早朝に野鳥観察:春の訪れとオオジュリン
晴れて20度超えと予報で告げていた朝。
休日返上の仕事がひと段落ついたため、久々に野鳥を見に行こうと思い立つ。
昼から風が強まるとの情報に、早めに公園を回ろうと早朝に自宅を出た。
公園内は人影がほとんどなく、柔らかな朝日と静けさに包まれている。
カメラと双眼鏡を首から下げ、まずは園内の鳥類園を目指す。
海岸に向かう道沿いで、「ガーーックィックィックィッ」とオナガの声が聞こえる。
臆病なオナガ。
普段はカメラを向けるとすぐに逃げるが、早朝でお腹がすいているのかこちらに気づかず、松の木から木へスイスイと飛び餌を探している。
園内の梅の花が咲き出している。
メジロでもいないかなと近づいてみる。
花の蜜など甘いものが大好きなヒヨドリ。
この時期、椿の花粉で口を黄色にしたヒヨドリにお目にかかることがある。
どこかひょうきんなヒヨドリの顔に、春の訪れを感じる。
上の池に到着すると、木陰でプルルッと何かが動く。
朝日が照らすジョウビタキ。
彼女は時々尻尾をプルルッと震わせている。
しばらく佇んだ後、プイッと飛んでいった。
上の池は3月まで水質改善の工事中。
以前より水が綺麗になっている。
カモたちは朝の食事に余念がない。
日中は寝ていることが多いカモたち。
早朝は食事をするために活発に動き回っている。
静かな園内で元気な鳥たちに次々出会える朝。
早起きして良かった。
渚橋が開くまでまだ時間があるので、海沿いに西の芦が池方面へ歩いてみる。
園内に多くの群れがいるムクドリ。
地味な外見と、少々耳障りな鳴き声にあまりカメラを向ける気にならない。
大群で群れなければ、人間から害獣扱いされることも無くなるんだろうな。
今日はあちこちでイソシギが餌を探していた。
お尻をフリフリ、白くまん丸な身体が可愛らしい。
木が生い茂るエリアを歩いていると、足元でガサゴソ音が聞こえる。
地面の枯葉をかき分けて虫を探すシロハラ。
歩いている足元から「ガサッ」と音がすると、こっちも「ヘビか!」とびっくりするのよ。
こちらはカルガモが集団で羽を休めている。
ここからいくつの恋が生まれるのかしら。
驚かさないよう、そっと離れる。
渚橋が開いたようなので、橋を渡り西なぎさを目指す。
洋上あちこちでカンムリカイツブリが泳いでいる。
潜水が得意なカンムリカイツブリの足、こんなに後ろだと歩くのは大変そうだ。
個人的にはイソシギのお尻の勝ち。
イソシギは岩場を器用に歩いて餌を探している。
なぎさを歩いていると、つるっとしたシルエットの鳥が岩場に留まっている。
イソヒヨドリを見るのは初めて。
東京では海辺だけでなく、海から離れた八王子でもよく見られるらしい。
オスは真っ青だけど、メスも少し青みがかっているようだ。
今度は鳴き声を聞かせてね。
シジュウカラの「ピーツィピーツィピーツィ」という鳴き声。
これまた春が近いことを感じる。
日がだいぶん高くなってきた。
森のエリアに足を伸ばしてみる。
バーダーさんが数名集まり、木を見上げている。
お目当ては、キクイタダキのようだ。
松の木をせわしなく飛び回っている。
バーダーさんに大人気のキクイタダキ。
体長10㎝、体重5gと最小レベルで、綺麗に撮るのは至難の業だ。
根性無しの私は「また見えやすい所で会いましょう」とその場を後にする。
開けた場所に戻ると、何やら視線を感じる。
今日のモズ♀は、優しい目をしている。
あちらも興味があるのか、じっと動かずにこちらを見ている。
キクイタダキもいいけれど、私はあなたのようなお顔の方が好きだな。
ヨシ原からパキパキと音がする。
強まってきた風になびく葦にしがみつき、葦を割いている鳥を見つける。
ぱっと見た目はスズメだが、少し大きいようだ。
越冬のため北からやってくるオオジュリン。
「ジュリーン」と鳴くからオオジュリンという名になったとか。
夏の繁殖期、オスは頭が黒くなる。
黒い羽根が生えてくると思いきや、頭の茶色い羽根が摩耗し根元の黒色が見えるようになるのだそう。
人間でいうところの薄毛ってことなのか。
少し複雑な気持ちになる。
昼近くになり、人が増えてきた園内。
4時間の散歩で、たくさんの野鳥に出会えた。
春の足音もしっかり聞き留めた。
今日も新しい出会いがあり大満足。
ファミリーの明るい声が響く中、公園を後にする。