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コンビテンシー面接の活用術Vol.9(1/4)
1.面接の目的は「あばく」ではなく「見極める」こと
「君なら、これ、どうやって売る?」
そういってポケットからライターを取り出し、ポーンと応募学生の机の上に置いた面接官がいました。
このような質問で、応募者のどんな能力がわかるのでしょうか?
この面接官は、単なる気まぐれや思いつきでなければ、あらかじめ自分が思い浮かべた「正解」もしくは、自分の感覚にどれだけ近い回答を応募者がするか、それを試しているとしか思えません。応募者から満足な回答が返ってこなければ、「君、これを売るにはね」と、得々と自身の「正解」を学生に説明したことでしょう。
これは面接手法の適否をうんぬんする以前の問題です。応募者という一人の人格を前にして、この面接官はずいぶん倣慢な方だと感ぜずにはいられません。マナーが、というより、その立ち位置のとり方がです。
面接官の高みから応募者を見おろし、「自分には人を見抜く力がある。意表を突いた質問をして応募者の本音や本質を露呈させ、それでもって応募者の性格をいいあてよう」というような姿勢、といったらいいでしょうか。
いえ、この面接官だけが特異なのではなく、立ち位置のとり方という意味では、こうした傾向を多小なりとももった面接官が少なからずいらっしゃるようです。
面接は応募者の「性格・性向をあばく」ことが目的ではありません。その目的は「コンピテンシーを見極める/そのために応募者から十分な情報を収集する」ことにあります。
そして、見極めた内容をその人の能力開発のために役立てるのです。
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2.能力開発にこそ活用してほしい
もっとも、採用選抜の一環として行われる「コンピテンシー面接」は精度の高い科学的な合否判定のメソッドとしてつかわれるわけですから、不合格にした人の能力開発には当然ながら役立てることはできません。しかし、採用した社員には(あとで述べるように)配属先の選定にも活用できますし、コンピテンシーを活用して描いたその社員のプロフィールは、その後の人材開発のきわめて有効な手法となりえます。
私は、ある企業でマネージャーの昇進昇格インタビューを行っています。その手法は行動質問を軸にした「コンピテンシー面接」と同じものです。
約2時間かけて行ったインタビューのあと、「自分が、この会社に入って何をやってきたかを、これほどじっくりと振り返ったことはありませんでした。そして、自分のマネージャーとしての仕事の進め方や自分の行動特性にあらためて気づきました。とても疲れましたが、いい機会を提供してもらい本当に感謝しています。
今後、このインタビューで気づいたことを生かしながらどのように仕事を進めたらいいか、そんなことを整理するのにとても役立ちました」との感想を述べる方がいらっしゃいます。
そのように感じる方は、もともと高いコンピテンシーをもった人なのでしょう。能力というのは漠然とした概念ですが、それが自分の具体的な行動特性として捉え直されたとき、その人は今まで言語化しにくかった自分の強みや改善点、あるいは能力開発の方向について自分の棚卸しができたのかもしれません。
一方で、インタビュー終了後、人事の方にそのマネージャーのプロフィール(マネージャーとしての強みと今後の啓発ポイント)を報告すると、
「伊東さん、まるで何年間もそのマネージャーと仕事をしていたようですね。その人のことがわずか2時間でここまでわかるのですか?」
と本当に驚かれますが、「コンピテンシー面接」とは元来そういうものなのです。
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3.中途採用におけるコンピテンシー面接の活用
先にも述べたように、中途採用(キャリア採用や職種別採用)の場合、配属する部署が前もって決まっているため、面接でどのようなコンピテンシー(その構成要素としての能力要件)を確認・評価すればよいかが、より具体的・明確にわかります。
ジョブ・ディスクリプション(担当する職務の内容やそこで必要とされるスキル・能力などが記載された書類)が整備された会社であれば、そこに書かれた内容に沿って必要なコンピテンシーを抽出すればいいわけです。これはコンピテンシーと対応させやすいものです。
ただ日本企業でジョブ・ディスクリプションをとり入れ、その内容を欧米企業のレベルで整備している会社は、大手の一部以外にはほとんどありません。あったとしても、あまりつかわれていないのが現状のようです。組織が人を受け入れ、人が仕事をつくっていく日本企業の組織風士には、職能や職掌、役割分担といった概念はあっても、仕事の枠組みを明文化するジョブ・ディスクリプションの考え方はまだまだなじまないでしょう。
中途採用においては応募者のコンピテンシーをチェックして得られた評価結果を、配属先選考の材料に直接つかうことはまずありません。ただ、応募者の弱点や能力開発の余地を面接で見つけだしたら、教育・育成のための情報として、配属先の上司や部門長にその内容を伝えておくことはできますし、それは即戦力化していくうえでも有効でしょう。
たとえば、「Aさんは○○についてきわめて高い知識やスキルをもっていますが、あまり社内外での交渉に携わった経験がないため、交渉ごとの多い当社の仕事のやり方には多少とまどうかもしれません。しかし適応能力は高いので、そうした経験を意識的に積ませるように指導すれば、きっとこの部門で力を発揮してくれるはずです」というように。
もちろん中途採用であっても、面接・評価で応募者のコンピテンシーに当初期待していた以上の高い能力が見いだされたなら、ある特定部署に対する欠員補充の緊急性がない場合、その能力が大いに生かせる部門を選定し直して、そこに配属するということは十分あり得ることです。
たとえば、「財務・経理部門のスタッフを求む」として、当該部門の中でも定常的業務を行っているスタッフの強化を目的に募集をかけたとしましょう。このとき応募してきたBさんには、面接の結果、定常業務を行う力も十分あるけれども、それ以上に企業ビジョンの実現や企業価値の向上を推進する高い志向性とコンピテンシーがあることがわかりました。
この場合、当初のもくろみを捨ててBさんを戦略的財務を行っている部署に配属したほうが、会社にとってメリットが大きいことはいうまでもありません。
以上のようなことは、コンピテンシーに着眼した面接だからこそ可能だといえます。
これが旧来型の面接であれば、「Aさんはなかなか仕事ができそうだけど、ちょっとアクが強そうな人だね」とか「Bさんを採用したいんだが、本人は前職での同様の仕事に満足していないようですぐに辞めるんじゃないか、それが心配だ」といった種類のフィードバックで終わってしまうでしょう。
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【著者プロフィール】 伊東 朋子
株式会社マネジメントサービスセンター執行役員 DDI事業部事業部長。国内企業および国際企業の人材コンサルティングに従事。
お茶の水女子大学理学部卒業後、デュポンジャパン株式会社を経て、1988年より株式会社マネジメントサービスセンター(MSC)。
人材採用のためのシステム設計、コンピテンシーモデルの設計、アセスメントテクノロジーを用いたハイポテンシャル人材の特定およびリーダー人材の能力開発プログラムの設計を行い、リーダーシップパイプラインの強化に取り組む。
(※掲載されていたものは当時の情報です)
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🔵会社概要
会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント
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