短編映画「Tear」(かなりネタバレ)
若い女性が一人自室で机に向かっている。
しかし、彼女は何かを思い、頬には涙が伝っている。
机の上には書類が広げられているが、彼女の涙の理由はわからない。
一筋の涙は机の上に落ちていった。
そして、それは生きもののように動き出し、大きくなっていった。
彼女も自分が落とした涙が、自分とは別の生きもののように、ふるまい出したことに気がついた。彼女は唖然としながら涙のふるまいを見守る。
涙はなおも勝手に動いている。彼女に忖度することなく。やがて涙はベランダに向かって飛び上がり散っていった。
彼女は涙が消えていったベランダに出る。青空が広がり、東京タワーも見える。たぶん、彼女は悲しみに耐えつつも、明日に向かって行く元気を取り戻したことだろう。
Amazonプライムビデオで視聴した3分間の超短編映画である。涙が流れるほどの悲しみを人が乗り越えるプロセスを時間を圧縮して、詩的に表現していると感じた。悲しいことは忘れられないとしても、時間が思い出に変えてくれることで乗り越えられる。
3分間と短い映画をネタバレして恐縮だが、短いからこそ、この簡潔で詩的な映像表現を機会のある方にはご覧いただきたいところである。提供または制作されたのは2018年。主演女優はMiyu Hayashidaさん、制作・監督は深沢尚徳(Naonori Fukazawa)さんである。