まだ間に合う。IQ130ASDの私が教える 脳科学的「夢を叶えるための目標」の立て方
2025年、脳科学的に目標を叶えてみる?
2025年になりましたね。皆さん、新年の目標は何か立てましたか?
ASDで脳外科看護師・心理士のわたしが、脳科学的に目標達成についてお伝えします。
目標を立てるときに邪魔になるのは完璧主義
ASDは完璧主義がゆえに、かえって目標達成では挫折しやすいと言われています。そして、完璧主義でないASDの人に、私は会ったことがないかもしれません。
ASDの人は、切なくなるほど真面目で、曲げられない部分があって、すごく素直にも見え、角度を変えると頑固にも映ります。
完璧主義であるというのは、なんだかすごく崇高に見えます。目標が高いという事は、いいことです。
しかし、ASDの完璧主義は「挫折」しやすくし、夢を遠ざけます。
若いときの私は、『○○でなければならない』が非常に強く、自分にも他人にもとても厳しい見かたしかできないような人間でした。
理想というのが常に高いところにある傾向で、常に今の自分は理想に達していないダメな人間だと思っていました。
今でも、今の自分は本来あるべき姿よりもずっと劣っているという感覚がありますし、どこかに理想の働き方、生き方がある気がしていて、ずっと落ち着かないです。「これでいいんだ」と思えません。
自分は、心理学でいう「青い鳥症候群」かもしれませんね。
聞いたことある?理想を求めて彷徨う『青い鳥症候群』
青い鳥症候群(Blue Energy Syndrome)は、1983年に精神科医の清水将之氏が提唱した概念です。もともと由来になっているのは、童話のヘンゼルとグレーテル。幸せの青い鳥を探して旅に出たけれど、青い鳥は自分たちの家にいた、ということで、現在では、理想を追い求めて現実に満足できない状態を指して使われています。
例えば、現在の職場に対して、「自分はもっとできるはずだ」とか、「私がするべき仕事はこんな仕事じゃない」と強く思い、まだ能力が未熟なのにもかかわらず、理想ばかりを高く掲げて転職を繰り返す場合や、
現在の彼氏、彼女などのパートナーに対して、「自分に釣り合う人はもっと他にいるはずだ」など、現状よりも理想となる相手が別にいるはずと強く思いこんだりします。(こちらは別途、シンデレラシンドロームとも言われる。)
理想を求めて、資格取得に励んだり、高みを目指すこと自体は一概に悪いとも言えませんが、いつになっても幸せになれない感覚や、他人と比較して苦しい思いをするのが特徴で、根底には、強い劣等感を抱えていたり、嫉妬心が強い、自分に自信がない、などが隠れています。
または、「自分は幸せになってはいけない」という心理学でいう「罪悪感」を持っており、自分が幸せなところに居てはいけないという強い暗示を自分自身で描けてしまっている場合もあります。
青い鳥症候群の特徴として、
転職が多い
長続きしない
過大評価しすぎる
幸せになりたい気持ちが強い
現状で満足できない
自信がない
他人からの評価を受け入れない
などがあります。なんだかいつも自分の現在の立ち位置が落ち着かず、いよいよ転職や、パートナーと別れることを考え始めたときに、立ち止まって一度よく考えてみてほしいと思います。
「本当に、今いる場所を去ってもよいのか?」
「身の回りにある幸せや、ありがたみを、過小評価してはいないか?」
もちろん、自分らしく、楽しく、を追求して環境を変えていくことは私も賛成です。自分もそうしてきた結果、マルチな働き方をしてきて、同じ場所にとどまっていたのではできなかった経験もしてきました。
しかし残念ながら、外資系企業の頃よりも、看護師として夜勤をしていた頃よりも、年収が下がっているのは事実です。
青い鳥症候群の人は、キャリアの積み上げや、技術の習得がなされないまま次へ行ってしまうので、収入も安定しなかったりします。年収が上がらないままに次の職場へ移るので、いつまでもスタートの安い賃金に逆戻りしてしまうような傾向をたどるのです。
青い鳥症候群のように、自分の内的な負の要素が作用して現状を受け入れることができず、逃げる為あるいは高すぎる理想のためにその選択をしているのか、反対に、そこにとどまることで失ってしまうものが多くなるのか。見極めは自分では難しいかもしれません。
衝動的に辞める、次の職場を探す、とならないように、立ち止まってみて、紙に書いてみるといいです。
1.ここに居続けることで、失うものは何か
2.ここにとどまることで、得られるものは何か
3.新たな選択をすることで、得られるものは何か
4.新たな選択をすることで、失うものは何か
頭の中で考えているだけだと、ごちゃごちゃして考えがまとまりにくいので、紙でも、声に出してでも、あるいはSNS上でもよいのでアウトプットしてみてください。
成功する目標を立てるときの心の持ち方
1.はじめは大きく考える。
心理学研究でも、”ポジティブに””遠い目標”を、”離れた未来”に持っておくほうがいいとされています。
夢とか目標は、考える段階では変に枠にはめないほうがよいのです。
というのも、自分で勝手にリミットを決めてしまうと、本来実現することが可能であるのに、現実的に考えすぎ、自分でその可能性を断ち切ってしまうという事になりかねません。
目標を立てる段階では、「もしも自分が何の制約もないならどうしたいか」「年齢にも住んでいる場所にもこだわらないとしたら、何がしたいか」
かといって、そこで終わると、単に夢で終わってしまいます。
2.目標を描く順番を間違えない。
遠い目標から、近い目標を考える
まず、漠然とした大きい目標が経ったら、次にしていくのは近い段階での目標を立てることです。
たとえば、5年後に自分のお店が持ちたい、とします。
そうしたら次に、
ではそのためには何ができる?
