勝っても負けても良いんだよサッカー
こんにちは。特別支援学級で12年教員をしています。Mr.チキンです。
上の記事でお伝えしたとおり、各クラスに一人はいるであろう、
究極の負けず嫌い
への指導アイデアです。ルールは普通のサッカーと同じなのですが、
負けが決まった瞬間に、ある工夫をします。
勝っても負けても良いんだよサッカー もしくは
FAサッカーとでも言いましょうか。
この方法を使うと、
○負けたら怒り出す子もいつかは勝てる→勝つ経験が増える
○普段ボールタッチが少ない子のボールに触れる機会が増える
○みんなで話し合って決める力がつく
というものになります。
サッカーをする
人数は何名でも構いません。今回は5対5ではじめてみましょう。
時間は2分か3分ほどで1点が入って、疲れない程度に設定しましょう。
5人程度ならキーパーを決めなくても良いかもしれません。
ちなみに、私は、サッカーは可能な限り体育館で行います。ボールを追っかけて疲れちゃうので。ラインアウトも無しにして、ボールが角の方で混み合ったら教師のフリーキックからスタートとしています。できるだけシンプルにしてあげると、楽しめるようです。
勝ち負けが決まる(負けず嫌いの踏ん張りどころ)
点が決まる or 時間切れで勝敗が決まる時、怒り出す子たちがいます。
そこで教員がすかさず「はい、FAタイム!」と叫びます。
話し合いを行い、負けたチームは勝ったチームから一名選ぶことができます。
この場合は赤チームの”サッカー上手い子”が大抵選ばれます。
それだけで負けに敏感な子は「次勝つかも?」という皮算用をして復活します。
”はないちもんめ”みたいですね。「負けて嬉しいはないちもんめ、仲間が増えたぞはないちもんめ!」です。この場合は。
少なくなったチームはリーダー格が減っています。
なので、ボールタッチが少なかった子たちもボールに触れなくてはいけなくなります。
「誰を選ぶ?」という話し合いを繰り返すことで、段々と「あの子はこんなことを大事にして選ぶんだな。」「シュートを決めた人を選ぶと強くなれるみたいだぞ。」というような決める基準ができてきます。自閉スペクトラム症傾向のある子が苦手な暗黙の了解というやつですが、必死にゲームに参加していると、暗黙の了解を受け入れることができるのが不思議です。どうしても難しい場合は、ホワイトボードなど視覚的な支援をして他の子の選ぶ傾向を示してあげても面白いかもしれませんね。
何回か行う
何回か行って、疲れる前くらいで終わらせます。
不思議なのは、負けるのがとても嫌いな子でも、「負け続けても、人数が増えていく」という頼もしさで紛れる子が多いです。
相手が少なくなっていくのも面白くて、最後の一名になった時は、「究極の一名!」「負けを知らない男(女)!」なんていうと盛り上がりますね。
FAタイムひとつで変わる子どもたちの姿
ずっと続けていると、変わってくることがあります。
「Aちゃんが一度も選ばれてないよ。」と気付いた子がいました。優しい子です。「でも、Aちゃんはサッカーへただしさ。」と他の子が反論します。「たしかにそうかもしれない。でも、せっかく勝ったのに何もないのは、誕生日なのにプレゼントもらってないみたいな感じだよ。」(・・・考えるみんな)「なるほど。それは嫌だわ。」「よし、次Aちゃんこっちおいで。」というやりとりが見られたことがありました。
子どもたちが、集団の中で、勝ち負け以外の価値観に気付いた瞬間でした。そこから、子どもたちが勝ち負けに執着することが少なくなった気がします。
教員が付き添う、クールダウンする 以外の選択肢も!
負けが苦手な子には、教員が付き添ってなだめるだとか、その場を離れてクールダウンを行うことで気持ちを切り替えるだとか、そういった支援も時には必要ですよね。でも、学校の一番の強みは集団だと思うんです。集団活動が苦手だからこそ、集団の中で調整する力をつけてあげる関わりがしたいですね。
実は今回のFAサッカーは、負けて怒った子が「先生、このチームは先生が決めたチームだよね。だから負けたんだ!」と言ったことから、Mr.チキンが「それならみんなでチームを作っていく方法は無いだろうか」と頭を捻って作ったルールです。まさかここまで効果があるとは私も思いませんでした。
地域によっては冬休みが終わり、新学期が始まる時期になりました。
もしもサッカーをすることがあったら、ぜひ、取り組みに入れてみてください!
では、またね~