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「良い仕事」と「働くことの意義」

「良い仕事」とは、人それぞれの価値観によるところもあり、一概に定義することは難しいのですが、私は、次の3つの条件を満たす仕事は「良い仕事」だと思います。

● 善良で、前向きな内容である
● 誰かの役に立っている
● 自分の成長や喜びにつながる

ただ、出来ることなら無用な苦労は避け、要領よく「良い仕事」をしたいのが人情です。

という訳で、今回は、前半で「良い仕事」を、より効率的・効果的に行うための心得十箇条をご紹介し、後半で「働くことの意義」についてお話ししたいと思います。

(画像は Pexels.com から引用)

「良い仕事」をするための心得十箇条

① 経緯を押さえる
どんな仕事もそうですが、新しい課題に取り組むときは、先ず「経緯」をしっかり押さえるようにしましょう。

ここでいう経緯とは、その課題が取り上げられることになった「きっかけ」や「いきさつ」のことです。

経緯を踏まえるということは「初心に立ち返る」ということでもあります。

新しい企画を立ち上げるときも、方針をうかがうときも、先ず、経緯から調べてみるようにしましょう。

② 目的・目標は、正確かつ具体的に
「目的」
「目標」はかなり重要です。これらが的外れだと、全てが無駄になり兼ねません。

前述の経緯が分かると、その延長線上にある目標が見えやすくなると思います。

そして、その目的は、他のため公のためという「公正な倫理観に基づくこと」が大事です。

「何のためにこれをやるのか」という目的意識を常に働かせて、終始、その目的がブレないことが「良い仕事」をするための条件です。

③ 本質的な問題は何か
前述の「経緯」や「目的・目標」(注:これらをひっくるめて「趣旨」と呼ぶこともあります)をしっかり押さえると、物事の本質が見えやすくなります。

