リーダーが身につけるべき5つのスキルとその習熟度のギャップ、将来のタレント育成のカギ
本連載では、世界的な規模で展開された調査、「グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト(GLF)」により導き出されたリーダーシップに関する未来予測の中から、特に重要な所見を取り上げて紹介する。
これは、株式会社マネジメントサービスセンター(MSC)と米国DDI社との協力で実施した大規模なリーダーシップ調査であり、世界50カ国以上、13,695名のリーダーと1,827名の人事担当者の回答を検証したものである。日本からは2,158名のリーダーと161名の人事担当者が参加している。
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前回は、社員のエンゲージメントを高める方法の一つとして目的意識(パーパス)の明確化を取り上げた。今回は、今後リーダーが身につけるべき5つのスキルとその習熟度のギャップ、及び将来のタレント育成のカギについて紹介する(図表1参照)。
1.「将来人材の育成」「意思決定」を中心に据えた、重要課題に必要なスキルトレーニングを受けているリーダーは少ない
ビジネス環境がますます不確実で複雑になる中、成果を上げるためには上記5つのスキルの開発が重要であると、日本では48~60%のリーダーが指摘している。しかし、日本で実際にそのようなスキルトレーニングを実施している割合は、10~21%にとどまっている。これに対し、グローバルでは重要度が61~70%、実施割合は24~30%であり、いずれも日本より高い。
特に、「将来を担う人材の特定と育成」の実施割合はグローバル24%、日本10%、「意思決定/優先順位づけ」は、重要性がグローバル63%、日本48%、実施割合がグローバル30%、日本15%と、著しい差が見られる。この「Knowing-Doing Gap」が解消されない限り、今後数年で人材の課題が深刻化する可能性がある。
これらの5つのスキルを開発することで、組織は困難な状況に対処する能力を高めることができる。私たちの調査によれば、リーダーがこれらの5つのスキルすべてに優れている場合、以下のような傾向があることが明らかになっている。
さらに、これらのスキルを身につけたリーダーを有する組織は、「働きがいのある会社」に選ばれる確率も1.4倍高くなり、優秀な人材を獲得し定着させる能力が向上していると言える。
2.「将来のタレント」の育成に向けた重要なポイント
これら5つのスキルは、今後3年間でリーダーが成功するために必要不可欠なものである。実際、リーダーが5つのスキルをすべて備えている場合、仕事に対するモチベーションが2倍高まり、自らの役割にとどまらず組織への貢献を模索する確率が4倍高くなることが判明している。
しかしながら、組織がスキル開発に投入できるリソースが限られている場合は、将来のタレントを発掘し育成する能力の向上に焦点を合わせるのが賢明だ。この能力は、CEOが最も注目する「優秀な人材の獲得と定着」に密接に関わっている。
そこで、私たちは、人材の特定と育成のスキル向上に役立つ主な要素を検証した。その結果、直属の上司が以下の行動をとっている場合に、リーダーがより効果的に人材を発掘し育成していることが明らかになった。
人材の発掘と育成に優れたリーダーをもつ組織は、社内から登用された人材の成功率が平均15%高くなることも明らかになっている。
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5.DDIとは
DDIは、世界最大手の革新的なリーダーシップ・コンサルティング企業です。1970年の設立以来、この分野の先駆者として、リーダーのアセスメントや能力開発を専門としてきました。顧客の多くは、『フォーチュン500』に名を連ねる世界有数の多国籍企業や、『働きがいのある会社ベスト100』に選ばれている世界の優良企業です。
DDIでは、組織全体におよぶリーダーの採用、昇進昇格、能力開発手法に変革をもたらす支援をすることで、すべての階層において事業戦略を理解し、実行し、困難な課題に対処できるリーダーの輩出に貢献しています。
DDIのサービスは、現地事務所や提携先を通じて、多言語で93カ国に提供されています。また、同社の研究開発投資は業界平均の2倍であり、長年にわたる実績と科学的根拠に基づいた最新の手法を駆使して、組織の課題を解決しています。
◆DDI社の4つの専門分野
DDI社は、4つの専門分野を中心に、長年の実績と科学的根拠に裏付けられたソリューションと、より深い洞察を提供し、優れた成果を生み出しています。
6.会社概要
会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント