つの症候群に肩甲骨内旋が含まれていることから、肩甲骨内旋が大きな問題になりやすいことがわかります。

一つずつ解説していきます。

肩甲骨内旋症候群

小胸筋や三角筋後部繊維などの硬さが原因で肩甲骨が内旋位になっているのが特徴です。

三角筋後部繊維は肩甲骨内旋の作用を有します。

治療のポイントは、肩甲骨内旋筋の抑制と肩甲骨外旋筋の活性化になります。

肩甲骨外旋は、前鋸筋・僧帽筋中部・下部繊維が重要です。

胸椎後弯に伴う肩甲骨内旋

前傾を伴う肩甲骨内旋症候群

肩甲骨内旋に加えて、肩甲骨前傾を伴います。

特に小胸筋の硬さが強い場合は、肩甲骨が前傾が増加します。

上方回旋不足を伴う肩甲骨内旋症候群

肩甲骨内旋に加えて、挙上動作開始時などに肩甲骨の下方回旋が見られるのが特徴です。

上肢挙上から戻す際に肩甲骨下方回旋が先行する場合もあります。

運動機能障害症候群のマネジメントより引用

https://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=212850

外転を伴う肩甲骨内旋症候群

肩甲骨内旋に加えて、安静時のアライメントから肩甲骨外転の増加が見られます。

肩甲骨外転筋の延長がポイントです。

運動機能障害症候群のマネジメントより引用

https://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=212850

肩甲骨下制

肩甲骨の位置が下がっているのが特徴です。

僧帽筋上部繊維が過剰に伸ばされ、広背筋などが硬いもしくは短縮しています。

治療のポイントは、肩甲骨挙上筋群の活性化、肩甲骨下制筋群のストレッチです。

ADLにおける肩甲骨の下制を修正することも重要です。

運動機能障害症候群のマネジメントより引用

https://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=212850

上方回旋不足を伴う肩甲骨下制

上記の肩甲骨下制に加えて、肩甲骨上方回旋不足が生じている場合はこちらに該当します。

肩甲骨上方回旋不足は前鋸筋が大きく関与しています。

肩甲骨外旋内転

過剰な肩甲骨内転筋群の活動により、肩甲骨が外旋内転位になっているのが特徴です。

いわゆる軍隊姿勢になっている方が多いです。

肩甲骨浮き上がり

前鋸筋の弱化により肩甲骨が浮き上がっていることが特徴です。

長胸神経麻痺による、病的な筋力低下が肩甲骨浮き上がり症候群に当てはまります。

運動機能障害症候群のマネジメントより引用

https://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=212850

肩甲骨挙上

上肢挙上時に肩甲骨挙上の代償が見られます。

肩甲骨上方回旋機能の低下を肩甲骨挙上で代償している場合が多いです。

まとめ

今回は、肩甲骨の症候群についてまとめました。

肩甲骨の動きは、肩関節の痛みを考える上で非常に重要です。
筋力や可動域のみでなく、動きやアライメントについて考えることが非常に重要になります。

11/3-4に京都でMSI上肢編が行われます。
そちらでは、肩甲骨の動きとアライメントの評価を丁寧に行なっていく予定です。


少しでも良いなと思った方は、「スキ」を押していただけると今後の記事作成の励みになります。

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