✓はじめての文学 1 mai 2023年6月24日 19:16 ▽印象に残ったフレーズ私は二度とという言葉の持つ語感のおセンチさやこれからのことを限定する感じがあんまり好きじゃない。でも、その時思いついた「二度と」のものすごい重さや暗さは忘れがたい迫力があった。「まあね、でも人生はいっぺん絶望しないと、そこで本当に捨てらんないのは自分のどこなのかをわかんないと、本当に楽しいことがなにかわかんないうちに大きくなっちゃうと思うの。」浮ついたことがすきな人たちは、きっと無駄にしてもいいような愛情、どんどん水道の水みたいに流してもまだまだ溢れてくる愛情に無頓着になってよかった人たちに違いない。私なんか、この世のいてもたいしたスペースはとっていない。そういうふうにいつでも思っていた。人間はいつでも消えても、みんなやがてそれに慣れていく。でも私のいなくなった光景を、その中で暮らしていく愛する人々を想像すると、どうしても涙が出た。自分に自信がなくなって、生きていることに罪悪感があったから、自分を好きと言い寄ってくれた人を貴重に思わなくてはいけない、と思ってしまったのだ。生きていることに意味をもたせようとするなんて、そんな貧しくて醜いことは、もう一生よそう、と思った。あの日の、あの時間を箱につめて、一生の宝物にできるくらいに。その時の設定や状況とは全く関係なく、無慈悲なくらいに無関係に、幸せというものは急に訪れる。「相手が君の人生からはじき出されたと思えばいい。」「ずっと家の中にいたり、同じ場所にいるからって、同じような生活をしていて、一見落ち着いて見えるからって、心まで狭く閉じ込められていたり静かで単純だと思うのは、すっごく貧しい考えなんだよ。でもたいていみんなそういうふうに考えるんだよ。心の中は、どこまでも広がっていけるってことがあるのに。人の心の中にどれだけの宝が眠っているか、想像すらしない人たちってたくさんいるんだ。」はじめての文学/よしもとばなな/文藝春秋 はじめての文学 よしもとばなな amzn.to 3,949円 (2023年06月24日 19:15時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する この記事が参加している募集 #読書感想文 220,532件 #小説 #読書 #読書感想文 #読書記録 #文学 #読書日記 #本紹介 #文藝春秋 #よしもとばなな #はじめての文学 1