息子からの暴力。#発達障害
児童相談所というものがある。
虐待防止ダイヤル。
夫婦でのパートナーからの暴力の相談窓口。
だれでも聞いたことがあると思う。
病院で仕事をしている私。
もちろん、医療従事者として、小児などは、
虐待が疑われるような場合は通報するようになっていることを知っている。
じゃあもし、大人が殴られたら?
大人が自分の子どもから暴力を振るわれたら?
いったいどこに逃げればいいの・・・?
発達障害の息子からの暴力
生生しい話だが、昨日、息子から「公式に」殴られ、蹴られ、打撲跡が残り、痛みで動くのが辛い一日を送った。
公式に、というのは 私の個人的な感覚の表現。
本当の、悪意がこもった暴力・攻撃 というものを自分に向けてきたのはこれが初めてなので、何となくこの言葉がしっくり来るのでこう表現している。
臀部(お尻)を蹴られたので、座るのにも痛く、
おまけに、私はちょうど2週間前に車の事故で全身を打撲して頸椎もむち打ちになっているもんだから
ただでさえ 痛みがありながらも やっと仕事に行き始めたところ、
痛い腰が、さらに痛くなった。
昨日のわたしは、ショックが大きくて、
すごくパニックになってしまった。
「やめて」
といっても、とどめを刺すかのように蹴りを入れてきた息子。
手をつかんで、殴るのを止めようとしたのに、
逆に手首をつかまれて、逃げられない状態にされた上で、臀部を蹴られた。
本能的に、
「怖い」
そう思って、廊下に逃げた。
右腕に一発、右膝に一発、腰に一発。
音で表すなら、
「ごっ」
と、低くて、鈍い音がした。
重い衝撃が、体に響いて、
痛くて普通には歩けず、
ズボンを下ろしたら赤く腫れていて、
お尻は今朝見たら、黒くなっていた。
体は恐怖とショックで震えていて、
顔は青ざめていた。
混乱してパニックになりながら、
スマホで
「子ども」「暴力」「警察」「通報」
こんなキーワードを入れて調べた。
「子どもからでも、殴られたら、警察を呼んでいいの?」
「でも、通報したら、息子は前科がある人間になってしまうのでは?」
「暴力をふるう人間とは、一つ屋根の下では暮らせない。逃げなければ。
・・・でも、どこに?」
一瞬の出来事の中で、混乱しながらも、こんなことを考えていた。
暴力へのトラウマ
父親のDVがひどい家で育った私は、
男性が怒る姿がトラウマだ。
離婚したけれども、
今時まじめで物静かな人、と思って選んだ夫はモラハラ夫で、
外面はいいのに、家では人格が変わり、物を投げ、罵倒し、壁を壊した。
「どうして」
ど う し て
私の頭は、殴られた瞬間は真っ白。
けれども数秒後、
こう思った。
どうして?
どうして??
一体何が、起こったの???
いちばん距離を置いておきたいもの
それは、暴力だ。
暴力をふるう、男という生き物。
私の世界に最も必要のない存在だ。
わたしは、暴力で荒れた家から、父から、ボロボロになった家族から逃げる為、高校卒業後は、寮付きの県外の看護学校に進学した。
結婚した夫は、モラハラがすごかったため、
数か月は我慢していたが、
赤ちゃんだった息子が夫がたてた大きな音に怯える姿を見て、家を出た。
逃げた。
暴力が嫌で、恐くて、逃げてきたのに、
なぜ?なぜ?
なぜ、息子までもが私を殴り始めるのか????
