
個人と社会 - 物理学者ボームが教えるホリスティック的視点
近年、日本やアメリカ、オーストラリアで重要な選挙が行われました。こうした際によく聞かれるのが、「1人の投票に意味があるのか」という疑問です。この問いに対して、物理学者デビッド・ボームの著書『ダイアローグ』は、新しい視座を提供してくれます。
一般的に、全体は部分の単なる総和として捉えられがちです。しかし物理学的な観点からすると、全体は部分の総和以上の価値を持ちます。例えば、水素と酸素は別々の原子ですが、これらが結合することで、元の性質とは全く異なる「水」という新しい物質が生まれます。これは、部分の単純な組み合わせ以上の、新たな特性が創出される好例です。
また、オーケストラを例に考えてみましょう。個々の楽器は独自の音色を持っていますが、アンサンブルとして一体となることで、個々の価値を超えた新しい価値が生まれます。これらの例は、全体が部分の総和以上の価値を持つことを明確に示しています。
さらに重要なのは、ボームが示す「部分が全体に影響を与える」という考え方です。たった一人の行動が、社会全体に大きな影響を及ぼすことがあります。例えば、クラスの一人の欠席でクラス全体の雰囲気が変わったり、アメリカの公民権運動でローザ・パークスの行動が大きな社会変革のきっかけとなったように。
つまり、全体と部分は動的な相互関係にあり、一つの部分が持つ価値は、全体に大きな影響を与え得るほど重要なのです。全体を単なる総和として捉えるのは思考が生み出した幻想であり、現実の世界はよりダイナミックな相互作用によって成り立っているのです。

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