本質を理解している人は話が早いです。話しているうちに「ああ、この人はもう理解っているな」という感触が伝わってくるからです。

平素から、「根っ子にある問題点は何か」を考え、出来るだけ間欠明瞭に「ズバリ本質的なことを話す」ことに心がけましょう。

④ 相手のバックグラウンドを知る
相手がある場合は、その人(達)が「どの程度の知識・経験を有しているか」を考えておかなければなりません。

つまり、相手に合うように仕事を「テーラーメイドする」ということです。

例えば、相手の知識・経験に応じて報告・説明の力点や順序、或いは専門用語の適否を変えてみたり、プレゼンの場合は予めイメトレを行うなど、

「良い仕事」をするには相手の知識レベルや関心事を踏まえて「見せ方を工夫する」ことが、とても大切です。

⑤ ビフォーアフターを明示する
報告にせよ、講義にせよ、人に何かを説明するときは「ビフォーアフターを明確にする」ことを考えてみて下さい。

例えば、これまではこのようなルールになっていたが、そのルールをこう変えると、こういうメリットが生まれるとか。

この、ビフォーアフター以外にも、「比較分析」という手法は、人に物事を説得する上で、最も分かり易いやり方ですので、是非、取り入れるようにしてみてください。

情報分析のノウハウはこちら👇️

⑥ プラスアルファを意識する
言われた仕事を、ただ漫然とやっていても埒が明きません。

「プラスアルファ」とは、仕事の成果について「期待以上のクオリティで返す」ということであり、そのような気持ちがないと、なかなか人は成長しないものです。

以前、伊能忠敬についてご紹介しましたが、

結果に満足せず、最後の詰めを怠らない姿勢こそが、「良い仕事」を生み出す必要条件となります。

⑦ 簡潔明瞭に努める
報告でも、講義でも、受け手はとりとめのない長話には苦痛を感じるものです。

時には、結論を先に言って、その理由を後から語るという手法が効果的な場合もあります。
 
最も注意すべきは「主語を明確にする」ということです。

どうも、他人に話が伝わりにくいと思う人は、主語を含む、「5W1H」に気をつけるように心がけてみて下さい。

⑧ 段取り名人になる
「良い仕事」をするためには、ある種のタイム・マネジメント能力が必要になります。

問題点や対策等が見えてきたら、最終目標をいつまでに完了するのか、その中間目標として、いつまでに何をやるのか等、マイルストーンを段階的に示すことが必要です。

そうした時間的な(良い意味での)緊張感が、「良い仕事」を後押しするのです。

特に、企画ごとは出来るだけ窓口を一本化し、「今、ボールは誰が持っているのか」を念頭に、関係各所とキャッチボールしていくと、調整が円滑に進むと思います。

⑨ 覚悟を決めよ
一旦、やると決めたら「腹をくくる」ことがとても大事です。

時に、一定の非難は避けられない場合もありますが、「良い仕事」をするためには、それを受け止める覚悟が必要です。

そして、誰しも失敗は怖いものですが、そんなときこそ、最初に掲げた目的・目標に忠実であるのみです。

先ずは「他人の好意に甘えず、自分で出来る限り最善を尽くす」、それでも困った時は、他の人にアドバイスを求めるようにしてみましょう。

⑩ どんな仕事も請け負ってみる
新しい仕事から逃げてばかりだと、いつまでたっても自分の可能性は広がっていきません。

どんな人も「初めは、何も知らない、何もできない人だった」はずです。

しかし、初めから謙虚に学び直すつもりで取り組んでいくうち、やがて自分自身の才能として定着していくのです。

新しい仕事に取り組むほどに、「才能とは、先天的なものではなく、自ら発掘するものだ」ということが分かると思います。

働くことの意義

次に、働くことの意義についてお話します。

最近の社会情勢をみていると、社会全体が「働くことの意義」を失いつつあると感じることがあります。

この世のあらゆる問題を突き詰めると、結局は人心の在り様が生み出していることなので、今の日本が最も必要としていることは「心の教育」なのかもしれません。

この本質的な問題にメスを入れなければ、いつまでも社会の根本治療には繋がらないと思います。

ところで、下の画像は映画「海賊とよばれた男」のワンシーンですが、タンク底さらいに従事したこの男たち。臭い油にまみれて辛い仕事をして、それでも満面の笑みに満ち溢れています。

一体、何が楽しいのでしょうか?

映画「海賊と呼ばれた男」のワンシーン

今の日本社会では、損得や苦楽に目を奪われるあまり、仕事を選び過ぎる風潮が強いように思います。
 
「何になりたい」、「何をしたい」にこだわり過ぎるから、不平不満が募って仕事が益々面白くなくなる。
 
つまり、初めから面白い仕事などなくて、取り組んでいるうちに段々と面白くなっていくのが仕事なのであり、油まみれの笑顔たちが、そのことを如実に物語っていると思います。
 
これらの笑顔は「生きている実感」の表れであり、つまり「働くことの意義」そのものではないでしょうか。

海賊と呼ばれた男、出光佐三は、「黄金の奴隷になるな」「仕事は金儲けにあらず、人間を作ること」と戒めました。

つまり、お金は、働く「動機」(モチベーション)には成り得ても、「目的」であってはならないということなのでしょう。

故・稲盛和夫さんは、なかなか覚悟が決まらない人は、一度、何でもいいから「ど」真剣に打ち込んでみるべきだと説いておられました。

また、スリランカ出身の僧侶、アルボムッレ・スマナサーラ師は、お金などの煩悩から解放され、執着を捨てることの大切さを説いています。

昨今、働き方改革が都合よく受け止められ、「あくせく働くことは不幸なこと」と考える人が増え、ややもすると「働く意義改悪」になってしまっています。

人は、余計な煩悩がつけいるスキがないくらいに、他への奉仕に専念している方が、むしろ健全で幸せなのだと思います。

とはいえ、プライベートの時間も大事。

仕事と私生活が、相互に良い影響を及ぼしあって、日々の生活に好循環を生み出すことが、「良い仕事」や「働きことの意義」を見出す秘訣なのかもしれませんね。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました🍀