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うし、祝祭、(恋詩)


うし、の祝祭。戦争にぼろ負けした男たちがスペイン(架空)を旅する小説で、移動祝祭日というものを知った。うし、においかけられたり、うし、をおいかけたりして移動するのだろうもしくはうし、の背中に乗って。

祝うのだろう、よろこびを。その小説ではいつもいちばんたいせつな、恋人たちのよろこびが書かれていなかった。骨に川が流れている、みたいな使い古された抒情で)よくあることなのだろうとおもった。よろこびのない恋人たちもいるのだろう。よろこびのないカタクリの花も自生している。庭。

 東京都庁ビル南展望台で草間彌生デザインのピアノを弾いたあとベンチに座っておにぎり(ツナマヨツナマヨ)を食べていると、ドラゴンボールGTが好きだというスペイン人の青年に話しかけられた。ミゲル・デ・セルバンテスのドン・キホーテが好きだ、という話をわたしが拙い英文法で伝えると、彼は「日本に来て初めてあれをみたとき、なんで?って思ったよwなんでペンギンが槍持ってるの?ってw日本いかれてんねw」Oh…と返した。言語も話も、かみあわなくておもしろかった。おもしろかった。

すこしまえのきおく

祝祭、のうし。月曜日のコンコースは外国からの旅行者が人混みに飲み込まれていた"Oh…"といっていたから初めてみたのだろうと。ひとでみちみちた、よろこびでみちみちた、スペイン(エビ)。移動しない祝祭の日付もあるし、日が沈まない帝国も、えいえんのなかにきっとあるのだろう。祝うべき日をめいっぱい祝うために、まだ恋人ではないひとを祝うために。祝われないミモザの木もある。



nostalghia

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