自分にできる?
どうやったら実現する?
どんどん疑問を投げかけてみてください。
脳というのは、疑問を向けられると集中して考えやすいです。
ぼやーんと、なんとなく「どうしたいか」を考えるよりも、
「○○のためには何をしたらいい?」と課題を提示される方が、
”課題解決したい”という性質を持った、脳みそが働きます。
疑問を投げかけると明確になってくるというのはどのような場合でもそうなので、良かったら使ってみてください。
では、5年後に自分のお店を持つ、の場合。
疑問を投げかけてみます。
私にできるのか?
➡資金があればできる。食品を扱うのであれば、必要な資格を調べて取得すればできる。何のお店がやりたいのかをもっと具体的にすればできる。土地と建物を取得して、自分以外の人的リソースが必要か考えればできる。時間を確保すればできる。
お金は用意できるのか?
➡何にいくら必要なのかを洗い出す必要がある。利益はいくらくらい出していくのか、それとも趣味程度でできればいいのか、なども考える必要がある
➡継続していけるのか?
もしも続けていくにしても失敗するにしても、はやくに挑戦して失敗すれば、リカバーも可能
ざっとこのように考えていき、目標を現実化していきます。
近い目標を突き詰めて考えることは、10~30分かけてじっくり考えることが必要なタイミングです。ここで細かく出てくると、目標達成はかなり実現可能な現実的なものとなってくるでしょう。紙とペンを用意して、思いつくものをどんどん書いていってみましょう。
3.失敗や行き詰まったときの対策を立てておく。
脳は、退屈なこと、面倒くさいことが苦手です。反対に、ちょっとがんばればできることには挑戦することに楽しさを感じることができます。
報酬系という場所は、脳の中でも中脳とドーパミンの分泌が関わっている場所ところにあります。簡単に言うと、人間の生殖行動や、飲みたい、食べたい、などの生きるための欲求が基本になるのですが、それを満たすための行動を促したり、達成されると快感を感じます。そして、達成したときの喜びは、その欲求を満たす行動をより強化していくきっかけになっていきます。
反対に、自分が頑張ったのにもかかわらず目的を達成できないとなると、それはストレスとなり、人間はネガティブな感情を抱いて、ストレスを感じさせるものから逃げたくなります。頑張っても試験に受からなかったりすると、達成の快感を味わうことができずに、その勉強をするのが嫌になりますので、逃げたくなってしまうのです。
目標達成でも、なにも対策を立てずに進んでいってしまうと、この挫折体験をしたときに嫌になってしまいがちです。それを阻止するための対策を複数立てておくことが達成率を上げるうえで有効になります。
可能であれば、3つくらい挫折したときの対応を書いておきましょう。ポイントは、挫折したときに行動を止めないで済むことです。自分がつまづいたと感じたときにも次の行動を書いておくことで、脳は「失敗してしまった」を感じずに済み、挫折感を感じずに済むだけでなく、行動を修正していくことができるのです。
いかがだったでしょうか。少し長くなってしまいましたが、目標達成についてまとめてみました。ASDの完璧主義が強いと、1月1日、とかキリのいい数字が来ないと動けない場合があります。自分の特性もうまく活かして、自分の人生が楽に楽しくなる方向に向かって行けるといいですよね。
それではまた!