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ブリュノ・クレメール主演 メグレ警視 第42話『メグレと老外交官の死』(2003)紹介と感想

原作:ジョルジュ・シムノン『メグレと老外交官の死』(1960)
原題:Maigret et la Princesse
脚本:ピエール・グラニエ=デュフェール、ミシェル・グリソリア
監督:ローレン・ヘイネマン
時間:86分


あらすじ

外務省の元大使サン・チレール伯爵が銃殺された。
伯爵には若い頃からの恋人・イザベルがいたが結婚は叶わず、何十年とお互いの生活を事細かに伝え合う文通を続けていた。
現在の伯爵は、四十六年も使えている家政婦と二人で規則正しい生活をしており、敵はいそうにも無かった。
メグレは、上流階級の空気や現実感の無い恋愛事情に戸惑いながらも、関係者に話を聞いていく。


紹介と感想

ブリュノ・クレメールのメグレ作品のうち、日本に紹介された最後の話になります(ドラマは全54話あります)。

原作よりもラリュのメグレへの態度が少し柔らかい感じがあったり、公証人のオボネがお爺さんから女性に代わっており、伯爵の女性との関りを印象付ける一つとして描写になっているなど、登場人物周りで原作との違いが細かくあります。

展開としても、原作では結末近くにあった孫や医者と話す場面が早いタイミングで入っていたり、デノワイエ神父の存在により信仰が物語の重要な要素であることを匂わせる変更があります。
また、原作ではやや唐突だったサン・チレールが死んだ部分の動機に関しても、捜査中に補足が入っていました。

外務省のコロミエールが途中で手紙を回収しに来る下りは別になくても良い変更点でしたが、地味な物語の中に少し騒ぎを入れるためなのもあったのかもしれません。

メグレの上流階級への逡巡は、クリスチアニに捜査の弱腰を突っ込まれる形で描かれていました。

原作通り地味な内容ですが、時間が短めなこと、後期順レギュラーのクリスチアニとバテスティの出番が多めなこともあり、意外と最後まで楽しめました。


キャスト

          メグレ警視/ブリュノ・クレメール
         クリスチアニ/ピエール・ディオ
          バテスティ/ジャン=ポール・ボネール

      ジャコット・ラリュ/コレット・レナード
イザベル・ド・ヴィーゼンベルグ/ミシュリーヌ・ブデ
         コロミエール/ギュイラウム・ガリエンヌ
        デノワイエ神父/ピエール・オーセダ
       アラン・マズロン/マリオ・ペクール


他の映像化

ルパート・デイヴィス主演(英)
 シリーズ3 第1話『Voices from the Past』(1962) ※日本未紹介

ジャン・リシャール主演(仏)
 第47話『Maigret et l'ambassadeur』(1980)※日本未紹介


ブリュノ・クレメール主演シリーズ視聴記録

☆がお気に入り、〇がお気に入りには後一歩だけど楽しめた作品、△が思うところはあるけどドラマとしては悪くない作品です。
全て現時点での評価になります。

〇01「メグレと消えた死体」(1991)
 04「モンマルトルのメグレ」(1992)
☆05「メグレと首なし死体」(1992)
☆06「メグレと深夜の十字路」(1992)
☆07「ホテル・マジェスティックの地下室」(1993)
☆08「メグレたてつく」(1993)
☆09「メグレと口の固い証人たち」(1993)
☆10「メグレとベンチの男」(1993)
☆11「メグレと宝石泥棒」(1994)
〇12「メグレと幽霊」(1994)
△15「メグレ間違う」(1994)
☆16「メグレと老婦人」(1995)
〇17「ローソク売り」(1995)
☆19「サン・フィアクル殺人事件」(1995)
☆21「男の首」(1995)
☆23「パリ連続殺人事件」(1996)
〇24「メグレの途中下車」(1996)
☆25「聖歌隊少年の証言」(1997)
△29「マダム・キャトルと子供たち」(1999)
△30「野菜畑事件」(1999)
△31「ジュモン51分の停車」(1999)
△32「メグレは二つに見える」(2000)
〇36「開いた窓」(2001)
△37「メグレとワイン商」(2002)
 38「メグレと政府高官」(2002)
〇40「メグレと奇妙な女中の謎」(2002)
☆41「メグレと田舎教師」(2002)
〇42「メグレと老外交官の死」(2003)

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