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憧れの上司のようになりたいです

【相談】会社員男性28歳

こんにちは、私は今の時代珍しいモーレツ営業マンです。あまり人生に対して不満もないのですが、少し自分を変えたいと思っていまして、ご相談させていただきました。

私は、何か課題が与えられたり、ひらめきがあるとそれに向かって猪突猛進していくタイプです。「周りが見えていない」と叱られることはたびたびありますが、着手したことは7割がたうまくいきますし、一生懸命に頑張っていれば、周りの人たちが助けてくれるのでそれはそれとしていいんじゃないかなとも思っています。

営業成績も若干ムラはありますが、通年の営業予算は毎年ぎりぎり達成はしておりまして、自分自身には満足しています。

そんな私にも、尊敬しているというか、異次元のような存在の上司がいます。彼は32歳で史上最年少部長になった人間なのですが成績も人間性も異次元なのです。

成績に関して彼は予算というものが存在していません。なぜなら、彼は与えられた予算はほぼ100%達成しますし、その達成具合が異次元なので、予算というものを与えずに彼のやりたいように仕事をやらせようという方針に決まりましたが、ほぼ毎月成績は1位か2位です。それにその実績に対して何か驕っている感じもなく、淡々と仕事をしています。お客さんからの評判も非常に高いです。

それに、彼は全く接待やお客様との会食をしません。社員との会食もあまりしていないような気がします。彼は酒を飲みませんし、タバコも吸わず、女遊びもしません。給料はかなり高いと思うのですが、住んでいるところも港区や中央区のような派手なところではなく下町だったと思います。

当然体もいい感じで鍛えられており、ジムに行っているのか聞いたところ自重トレーニングだけとのことです。彼は看護師の奥さんがいます。奥さんが夜勤で大変なことも多く、出社は子供を送ってからなので遅めで、退社も子供を迎えに行ってからとのことで定時でほぼ帰ります。当然、社会の流れなども把握しており、どこでどんな時間にそんな時間を作っているのか不明です。夜の付き合いは全然良くないのですが、ランチは良く社員と行っている雰囲気はあります。

そんな彼のように私はなりたいと思っています。アドバイスをお願いします。

【ななにいに@メンタル兄貴の回答】
尊敬する大先輩のようになりたいんですね。理想は素晴らしいと思います。
しかし、どうしてあなたはその先輩のようになりたいのですか?もしその先輩のように〇〇だったら?もしあなたの〇〇という短所が改善されたら?あなたは幸せになりますか?

人は無意識的に自分の幸福を求めるように行動しています。もし、あなたがいま幸せでないのであれば、あなたは自分自身で不幸せであり続けようと決断をしていることになります。

あなたが先輩のようになりたいということは、裏返しにすればあなたは今の人生に不満がなく、幸せに過ごせているようで、実際はいまの人生に満足をしていません。いまのあなた自身を受け入れることができておらず、その先輩に劣等感を感じています。

劣等感自体は悪いものではありません。理想の自分に向かって努力するバネになります。野球選手がさらにいいボールを投げられるように努力をすることも理想の自分に対して劣等感を感じているからです。

あなたの場合、その書きぶりを見ると先輩に対して完全なる尊敬をしているように見受けられますが、そこまで先輩を完コピする必要はあるでしょうか。一回完コピを目指してみる価値はあるかもしれません。その時、あなたは数週間後に理想の生活とは全く違うものが感じられて絶望に落ちることになります。

なぜなら先輩とあなたは脳の仕組みも違えば、遺伝子も違い、育ちも、家庭環境も立場も、預かっている顧客も全然違うからです。
そのような立場の違う人をマネしようとすることは、あなた自身に無理がかかって逆に不自然で不幸せな結果を招くのではないかと思います。

