Metaphor/零° (短歌30首)
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<萌え萌えきゅん♡>と口ずさんだら強くなるぼくらの未来のロマンチスト
エモーショナルなケミカル 真夜中の廃墟に佇むルイズ・フランソワーズ
わたしたちのAirpodsの中だけで響く不快なシンセサイザー
殺すまでなんどもなんどもループするチワワの動画を見て自戒せよ
きみはいま言葉に変えようとしている スロー再生で <冬の> <光の>
祈りは用量が守られていることを前提に Don't fly with coke
マインドコントロールのあとは猫カフェできみと別れの話をしよう
ブロンクス地区に花束を、こうして光は置き去っていくのだろう
生きるのは好き?ってメダルゲームのメダルを数えた こわいんだけど
Melt with you 地雷系のような二重瞼/Eternal/Love/ぼく/じゃない
あのさ、夢じゃないと思うから迎えに来て (菜の花畑の真ん中に)
卒アルでしか会えない/ぼくはZに続くアルファベットが見たい
(線香の匂い) いつかAIになるまでのことを 今と未来を
メルト まだごめんなさいが言えなくて ワールズエンド (きみのいる宇宙)
さいごにはパフェも溶けてなくなるから殺したいくらい愛してなくなれ
/
詩人が正しいとは言えない ヴァーチャルリアリティに死は存在しない
メーテルの金髪/顔がえぐられた彫刻/だから、噓はつけない
個人的な恋の用意をととのえて きたるべき冬がこっちへ来る
あっかんべーのときの瞼の赤さだけの血を想像して抒情した
どしたん? 話聞こか? 先天的に天使が来るのを予感した
White wine made from morning bright すべての純情は溶けるよ
ほんとうに順序だててこわれてゆくのね きみのまだ知らない妖精
雷鳴のようなブーケトスを待っています、と友人代表スピーチ
きみのマスクの内側が濡れている 全能的な、官能的な
不協和音っぽさとかギターソロだとかいらないからどうにかして生かして
スタンバイフェイズ <わたしはキスをした> メインフェイズ <まだ殺しあってた>
あなたはわたしのメタファーとしてだけたばこを吸って春は嫌いだ
ソファは海水を含んで気づかないことに気づいた Silent city
Love is a death sentence in Tokyo Bay 歌姫を凍らせる方法
♰
平成ノスタルジー きみがウィルスを注射してからもう5秒が経った
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