兵庫県知事選挙とSNSの関係性についてのありきたりな個人的考え

度々政治の話で、あまりフォロワーさんは興味ないか引いているだろうけど、書きたいことが特にないので。兵庫県知事選挙が近づいている。前職のさいとう元彦さんは、パワハラ疑惑・おねだり疑惑・キックバック疑惑や、公益通報の通報者に対する捜査のあり方が疑問視され、失職したが、ここにきてインターネットで熱烈な支持を受けている。

自分なりに調べてみたけれど、パワハラ疑惑やおねだり疑惑については、マスメディアの報道ほど証拠としては強いものはあまりないようである。否定されている疑惑もある。とはいえ、300名ほどの職員が実名でアンケートに回答していたことは、少なくとも一部の職員から前知事が嫌われていたことを示唆しているし、パワハラの噂があったことも確かである。いずれにせよ、このあたりは外部からちょっと調べてみても、どういう事実があったのか確定させていくのは難しく、ぼんやりとした印象だった。

内部告発者、この場合は外部通報者であるわけだが、に対してその特定を急いだ初動については、法律を読むと結局匿名での通報であるために真実相当性が問題になってくるのかなという理解をした。真実相当性というのは本人が真実と考えるのに十分な状況であることを考えると、関係者からの信頼できる供述でも十分らしいが、告発文を見ただけでは、その記述がそういう観点において真実相当性を有しているものとも有していないものとも判断しがたい。であれば、立証責任がどちらにあるのかで、結論は変わるものと思うが、インターネットの解説によると真実相当性の立証責任は告発者にあるらしく、もしそうならば、知事の対応は法的に黒だとは言えずむしろ白に近いという印象を持つ。とはいえ、ここは過去の判例とか、立法趣旨とかを踏まえて考えるべきことだし、このあたりの読解の仕方も専門家・弁護士でも明らかに見解が分かれているように見える。インターネット上の解説は明らかに元知事に肩入れしている側面もあるから断定はできない。政治的な判断として考えると「真実相当性がない」と明らかに判断できるような怪文書であれば放置していてもさほど問題がないのでは?という憶測にもなるので、拙速であったことは間違いないのかなとも思う。

港湾利権を初め、改革をし既得権益にメスを入れたことで反対派の抵抗が根強いというストーリーもあるが、そのとマスコミの結託を結びつけるのはどこまで言っても憶測の域を出ない。関係者が自死してしまったこと、その自死の背景にあるともされるプライベート情報の存在はどこまでいっても正式な手続きで明るみに出ない構造になっていることを踏まえると、どちらのストーリーを信じるにしても決定的な部分で陰謀論的想像力を活かすことになる。

とはいえ、明らかに問題であったのはマスメディアの報道の姿勢だろう。おねだりにしてもパワハラにしても、あくまで疑惑であり、そして疑惑としては決して強い根拠のあるものではないように見えた。全国区のニュースであそこまで叩かれるものではなかったと思う。一連のさいとう知事の支持の背景には明らかにマスメディア不信があり、マスメディアに対する国民の漠然とした怒りの生贄に兵庫県政が捧げられている構図である。

どうしてマスメディアは時に偏向的な報道に走ってしまうのだろうか? 私は相対的にはマスメディアはかなりマシな情報チャネルだと思っている。インターネットの情報リソースでは、財政論については、東大でオーソドックスな財政学を学んだ身からすると、かなり極端な意見が散見されるし数字を持っている現実もある。優れた情報チャネルもあるが、詳細ゆえにそれなりに理解をするのに時間がかかることも多く、時間対効果は良くない。その点現在に置いてもマスメディアの報道は時間対効果と情報の水準感としてはかなり優れたものだと思う。かなり不偏不党を意識してコンテンツを作成しているだろう。

むしろ、マスメディアの問題点は不偏不党を意識し過ぎていることにあるのではないか? 不偏不党への意識が強くあると、他社の報道と違うスタンスを表明することには、かなりの抵抗感が生まれるはずだ。その結果、視聴率を求めて報道が一方向に振れるとエスカレーションをして歯止めが効かなくなる可能性がある。新聞であればかなりスタンスは明確に分かれているわけで、テレビの報道もそういうあり方を模索したほうがいいだろう。テレビというチャネル全体として、不偏不党であるようにすればいい。


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