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ヤバい本 「フォールン・ブリッジ」

 今日は久しぶりに本の話を。今回紹介する本はいろいろな意味でヤバい本,御田寺圭著の「フォールン・ブリッジ」です。



 サブタイトルが「橋渡し不可能な分断社会を生きるために」ということで不穏なのですが,社会問題について広く触れている本です。この著者は複数の媒体で似た内容でコラムを書いているので,こちらも参考にするといいかもしれないです。さながら体験版です。

 私はちょうど第1章(全4章中)を読んだところですが,体験版と彼のnoteマガジンを読んでいるので全体像は何となくつかんでいます。ちなみにこの著者の前著「ただしさに殺されないために」も読んでいるので,チューニングはばっちり。


 で,この本のなにが「ヤバい」のかというと。


 世の中の問題が「善い事」とコインの裏表のように,同時に起こっているということをまざまざと見せつけていることです。これを知ってしまうと,のうのうと世の中の「善い事」を享受するのに後ろめたさが発生すること請け合いです。

 現代社会に生きる我々が当然のように内面化しているルールや行動原理というものは,住みよい社会を作る反面,そこにどうしても居られない人間を疎外してしまう,見えない者として透明化されてしまう,そんなことが複数の事例で語られています。


 世の中に明確な悪者がいて,そいつを打ち倒せばこの世のすべての厄介事がなくなるのであればどれだけ楽か。助けを必要とする者が,自然と手が差し伸べられるような姿をしていればどれだけ楽か。

 世界は思ったより複雑で曖昧で,そんな中でバランスをどうにか取って成立している。それをより善い方向に傾けようとしたとき,その裏側で零れ落ちる者がいる。そんな無慈悲さをつまびらかにする,そんな「ヤバい本」です。


 これを読むと,言いようのない無力感というか世の中への絶望感というか,何とも言えない感情が渦巻きます。なんとも表現しづらい。


 ちなみに,この著者は可読性・読みやすさにはかなり気を配っているとのことで,文字は大きめ。さらに,細かいパラグラフに分かれているので,各章が短めのエピソードでまとめられいていることもあり,かなり読みやすいです。それこそ,隙間時間にちょこっとnoteを読むくらいの感覚で読めます。

 日常的にnoteを読むような読書筋力があればサクサク読めるんじゃないでしょうか。


 と,いうわけで読書の秋むけのヤバい本の紹介でした。もし心に余裕があれば,読んでみて欲しい。

 それではまた。


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