シングルマザー。「奥様」と呼ばないでほしい話。
先日、昼寝をしていたら呼び鈴がなった。
恥ずかしながら、下着姿同然だったので、息子にモニター出てもらう。
「なんか、工事のひとみたいだよ。」
とのこと。
近所では建築中の家もあり、時々建築業者さんが、通行止めにする予定なんかであいさつに来ることがある。
今回もそんなことかと思って、服を羽織って玄関に向かう。
ガチャリ
ドアを開けると、名札を下げた女性。
『ああしまった。これはなんかの営業だな・・・』(心の声)
居留守すればよかったと一瞬頭をかすめる。
ASDの私は、スイッチを切って、きままに過ごしているのを邪魔されるのが大の苦手だ。
玄関ドアを開けてしまった以上、しかたがないと腹をくくる。
と、その次の瞬間、
「奥さまでいらっしゃいますか?」
と、その営業の女性が言った。
『ああ、これ、私の大嫌いな言葉だ…』(心の声)
結婚しているときであっても、言葉の正確性などを無意識に感じて意識してしまう自分にとって、「奥さま」
『大奥』などの歴史から来ている、女性は家の奥にいるというイメージを連想させるこの言葉は、差別用語にカテゴライズ(分類)している。
ゆえに、わたしは『奥様』とか『ご主人』とか、そういう類の言葉を当然のように使う人間を心の中で線を引いて、軽蔑している。
庭付きの一軒家の扉を開けたのが女性だからって、
私を「奥さま」呼ばわりしたんだろうか?
それとも、営業のアニュアルに、そう書いてあるのか?
(だとしたら、大変に倫理的な意識が欠如している会社だと思う。)
いまや、シングルであること、結婚を選択しないこと、あるいは私のように、離婚歴がある女性は
女性の婚姻について、内閣府男女共同参画局の調査によると、2020年時点で
「配偶者(法律婚)がいる」と回答した人は、
20代で約2割、
30代で約6割、
40代以降で約7割となっている。
40代女性は、3.6人にひとりは結婚していないか、離婚あるいは死別という形でシングルなのだ。
そして、ジェンダーのこともあるではないか。
いまの時代、単に女性、男性、だけでなくて性だって多種多様なはず。
だから、たとえ単なる営業だとしても、
安易に他人のことを、「奥さま」と呼んでくるような輩は、
わたしの感覚だと信じられない。
わたしは、「奥さまですか?」の問いには答えず、
「どういったご用件ですか?」
と手短に答えて、外壁のリフォームの案内に来たというその女性の話を一通り聞いてやった。
が、モヤモヤは止まらない。
思わず、対応を終えた後、
『シングルマザー』『奥様』『不快』というキーワードで、
スマホで検索してしまった。
ある女性は、
「離婚しているので、奥様ではありません。」と答えたと書いてあり、
ある女性は、
「腑に落ちないけど。面倒くさいので、適当に受け流した。」
と残していた。
一方男性でも、
同僚女性と歩いているところ、「ご主人」と「奥さま」と呼ばれて不快な思いをしたと書き込みがあった。
呼び方で不快な思いをしている人は、けっこういるもんだ。
「あっちも仕事なんだから仕方ない」
「じゃあ何て呼ぶのが正解なの?」
など、複数のコメントもあった。
私は、「お客様」と呼ぶべきだと思う。
もしも病院ならば、カルテがあるから「〇〇さん」と名前で呼ぶ。
名前のわからない人に対しては、「失礼いたします」とか名前を付けずに呼びかけるだろう。
ASDというのは厄介で、こういう気持ちの悪い経験は、いつまでも頭にこびりついて離れなかったりしてしまう。
フラッシュバックして、いやな気持を生々しく思い出したり。
次にもしも奥さまと呼ばれたら、
「奥さまではありません。」とはっきりと言おう。
日本語のレッスンで、女性への呼び方について教える機会があれば、
注意事項として伝えていこうと思う。
世間の営業職の方々にお願いだ。
どうか女性を、「奥さま」「おくさん」
そう呼ばないでくれ。
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