南房秀久『華麗なる探偵アリス&ペンギン』(2014)紹介と感想
著者/南房秀久 イラスト/あるや『華麗なる探偵アリス&ペンギン』小学館, 2014
一時期、石崎洋司さんの『マジカル少女レイナ』と南房秀久さんの『トリシア先生』のシリーズを夢中で読んでいました。
何か児童書を読みたくなり、今回は南房秀久さんの未読だったシリーズの第1作目を読んでみました。
あらすじ
夕星アリス、中学2年生。
冒険家のパパと世界中を飛び回って暮らしていたが、危険な所に行くからと知り合いの家に預けられることになった。
その家には『ペンギン探偵社』と木札がかかっており、中には人語を話すペンギン探偵P・Pジュニアが居た。どうやら、彼がパパの知り合いらしい。
P・Pから受け取った指輪をの力で鏡の国に入ることができるようになったアリスは、アリス・リドルとなり、探偵助手としてP・Pの仕事を手伝う事になる。
テレビで人気の少年探偵シュヴァリエとも協力しながら、美少女怪盗赤ずきんなどが起こす事件に挑んでいく。
紹介と感想
2024年7月現在、23巻まで出ている小学館ジュニア文庫の人気シリーズになります。
また、シリーズ9巻目まではオーディオブックでも聞くことができます。
主人公のアリスは、人よりテンポがゆっくりな女の子で、何かを考えたり決めるのに多くの時間をかけてしまいます。
その代わり、慌てずにゆっくり考えることで、いつも的確な考えに辿り着くことができるのです。
また、探偵助手としても役に立つ能力として、一度見た物を細かい所まで憶えておくこともできます。
アリス自身は、考えるのが遅いことで怒られたりした経験もあることから、自分に自信がありませんでした。
しかし、指輪の力で行く事が出来る〈鏡の世界〉は、現実世界から切り離されており時間が進まないため、ゆっくりと考えることができます。
しかも、〈鏡の世界〉を通れば、現実世界の色んな鏡から自由に出入りできるのです。
アリスは、指輪の力も使いながら探偵助手として事件の解決に貢献していきます。
アリスの世界は、いつも捕まってしまうの懲りない美少女怪盗赤ずきんが現れたり、テレビ番組で人気の探偵シュヴァリエと仲良くなったり、どんどん広がっていきます。
また、アリスの苦手な学校も、シュバリエの正体である響 琉生の協力で少しずつ楽しくなってきました。
第1巻は、世界観の説明と物語の下地作りという感じでした。
今巻を読む事で、アリスのポテンシャルの高さや、基本的な人間関係(ペンギン関係も)を理解することができました。
事件としては、チュートリアル的なシンプルさでありながら、だからこそアリスの凄さが分かりやすい「ファイルナンバー0 最初の事件」が良かったです。
あるやさんのイラストも作品世界にピッタリで、デフォルメキャラもかわいかったです。
思った以上に「それは結構ヤバイ犯罪ですよ!」という事件もありますが、明るく進む作風で、最後までサクサク読む事ができます。
果たして今後のアリスの生活はどうなっていくのか。
これからも、児童書を読みたくなった時に、アリスとP・Pの活躍を追っていきたいと思いました。
また、読了後にオーディオブックも聞きましたが、各キャラクターともイメージに合っていて楽しく聞くことが出来ました。
シリーズ一覧
01.華麗なる探偵アリス&ペンギン(2014)
02.ワンダー・チェンジ!(2014)
03.ミラー・ラビリンス(2015)
04.サマー・トレジャー(2015)
05.トラブル・ハロウィン(2015)
06.ペンギン・パニック!(2016)
07.ミステリアス・ナイト(2016)
08.アリスVS.ホームズ!(2016)
09.アラビアン・デート(2017)
10.パーティ・パーティ(2017)
11.ホームズ・イン・ジャパン(2018)
12.ウィッチ・ハント!(2018)
13.ファンシー・ファンタジー(2019)
14.リトル・リドル・アリス(2020)
15.ゴースト・キャッスル(2020)
16.ウエルカム・ミラーランド(2021)
17.ウィッシュ・オン・ザ・スターズ(2021)
18.ダンシング・グルメ(2021)
19.ペンギン・ウォンテッド!(2022)
20.キャッツ・イン・ザ・スカイ(2022)
21.スパイ・スパイ(2023)
22.ハッピー・ホラー・ショー(2023)
23.スイーツ&モンスターズ(2024)