「Bling-Bang-Bang-Born」の「It's 生身」を英語にするなら?バイリンガルZ世代女子と考えてみた
中毒性のあるリズムと音楽性の高さで世界的な大ヒットとなっている「Bling-Bang-Bang-Born」。Creepy Nutsという日本の男性ミュージシャン2人のユニットによる楽曲ですが、若者はもとより、大人のみなさんも耳にしたことがあるのでは、と思います。
(流行ってからだいぶたつので、今さら感ありますがご了承を)
この楽曲、日本のマンガ誌「ジャンプ」連載の人気マンガ『マッシュル』のテレビシリーズ第二期のオープニングソング、とのこと。マンガも楽曲も、世界的大ヒットを記録しているようです。
ラテン的リズムラインのカッコよさと、英語と日本語がミックスされた歌詞の小気味よさは、何度も繰り返し聞きたくなってしまいます。
日本発のコンテンツが海外でヒットを飛ばすと、在外の日本人としてとても誇らしい気持ちになります。このアニメ『マッシュル』と、テーマ曲の「Bling-Bang-Bang-Born」は、北米でもいまだに流行し続けていて、TikTokなどで聞かない日はないです。
さて。
この曲の繰り返される歌詞に「It's 生身(なまみ)、It's 生身、Yey Yey Yey Yey…」という部分があります。
この「生身(なまみ)」という言葉、英語にするなら何ていう?というのが今日の記事のテーマ。カナダの現地校に通うZ世代の娘と話してみました。
アニプレックス公式ミュージッククリップでは「Raw(生)」
まずはこちら。アニメの公式サイトでは「生身」に対して「Raw」という字幕がついています。
「Raw」は「生」という意味。お刺身のことを「Raw fish」と説明したりしますね、あの「未調理・未加工」という意味の「生」です。
ChatGPTによると、本来の意味から派生して、「感情や表現が率直である」とか「洗練されていない」ということも示すため、人や感情についての形容詞としても使えるそうです。
でも(私はアニメを観ていないので歌詞や周辺情報からの想像ですが)、「Raw(生)」っていうと、どちらかというと未熟であったり、むき出しの傷つきやすさのようなものを連想させます。「生身」が「生」であることに間違いないものの、「傷つきやすい」感じではないんじゃないかな?というのが私の第一印象です。
Creepy Nutsの公式Youtubeでは「Brawn(筋肉質)」
そしてお次はこちら。楽曲提供サイドのCreepy Nutsの公式サイトでは「Brawn」という字幕がついています。
「Brawn」は「筋肉質の」という意味の言葉だそう(知らなかったです)。身体的な力や筋力の強さ、見た目の筋肉の発達などを示す言葉で、特に「頭脳ではなく筋力」というような意味合いを含むことが多いそうです。
ChatGPTに例文をあげてもらうと、
He relies more on brawn than brains(彼は頭を使うよりは筋力に頼る)
のように使うということでした。
このアニメは魔法学校が舞台で、魔法を使えない主人公が身体的能力でそこを生き抜いていくという話、とのこと。なるほど、「Brawn」という言葉から直接的に「生(なま)」な感じは受けませんが、アニメの内容を知っている人には納得感が強い言葉かもしれません。
ただし、「Brawn」という単語は日常会話やビジネス会話で出てくる言葉ではなく、やや文学的な表現・限定的なシーンでのみ使われる使用頻度の低い言葉です。
日本語で「生身」というと日本人なら意味やニュアンスが分かる、という点から考えると、ちょっと難しすぎる言葉なような気もします。
私は「Unarmed(丸腰で)」
私はアニメを観ていないのでこの楽曲の歌詞だけからの印象ですが、この楽曲の主人公はどちらかというと「強い」ですよね。
「一番上」を目指して「脱皮しつづけて(ちなみに脱皮は「Up-grading」と訳されていました)」いるわけですから、意思の力というか精神力があると解釈しました。
そういう立場の人がいう「生身」というのは、「武器を持たないで」「自分の持っている力で」という感じなのではないかな、と考え、「Unarmed(丸腰で・武器を持たずに)」という言葉が思い浮かびました。
アニメを観ていないだけでなく英語も中級者で、そもそもの語彙が少ない中からの発想にはなります。が、子どもも観るアニメという性質上「ネイティブなら小学校低学年で誰でも知っている」くらいの難易度の言葉で表現できるといいのでは、と思うので、まぁありかな、ということで。
娘は「By yourself(自力で)」
バイリンガルでZ世代で、このアニメのファンでもある娘が出したのが「By yourself」という言葉。
「自分の力で」という意味合いの言葉なので、発想としては私に近いかもしれません。「生身」であるのが「自分」なのか、「誰かに向かって語りかけている言葉なのか」の解釈がわかれるところもおもしろいですね。
実は、彼女が重視したのはリズム感。「It's 生身」と「By yourself」はぴったり音節の数が合うんですね。実際に英訳して歌うとするなら、そこは非常に重要なポイントですから、なるほどな、と感心しました。映画などの字幕のつけ方に通じるものがありますね。
あなたの「生身」の英訳は?
歌詞や詩のような芸術作品を訳す、というのはときとして無粋なこととなりうることは承知していますが、この歌を聴いているとその言葉運びの巧みさに、「これ、英語圏の人に意味を聞かれたらなんて説明したら伝わるかな」と考えずにいられません。
公式YouTube動画での字幕も、自動生成のものかもしれませんし誰のどういう意図や承認があるものかは知らないけれど、いろいろな解釈があっておもしろいです。
他に「いや、この言葉/説明の方がしっくりくるんじゃ?」という言葉を思いつかれた方は、ぜひコメントやXで教えてくださいね。
YurikoのXはこちらです。(https://twitter.com/MrsRosy3)
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