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一人だけのコンサート
『ネブワース1996』のアルバムが配信開始されたので聴いている。
同名の映画のサウンドトラックだ。私は先月この映画を観た。地方の小さい映画館の最終日に観たからか、観客は私だけだった。
マスクもしているから、ちょっとくらい歌ってもいいだろう...と思って、oasisに合わせて歌った。15年前から歌っていた曲だから歌詞を覚えている。
歌っていると涙があふれてきた。
私が彼らの曲を覚えたときは高校生だった。いじめられていた。漫画『BECK』の主人公と全く同じ目に遭わされた。下駄箱を破壊されたシーンを読んだとき、これってみんなやられるんだ、と笑ったのを覚えている。
当時はギターが弾けたから、彼らの代表曲を演奏できた。oasisの曲はどれも簡単だ。英語もわりとシンプルなのですぐに覚えられた。
なぜ私は映画を観て泣いたのだろう。高校生の私はイギリスに憧れていて、oasisのほかにもイギリス出身のバンドの音楽をよく聴いていた。
20歳のときにイギリス留学できた。でも高校生のときから決まっていたことじゃない。ただ信じていただけだ。周りの人間は笑っていた。田舎の町で緑のモッズコートを着て、赤いタータンチェックのズボンを吐いて、部屋にユニオンジャックを飾って暮らした。私だけがイギリスに住む自分を想像していた。当時、私を支持してくれたのは体育の先生だけだった。
その頃のことと、留学していた頃のことを思い出した。おれは正しかったのだ。おれだけが見た夢。それと現実には境目がなかったのだ。
『ネブワース1996』はoasisのコンサートを追ったドキュメンタリーだ。たぶん『ボヘミアンラプソディ』が大ヒットしたせいで、イギリスでは他のミュージシャンの映画をたくさん作るようになったのだろう。来月にはデビッドボウイの映画も公開される。