清水港に来た男(1960)紹介と感想
あらすじ
清水港にやってきた政吉は、腹を空かせて通りがかりの六助の家にあった酒と飯を勝手に食べてしまう。
そこへ六輔と女房のおすきが帰ってくるが、政吉は昔馴染みの振りをして六助を丸め込んでしまう。
そのまま居候を決め込もうとするが、二人揃っておすぎに追い出される。
道中、犬に吠えられ困っている娘を助けて恩の押し売りをしつつ、次郎長一家の三下として潜り込むことに成功した。
ある日、森の石松が都鳥一家に闇討ちされたとの報告が入った。
次郎長と子分達は仇討ちへ出ることになり、石松と縁故の仲だった角太郎も行くことになった。
しかし、小さい息子のために女房のお袖は仇討ちへ行ってほしくないと引き留めるのだった。
次郎長たちは予定通り仇討ちを行い、その過程で角太郎は死んでしまう。
哀しみに沈むお袖は、次郎長へ啖呵を切る。
その後、政吉は石松殺しを題材にした芝居を仲間内で上演しようと動き始める。
しかし、そんな次郎長一家に鳶の山為五郎が迫っていた。
紹介と感想
明朗快活な適当男を大川橋蔵が軽やかに演じている本作は、喜劇に強い大川橋蔵の強みが良く出ていました。
物語の開始から腹を空かせた政吉が勝手に飯を食い、政吉・おすきとコントの様なやりとりを繰り返す前半部分が最高に楽しいです。
しかし、本筋は清水次郎長一家に潜り込んでからになります。
石松が殺されたことによる敵討ちにより、更なる犠牲者が出てしまう悲劇。
コメディー色の強い展開から、中盤以降喧嘩で殺し合う虚しさをテーマに勤王の志士としてのカッコよい姿、そして作中舞台劇の石松の姿も堂に入っており、大川橋蔵の魅力が多面的に楽しめます。
それは殺陣にも表れており、中盤のコメディー色の強い殺陣は軽いものに振り切りながらも政吉の強さを表しており、終盤の殺陣では本来の強さを表に出して颯爽と暴れ回る痛快さが出ていました。
その他の役どころでは、普通に話すとどもってしまうが浪曲は抜群にうまい熊造の堺 駿二、実質相棒ポジションで最初から最後まで見せ場がある田中春男、少ない出番で良いコメディー場面を残した進藤英太郎が印象に残りました。
ドラマ性もありますが、基本はコメディーとしての楽しさを存分に楽しむ物語になります。
映画概要
監督:マキノ雅弘
脚本:小国英雄
製作:東映/1960年
時間:91分
キャスト
政吉/大川橋蔵
お雪/丘さとみ
おすき/青山京子
お蝶/喜多川千鶴
お袖/木暮実千代
熊造/堺 駿二
小松村の七五郎/加賀邦男
鳶の山為五郎/阿部九州男
伝助/杉 狂児
七助/本郷秀雄
角太郎/徳大寺 伸
六助/田中春男
小政/石井一雄
大政/中村時之介
大瀬の半五郎/月形哲之介
清水次郎長/大河内傳次郎
侍/進藤英太郎