あなたはご自身をモーレツ営業マンだとおっしゃりました。恐らく、あなたは脳の報酬機能つかさどる欲求ドーパミンの分泌が多い人なのかなと推測します。脳の報酬機能のドーパミンはあなたの意志を実際身体に動かす点で機能します。
例えば、空腹のときにハンバーガー屋さんの前を通るとハンバーガーを食べたくなりますし、酒を一杯飲むとその後何杯も飲んでしまうこともドーパミンの仕業です。欲求ドーパミンは衝動的にあなたを欲望のまま突き動かします。未来に欲しいものに全力疾走させるのです。

でもドーパミン自体は悪いものではありません。ドーパミンがあるのであなたは身体を動かすことができますし、欲求ドーパミンのほかに、自分の思考や善悪の判断に使われる前頭葉につながる制御ドーパミンというものがあります。その制御ドーパミンは前頭葉につながるので、衝動に対してブレーキを掛けます。「本当にその選択肢で目的が達成できるんだっけ」、「マクドナルド、バーガーキング、モスバーガーが近所にあるが、私のニーズにマッチしているのは〇〇だ、〇〇に行こう」と思考力をもって目標へ運んでくれるのが、制御ドーパミンです。欲求ドーパミンのブレーキの役割をしますが、欲求ドーパミンも制御ドーパミンも将来の自分の幸せを目的に行動します。
それゆえ、どれだけ緻密に考えて旅行ルートで旅行したり、たくさんの選択肢から頑張って選びぬした飲食店に入ったとしても、ドーパミンの役割は、そこについた時点、料理が着丼して口に入った時点で終了します。その食べ物がおいしければ「もっと食べたい」となるかもしれませんが、ある程度食べると飽きてきます。それはすでにドーパミンの役割が終了して、次の旅行ルートについて、食事後の予定に関して思考が移っているからです。

さて、あなたの先輩が幸せだと仮定して、どうしてそんなに幸せなのでしょうか。それは、「今、ここ」を全力で幸せに生きているからだと思います。
当然、部長職で営業もご自身でしているということでご自身の計画はあるのでしょう。でも、彼はうまくドーパミンをコントロールして「今、ここ」を全力で謳歌しているような気がします。いうなれば「欲がないのです」。

「欲」とは将来こうありたいと願う姿であり、理想の自分に対しての劣等感やコンプレックスです。それにはドーパミンが影響しており、多くの人はドーパミンに左右されて、仕事中心の生活にはしってしまいます。なぜならば、仕事は「結果」という形で成果が見えやすく、成果を上げればお金という目に見える報酬を手に入れることができます。それにドーパミンは突き動かされるのです。

しかし、ドーパミンは満足することがありません。たとえ、あなたが先輩を超えるような数字を単月で更新したとします。あなたは目標の人に追いついたと大喜びすることでしょう。しかし、あなたの脳みそは達成しても満足することはできません。喜びのほとぼりが冷めると、あなたはすでにお客様に対しての感謝も忘れて次の高い目標を考えています。今月の自分を超える計画を脳みそは考え始めるのです。

しかし、単月で大きな数字を出したとしても、それを継続的に出せるかどうかはわかりませんし、難しいことです。そのまま負荷なく出し続けられるのなら頑張ってみてもいいと思います。しかし、大体が挫折します。そして、ドーパミンは敗北の悲しみを受けて若干うつ状態になることもあります。
会社としては目標が高いことは望ましいですし、爪先立って営業をしてくれることはうれしいと思うのですが、あなた自身にとっていいかどうかも分かりません。

結論、あなたは先輩を目指しても先輩にはなれません。自分の今の資源を有効活用して「いまここ」を全力で生きてください。未来ではなく「いまここ」であれば自分に都合の良い未来を想像するドーパミンに邪魔されることなく一生懸命に戦うことができます。

あなたの人生は仕事だけではありません。あなたの人生はあなたの人生そのものなのです。そのことにもう少し気づいて精いっぱい生きてみてはいかがでしょうか。
応援しています。

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