経営幹部の失敗を避けるために必要な4つのプレッシャー対策
新任経営幹部は、ビジネス、チーム、組織ネットワーク、そして自分自身の4つのプレッシャーに直面します。昇進後、彼らは複雑な意思決定や戦略的リーダーシップを求められる一方で、対人スキルや自己認識を高め、変化に適応する能力も試されます。しかし、多くの組織は新任経営幹部へのサポートが不十分で、その結果、失敗リスクが高まります。これを克服するためには、的確な能力開発と実践的な支援が不可欠です。
1.<プレッシャー①~ビジネス>ビジネスをリードするには、より複雑な意思決定や分析が求められる
経営幹部にとってビジネスをリードすることは、非常に複雑で、高いリスクを伴うものです。この階層では、PL(損益計算書)に責任をもち、より多くの従業員とより大きな責任を管理することになります。意思決定に伴うプレッシャーは大きく、その件数も増え、頑健なリーダーであっても疲労とストレスの原因となることがよくあります。
ビジネスをリードすることと、チームやプロジェクト、プログラムのリーダーを担うことは違います。新任経営幹部は、戦略的なリーダーシップに挑戦することになります。そのためには、これまでの基準とは異なる緊急性の判断が必要です。短期的な課題を、長期的かつ広範囲な戦略と関連づけて調整しなければなりません。しかし、これは過去に高いパフォーマンスを発揮して昇進したリーダーにとっては重荷となります。そのため、多くの人は単に「自分が知っていることに取り組む」だけで、長期的な事業計画を放置したまま、戦術的な事柄に没頭し続けてしまうことがあるのです。
新任経営幹部は、自覚があるか否かにかかわらず、自らがビジネス戦略を策定し責任を負う役割へと移行する準備ができていないことがよくあります。DDIが実施した15,000人以上の経営幹部を対象とした調査では、この課題に対処する準備ができているのはわずか37%であることが判明しています。
🔵ビジネスをリードする際の主なプレッシャー
2.<プレッシャー②~チーム>チームをリードするには、より幅広い対人スキルが求められる
経営幹部になると管理すべき人員や情報量が増え、自身の成功はチームメンバーのパフォーマンスに大きく左右されるようになります。これまで自分自身の強みを発揮することで成果をあげてきたリーダーにとって、新たなレベルの信頼とアカウンタビリティを他者に委ねるのは一筋縄ではいかない課題かもしれません。
さらに、アカウンタビリティが増えるにつれて、部下と一対一で接する時間が減っていきます。これはよく耳にする話ですが、昇進後に同僚からは「以前ほど話す時間がなくなった」と言われ、直属の部下からは、「もしひとつ変えられるとしたら、もう少しディスカッションや相談をする時間をつくってほしい」といった声が寄せられるようになります。
組織は時折、経営幹部に多岐にわたる責務を委ねなければならないことがあります。そのため、チームを管理するには、異なるバックグラウンドをもつメンバーとの効果的なコミュニケーションやさまざまな状況におけるメンバーの関与の促進、新しいアイデアや今までと違う視点の提供、明確な戦略の策定、役割に対する期待や責任の明確化といった、多様なスキルが求められるようになります。
🔵チームをリードする際の主なプレッシャー
3.<プレッシャー③~組織ネットワーク>組織ネットワークをリードするには、更なる先見性と主体性が求められる
新任経営幹部の中には、人的ネットワークに潜む微妙なニュアンスや機会、そして踏んではならない地雷を見落としてしまう人もいます。ある金融サービスの副社長は、「私には今、100人の上司がいるような気がする」と語りました。ビジネス、部門、チームの複雑なマトリックスにわたり、相反する検討課題を認識し、各方面に配慮し、調整しなければならないことは、閉口してしまうほど、扱いが難しいものです。
多くの人は失敗から学びます。重要なコミュニケーションや関与の機会を逃したり、最悪の場合には、戦略を実行する過程で重要な利害関係者に配慮しなかったりすることがあります。こうした過ちは、経営幹部個人の域をはるかに超えて持続的に作用し、組織ダイナミクスや長期的なビジネスの成功に深刻な影響をおよぼす可能性があります。
このようなエピソードをよく耳にします。聡明で集中力のある新任経営幹部が、成功に向けて重要な施策に懸命に取り組んでいました。しかし半年後の四半期レビューで彼女が進捗を報告するプレゼンテーションをしている最中に、突如、別の経営幹部が手を挙げて「これには賛同できません。私のグループが進めている取り組みと完全に相反するものです」と述べました。
このようなことは、特に社内の人脈と積極的に関わって相互に協力し合う関係を築いてこなかったリーダーには頻繁に起こることです。新任経営幹部にとって、不意打ちを食らう瞬間は、学びと成長の機会となる場合もありますが、変革を実現するまでに何度も予期せぬ出来事を経験しなければならないかもしれません。
しかし、4つのプレッシャーと同様に、よくある落とし穴に陥る前に、経営幹部への移行に伴うこのような側面を探求し、理解する機会があれば、社内のネットワークとの関わりは、はるかにコントロールしやすくなります。
🔵組織ネットワークをリードする際の主なプレッシャー
4.<プレッシャー④~自分自身>自分自身をリードするには、更なる自己客観視と状況への適応が求められる
新任経営幹部は、これまでの職務のときよりも周囲から注目を浴びながら仕事をすることがはるかに増えます。この変化にひるまない人もいれば、内向きに考える人もいます。しかし、自己認識があるか否かにかかわらず、個々人のリーダーシップスタイル、傾向、性格、気分、行動による影響は、経営幹部の職務に就いた時点で一段と高まります。ある経営幹部は、「自分の性格は、好むと好まざるとも、公になっていきます。問題は、それがどのような影響を及ぼしているのか、そしてそれに対して何をする必要があるのか、ということです」と語りました。
経営幹部は、自分の性格特性がリーダーシップに及ぼす影響が公になり、周囲から厳しく評価され、しばしば驚くような反応に直面するため、適切な内省と適応が不可欠となります。
経営幹部として成功するには、自身の性格特性と新しい状況への適応力のバランスを保つことが極めて重要で、最も難しい側面でもあります。率直なフィードバックは貴重な財産ですが、階層が上がるにつれてそれを得るのは難しくなります。リーダーとしてのキャリアの早い段階でフィードバックを受け、うまく活かすことを学んだ人は、昇進するにしたがって、自分が率いる組織の状況や方向性を的確に読み取れる確率がはるかに上がります。
一般的に、リーダーが経営幹部へと昇進するにつれ、自己理解のために深く内省する必要性が著しく高まります。信頼できるアドバイザーからの支援や客観的な情報を得ずに内省するのは困難です。しかし、経営幹部になりたての段階であれば、ベテラン経営幹部と比較して組織構造やヒエラルキー、リスクの影響が小さいため、コミュニケーションや率直なフィードバックを収集することは、はるかに容易です。
🔵自分自身をリードする際の主なプレッシャー
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1.経営幹部の昇進後に必要な能力開発対策
2.経営幹部の失敗を避けるために必要な4つのプレッシャー対策
3.新任経営幹部を育成する3つのアプローチ
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7.会社概要
会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント