私の心の癒し:懸命な野鳥たち
平日休みの朝。
いつもの時間に目が覚めたが、体と心の疲れがどんよりと残っていた。
そういえば、一昨日は深夜の看取りで寝られず、昨日も遅くまで会議があった。
職場でのストレスもある。
こういう時は休息もだが、気分転換が必要だ。
野鳥が見たいと、いつもの公園に行くことにした。
公園までは電車を乗り継ぎ、バスに乗る。
職場に急ぐビジネスパーソン達に混じり、車窓を眺めながらのんびり公園を目指した。
自宅から1時間。
公園を入り、カメラと双眼鏡をリュックから取り出し歩き出すと、早速茂みでガサッと音がする。
目を向けると、茂みから視線を感じる。
シロハラさんも細かい髭が生えているのね。
双眼鏡では気づかなかったが、写真で確認する。
葉が落ちた木々は、小鳥を見つけやすい。
上を見ながら歩く。
川辺の葦からバリバリと乾いた音が聞こえる。
シジュウカラは今日も、葦の中の虫を探している。
虫が少なくなる冬。
彼らは餌探しに必死だ。
シジュウカラたちは私に気づかない。
いつもカワセミに会えるエリアに行くと、キキキと鳴きながらカワセミが川面を飛んで行った。
彼らはすばしっこいが、その鮮やかな色を一旦見つけると追いかけやすい。
彼らを驚かさないよう、そっと遠くから付いていく。
どうやら複数で行動しているようだ。
メスは少し小柄。オスの方がずんぐりしているように見える。
食事を終えたのか、彼らは狩りをするわけでもなく鳴きながら枝を飛び回っていた。
朝日に映える可愛いカワセミたちに満足しつつ、大きい池、小合溜を目指す。
池では、ヒドリガモがあちこちでピィーッと喧嘩をしている。
どんな生き物も、怒っている時は似たような顔になるようだ。
私にも彼らが怒っていることが伝わってくる。
普段、職場にいる年上の部下の幼稚で愚かな言動にイライラしている私。
無意識にこんな顔になっていないか、心配になる。
森のエリアに行ってみる。
入ってすぐのところで白く大きめの鳥が飛んでいくのが目に入った。
アカゲラをカメラで追っていたら、いつのまにか周囲にバーダーさんが集まっている。
皆さんの今日のお目当てはアカゲラのようだ。
そっと離れ、さらに奥に進む。
森の中にはあちこちにカラスを捕獲するための罠が仕掛けられている。
訪れるたびに数羽がひっかかり、檻の中で慌ただしく飛び回っている。
そんな彼らを心配そうに檻の外からみているカラス達。
家族が捕らえられてしまったのだろうか。
何だか切ない。
森を抜けた池にはいつものダイサギが悠然と構えている。
身体が大きいため天敵の少ないダイサギ。
あなたのように堂々としていられたらいいな。
あなたたちの世界に、欲深く影でこそこそ弱い者いじめしたり、罪をなすりつけたりする存在がいないのがうらやましい。
ヒトの世界は、本当にくだらないことが多いんだよ。
ダイサギは、怪訝な顔で私を一瞥し歩いて行った。
開けた場所でジョウビタキに出会う。
元気に枝を飛び回り、止まる度に尻尾を左右にプルルッと振るわせる仕草が可愛らしい。
このあたりでメスをよく見かけるが、オスはいないようだ。
恋の季節に、いいジョビ男さんに出会えるといいね。
頑張って。
園内のあちこちでツグミが地面をつついている。
ツグミが増えると、冬本番という感じがする。
渡り鳥のツグミ。
春にはシベリアに帰り、繁殖期を迎える。
越冬のため過ごす日本ではあまり鳴かないことから、口をつぐむ「ツグミ」と名付けられたとか。
相変わらず、日本人目線の名付けだ。
繁殖期はシベリアで、さぞ美しい声でさえずるんだろうな。
そういえば、最近モズに会っていないなあと思っていたら
このエリアはミミズがたくさんいるのか、あちこちで野鳥たちがミミズを引っ張り出して食べていた。
ツグミの寿命は10年、モズの寿命は2年とされる。
短い一生を懸命に生きている彼らが美しく見える。
彼らを見ていると、自分の悩みが大したことないように思えてくる。
元気で生きているだけでありがたい。
私もどーんと構え、くよくよ悩まず明日から頑張ろう。