マガジンのカバー画像

note小詩集

3
運営しているクリエイター

記事一覧

犬とそのための日記(小詩集)

犬とそのための日記(小詩集)



いぬ。かわいそうな、服を着せられていない、犬。「生きていないね!」犬のなかには、いちども発光せずに閉じていく部分がある。えっと、ある、と思う。暴れまわる犬のイメージ・映画に登場させられている犬の知覚。目隠しをしたままに、右のかかとを軸にn回転したあとで、「きみはどこにいるでしょう?」おそろしい犬のいないところがいい、それがいい……。

犬の、存在しない種類のイヌの、名前。土俵にまぎれこんだ犬、

もっとみる
ボルヘスを読みながら(小詩集)

ボルヘスを読みながら(小詩集)



蝶、のかたちをした骨がある。あってもいい。その、左上のところ。この部位がふるえたのはうまれてはじめてのことだった、しかも生きているひとのことばで。!。

だれだったか。肉体が土と等価になったひとをみおくるときに、魂のみおくりを平行して執り行った。えいえんにいきることを押しつけられたわたしたちは、夜のうちにひとつの椀から、定められた和語だけを起用して、ひとつずつ、ことばを啜った。

享日。ボルヘ

もっとみる
sonatine.(小詩集)

sonatine.(小詩集)



はしりながら、こっちにやってくる、わたしは
従属するプラットフォームのまんなかで、あなたを
のぞきこんでいる。禁猟の区域から、まっすぐに
釣竿をかかげるひとの、鉛直におちていく、
やさしさ、くく、まいにちのにっき、あなたは
いまがいちばんしあわせだからいま、
ここでしななければいけない。



piano sonataそれからsonatine.独奏のための準備として、
期待されるいくつかの、

もっとみる