絶望しかない。
悲しさ、恐怖、戸惑い、混乱。
一晩経った今も、まだショックから立ち直れてはいない。
ADHD、ASD。発達障害と暴力。
発達障害の人間が、キレやすい、怒りやすいのは、
白黒思考が強かったり、もともと抱えているストレスが多いので余裕が無く、我慢が聞かないとか、
自分の気持ちには敏感なのに、人の気持ちを想像するのは難しい、とか。
衝動性が高いので、いきなりドカンと爆発してしまう、とか、
とにかく、怒りが爆発しやすい要素がそろっている。
ADHD人の脳は、ゼロか100か。
さっきまでニコニコしていたかと思えば、
ひょんなことから怒りのゲージはMAXに。
瞬間的に爆発。
爆発した怒りは、炎が収まるまで烈火のごとく。
自分でも抑えられない勢いで燃える。
怒りという感情でさえも、0か100かなんて・・・
悲しすぎる。
本当に生きづらいし、自分でいうのもなんだが、迷惑すぎる特性だ。
発達障害あるあるだが、中間地点がなく、いつも白か黒か、という感じ。
その特性がこんな場面でも出てしまうんだから・・・
さて
ベルギーのPhilippe Verduynが発表している見解によると、
人間の怒りの感情の持続時間は2時間だそうだ。
怒りの感情と関連しているのは、ノルアドレナリンというホルモン。
ADHDの勉強をしている人は、このノルアドレナリンという物質の名前をよく目にすると思うが、
ノルアドレナリンがバッと一気に出たりチョロチョロと出たりするADHDは、
無気力・ダラダラ=ちょろちょろ
爆発しているとき=一気にドバドバ
わたしのイメージでは上記のような感じでノルアドレナリンが分泌されていると考えている。
そして、怒りを我慢するためには、前頭前皮質というところの働きが重要だ。
前頭前野(前頭前皮質)は、人間が人間であるために必要な領域といわれている場所なんだけれども、
ここがあるから人は我慢したり、想像したり、物事を決定したりすることができる。
感情のコントロールをつかさどっている、とても重要な部分だ。
(ちなみに、交通事故などで高次脳機能障害などになってしまうと、キレやすくなったり、意欲がわかなくなってしまったりという症状がみられる。
それも、ここ前頭前野がダメージを受けたことによる症状である。)
ADHD人は、前頭葉の機能不全とよく言われるが、
自分の怒りのパターンを振り返ってみても、それは感じることがある。
瞬間的なノルアドレナリンの分泌に加えて、前頭葉がうまく働いておらず、怒る自分の姿への客観視が不十分で、怒りを抑えるという選択ができない。
「ここはここまで怒る場面なのか?」という問いに対して、事態を客観視し、
「いや、そんなに怒るところではない」と判断して
怒らないという選択ができるのが定型発達・・・というか、前頭前野がしっかり発達している人だといえる。
(前頭前野が発達している=人間。前頭前野の大きさ、人間は大脳の30%、チンパンジーは17%を占める。)
簡単に言うなら、想像力がよく働いて、ここで怒ったらどうなるかが予測できるのが人間と定型発達人。
それができないから、湧き上がる怒りをそのまま瞬時に爆発させてしまう発達障害人。(注:すべての人が当てはまるわけではありません。)
前頭前野は、5歳から20歳ごろまでだんだんと成熟していき、完成は25歳くらいだと言われている。
息子が怒りを爆発させたのは、まだ前頭前野の発達が未熟なのと、
もちろんADHDの傾向MAXだからだと思う。
わたしも家族の前では怒りが爆発してしまうことがある。前頭前野がどの程度機能しているのか不明。アドレナリンの調節は間違いなく上手くできていないんだろうな…
これからどうする?
こうやって、分析は得意な自分。
でも、事件は現場で起きている・・・じゃないけれど、
問題は目の前でまさに、進行中だ。
正直、わたしは暴力を振るってくる人間に対して、
なにもしてやりたくない。
実の息子であっても、
自分を傷つける人間に、
食事を作ったり、洗濯をしたり、おやつを買って来たり、塾の費用を捻出したり、したくない。
1mmも、エネルギーを投じたくない。
わたしもASDで、さらにはADHDの診断まではあと1点という限りなく黒に近い人間。考え方は極端だとは思う。
しかし、本当に、暴力を振るう人間に優しくなんて、したくない。
保護者として息子を扶養しているからには、
保護者としての責任、子どもを育てる責任というものがある。
それでも、わたしは、暴力が繰り返されるなら、
親であることを放棄してでも、
彼の将来を応援する気持ちを捨ててでも、
彼から逃げるかもしれない。
彼の将来のことといえば、結婚ー離婚、これも頭をよぎる。
このまま前頭前野の発達が未熟であれば、
結婚しても相手の女性の前で、爆発してしまうんではなかろうか。
そしたら、モラハラによって相手の心はすぐに離れるはず。
モラ夫から逃げた私のように。
世間の離婚されている人間は、けっこうADHDのひと、いるんじゃないだろうか。(※自虐含む。)
暴力が続いた時、警察に通報したら・・・
傷害罪という前科が付いたら・・・
将来への影響を考えていられるだけの精神的余裕を持つことはできるのだろうか。
「警察に通報したら、一生取り返しのつかない汚点として、進学、就職、結婚、すべてに影響するものを残してしまうのではないだろうか」
こんなふうに親として思う自分がいる。
堂々巡りになってしまうが、
だからといって、暴力を自分だけが我慢し続ける、殴られ続けるなんて絶対に嫌だ。
この先の未来に、私が親であることを続けているのか、
それとも息子の暴力が続き、どこかに逃げているのかは、まだわからない。
親が子に殺害されるという事件が時々ある。
他人ごとに思えない自分がいる。
※一応、次に取れるアクションの選択肢としては政府の設置しているDV相談窓口に連絡すること、精神科の先生に相談する(息子・じぶん)ことかなと思っています…。
子どもの暴力から逃げた人の経験、聞いてみたいなぁ…